カテゴリー「映画・テレビ」の247件の記事

2013年4月27日 (土)

ここ半年くらいを思い出して映画メモ

「ムーンライズ・キングダム」(2012年 アメリカ)

Moon 主人公の少女の家に敷かれていたあの円形の絨毯、まったく同じ見た目のがうちにも昔あった!
昨年の夏、実家の掃除をしていて、屋根裏部屋に無造作にしまわれているのを発見。ネズミが巣をつくりそうだったから、重いのを苦労して引きずり下ろして捨てたんだったわ。

公開を待ち望んでいたウェス・アンダーソン監督作品。
愛おしい映画だった〜。小さな島の共同体で子供たちを守り育てる、そんな当たり前のことにきゅんきゅんきた。前作「ファンタスティック Mr.FOX」あたりから、子供に対する監督の目線がぐんと大人っぽくなったように感じる。子育てでもしてるのかな?
ストーリーも良かったが、相変わらず小技が効いてた。最後の場面でスクリーンからはけていく少女が一瞬立ち止まり、スクリーンのこちら側をうかがうようにするところ、エンドロールでかかる「管弦楽入門」も楽しく、最後まで引きつけてやまなかった。

島に嵐が上陸し、住民が高台の教会に避難するところは、東日本大震災を思い起こした。映画製作のタイミングからして穿ちすぎと思うが、あの大震災があったとき、上映中(または上映直前)だった「ファンタスティック Mr.FOX」に急きょ、監督からの字幕お悔やみメッセージが追加されていた。あの対応の早さに感動したんだっけ。


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「シュガーマン 奇跡に愛された男」(2012年 スウェーデン/イギリス)

米国アカデミーのドキュメンタリー長編賞受賞作。
これも良かった! 幻のシンガー、ロドリゲスの身の上に起きた奇跡とやらは二の次で、ロドリゲスのたたずまい、歩んできた人生からうかがい知ることができる気品にやられたよ! 証言の中に出てきた「地に足がついた男」という表現がほんとぴったり! 音楽ドキュメンタリーととらえていたから、こんなところで感動させられたのは意外だった。

どこかで音楽に興味のない人には退屈かもしれないという評を見たが、いやいやそれは違います。中高年じゃないとこの映画の感動どころが分からないかもしれない、と言い換えておく。


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「愛、アムール」(2012年 フランス/ドイツ/オーストリア)

ミヒャエル・ハネケ監督。こちらはカンヌのパルムドール賞、アカデミーの外国語映画賞など、各国の賞を受賞しまくり。
ジャン=ルイ・トランティニャン主演を楽しみにしていたが、妻役のエマニュエル・リヴァの演技がすさまじかった。
夫は最後、どこへ行ったんだろ? わからなかったよ〜。
映画の冒頭はしっかり目を凝らしておく必要があったんだろうな。しかし、2度目を見るには内容が重い…。

2012年5月 6日 (日)

超シンプル! 〜「ル・アーヴルの靴みがき」〜

裸眼0.1なのにメガネを忘れて映画館に行ってしまった…。


「ル・アーヴルの靴みがき」(2011年 フィンランド/フランス/ドイツ)

北フランスの港町ル・アーヴル。かつてパリでボヘミアン生活を送っていたマルセル。今はここル・アーヴルで靴みがきの仕事をしながら、愛する妻アルレッティとつましくも満たされた日々を送っていた。しかしある日、アルレッティが倒れて入院してしまう。やがて医者から余命宣告を受けたアルレッティだったが、そのことをマルセルには隠し通す。そんな中、マルセルはアフリカからの密航者で警察に追われる少年イドリッサと出会い、彼をかくまうことに…(allcinemaより)


Le_havre アキ・カウリスマキ監督の最新作。「ラヴィ・ド・ボエーム」の続編的な内容らしい。

何が驚いたってそのテーマのシンプルさ! ラストシーンのあの満開の花の見たときに、これは仏教的な、もしくは日本の古いことわざがベースか。と思ったが、同じような考え方はどこにでもあるね、きっと。そして、つましい庶民の暮らしが、めっちゃ愛おしく描かれている。ここも昔の日本の映画みたいだった。

正直いって、カウリスマキ作品としては物足りなく感じる内容だったが、無言の人物の表情など描写だけで多くを語ってしまおうとするスタイルはブレない。
冒頭、アジア系移民の靴みがき仲間と駅でお客を待つマルセル。しかし、通りすがる人はみなスニーカー。そこにようやく現れた革靴の男がおもいっきり怪しいとか、ニヤリとしてしまう場面は相変わらず多い。そして、相変わらず1本のタバコがうまそう笑 
音楽については、男女の感動的な場面になると、古い映画のBGMみたいなのが流れる。

ところで、白髪リーゼントのロッカー、リトル・ボブを演じたロベルト・ピアッツァって誰?


追記)リトル・ボブは、リトル・ボブの名でル・アーヴルを拠点に長年活躍しているロッカーとのこと。カウリスマキ映画の音楽シーンは、ちょっと凝った「箸休め」みたいもので、これも毎度楽しみだ。

2012年5月 4日 (金)

「あなたは大切な子」忘れないで 〜「ヘルプ 心がつなぐストーリー」

「ヘルプ ~心がつなぐストーリー〜」(2011年 アメリカ)

キャスリン・ストケットの全米ベストセラーを映画化した感動のヒューマン・ドラマ。人種差別意識が根強く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、勇気ある行動で世の中に大きな波紋を投げかけた作家志望の若い白人女性とメイド(ヘルプ)として働く黒人女性たちとの友情の軌跡を綴る…(allcinemaより)


Help 南部のミシシッピ州、「分離すれども平等」の欺瞞がまだ根強く残る時代という舞台設定において、白人と黒人の間に築かれる友情が題材と聞くと、ひねくれものの私は一応警戒してみるのです。安易に泣かせたいだけの映画ではないのかと。ここにも欺瞞を見つけて嫌な気分になってしまうのではないのかと。

で、実際に観たら、泣けた〜笑 隣の席に自分と同世代の、やはり一人で来ていた女性が座っていたのだが、涙を拭うタイミングがいちいち同じで、途中から気まずくなった〜笑

アカデミー賞でもゴールデン・グローブ賞でも、エイビリーン役のヴィオラ・デイヴィスが主演女優賞のノミネートに終わり、ミニー役のオクタヴィア・スペンサーが助演女優賞を獲得って、何か不公平な気がしてしまう。デイヴィスの役柄・演技のほうが好きだった。スペンサーの顔つきや役柄って、昔からアメリカ映画で好まれてきた黒人そのものじゃない? やっぱひねくれてるか、わたし笑


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気づいたら観たい映画がいろいろ上映中で困るよまったく。昨年度の映画賞で話題だった映画もこの時期に集中するからかな。1日2本消化も考えたけど、いまの私には贅沢だってことで、1日1本、厳選していくしかない。

次はアキ・カウリスマキの「ル・アーヴルの靴みがき」。「ブライズメイズ」などコメディー系もたまには観たいし、ロバート・ファン・ヒューリック原作の「王朝の陰謀」、話題の史実を扱った「オレンジと太陽」も気になる。しかし、そんなことを言っていたらアカデミー賞の「アーティスト」は観ないで終わってしまいそう。うん、たぶん観損なうだろうな。その後もアレクサンダー・ペインの「ファミリー・ツリー」、アルモドバルの「私が、生きる肌」などが控えている。忘れないように自分用にメモしておく。

落日のスパイたち~「裏切りのサーカス」〜

「裏切りのサーカス」(2011年 イギリス/フランス/ドイツ)

英国のMI6とソ連のKGBが熾烈な情報戦を繰り広げていた東西冷戦時代。英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロールは、長年組織に潜んでいるソ連の二重スパイ“もぐら”の情報をつかむも独断で作戦を実行して失敗、責任をとってサーカスを去る。コントロールの右腕で彼とともに引退した老スパイ、スマイリー。ある日、英国政府のレイコン次官から“もぐら”を突き止めろという極秘の指令が下る。ターゲットとなるのは、コードネーム“ティンカー”、“テイラー”、“ソルジャー”、“プアマン”という4人の組織幹部。さっそく信頼を置くかつての部下ピーターらと組み、調査を開始するスマイリーだったが…。(allcinemaより)


Tinkertailorsoldierspy 面白かった!! ひさびさの大満足映画だったなあ。
原作が同じく有名なところで、「L.A.コンフィデンシャル」の出来のよさに近いものを感じた。

監督のトーマス・アルフレッドソンはスウェーデン人。ジョン・ル・カレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』が原作。ル・カレは製作にも携わっている。

観る前に気になっていたのはゲイリー・オールドマンが超地味男のスマイリーをあの外観でどうやって演じるの?ということだったが、映画としてはちょうどいいくらいの華だったのではないかしら。
また、難解な映画との前評判はともかく、ル・カレの小説自体(この原作は読んでいないけど)、読む人を選ぶというイメージがあり、理解できるのかとの危惧もあったが、映像や音楽があると違うね。セットや衣装、小物なども含めて見事な世界が出来上がっていたし、友情や裏切りといった感情面に重きを置いたエピソードの数々は、意外とシンプルで分かりやすい。どっぷりはまって堪能しました!


冒頭に出てくるのがサーカスのリーダー宅で、自宅なのに仕事の書類で埋まっていて味気ないところが、人生のすべてを国に捧げてきた諜報部員というものだなあと感慨をおぼえ、そこからもう映画の世界に魅せられた。
幹部のスマイリーの下には、その手足となって動くギラムがいて、その下にもっと若いリッキー・ターがいる。それぞれの愛する人への接し方、感情のコントロールが、スパイとしてのキャリアの違いを感じさせて面白かった。ター役のトム・ハーディは前からお気に入りの俳優だけど、ギラム役のベネディクト・カンバーバッチも良かったわ。これからチェックしよう。
もぐらの犠牲となる実動部員を演じたマーク・ストロングが、これまでのイメージと最も違っていたかも。あんな繊細な表情を見せるなんてね。ほかの俳優もひとくせある顔つきばかりで、それぞれが印象に残る。面白い映画の必須条件。


すでにイギリスのスパイなんて米ソから利用される程度のものにすぎなくなっていると、当のイギリスのスパイたちが感じているという時代背景が、実はこの映画の重要なエッセンスになっているのではないかと思う。なのに、孤独に身をおき、命がけのゲームをいまだ繰り広げているというのがたまらなく切ない。

回想で出てくるサーカスのホリデーパーティーの場面で、ロシア国歌を流して盛り上がるのも好きな演出だ。東側と長く接してきたスパイたちにとって、ソ連は嫌いとか、そういう単純な感情の対象ではない。彼らは実は誰よりもソ連マニアだったのだと思う。パーティーの場面ではル・カレ自身も出演していたらしい。

2012年4月21日 (土)

2組の夫婦の対比が面白い 〜「別離」〜

去年の7月で止まっていた映画メモ、再開!となればいいんですけど。


「別離」(2011年 イラン)

テヘランに暮らす夫婦ナデルとシミン。妻のシミンは娘の将来を考え、海外への移住を計画していた。しかし準備が進む中、夫のナデルは、アルツハイマー病を抱える父を残しては行けないと言い出す。夫婦の意見は平行線を辿り、ついには裁判所に離婚を申請する事態に。しかし離婚は簡単には認められず、シミンは家を出てしばらく別居することに。一方ナデルは父の介護のため、ラジエーという女性を家政婦として雇う。ところがある日…(allcinemaより)


Nadersiminseparation アスガー・ファルハディ監督・脚本・製作。昨年のベルリン国際映画祭金熊賞をはじめ、主要な欧米の外国映画賞をほぼ総なめにしたイラン映画が公開。都内ではたった1館って少なすぎるだろ?

ナデルとシミン夫妻はおそらく高学歴で生活にもゆとりがある。古いしきたりにそれほど縛られることもなく、きわめて現代的な考えの持ち主だ。対して、この夫婦とあることをめぐって裁判で争うことになる家政婦のラジエーとその夫は、貧しく保守的。妻はイスラムの戒律に背くことを死ぬほど恐れ、夫は家長としての面子が汚されることに激怒する。結局、この2つの夫婦の対立も平行線のままで、「嘘をついているのはどっちなのか」というミステリー要素もはらみ、会話中心の内容ながら最後まで緊張感を保ち、目が離せない。珍しく映画館で眠くならなかった!

対アメリカ・対イスラエル姿勢を明確に打ち出すなど、何かと話題のイランなので、その国の映画が欧米で評判となれば、イラン・バッシングを増長させる要素をもった内容なのかもと考えていた。たしかに刑罰の重さ、女性の境遇などイスラム国ならではの面はあったが、家族の問題については普遍的で、純粋に映画の出来の良さを評価されたらしいことが分かり安堵。
見終わって印象に残るのは、人知れず苦しんでいた娘のテルメー。両親の離婚に振り回される子供という、最近では忘れがちな、そして珍しくもないためかまずは映画のメインテーマになりにくい題材に思わず感動させられて、むしろすごく平和的な映画じゃないかと、ほのぼのしてしまったほどだ(戦争や犯罪映画、心が病んでる人の映画に比べればってことですが)。

この娘役の子がとても雰囲気が出ていて、あとで調べたら監督の実娘だった。ラジエーの幼い娘役の子も、いかにもイラン映画の子役らしい顔をしていて愛らしい。

映画館を出たところで、若い女性が友人と「ラジエーの行動が理解できない」と腹立たしげに話していたが、いや、あの女性は単に教育が欠けているだけと思えば、理解できる範囲。むしろ、アルツハイマーの義父をおいて離婚をしてまで、娘をつれて国を出たがるナデルのほうが身勝手じゃんと私は感じたけど、イランの国の事情を暗に示しているのかもしれずなんともいえない。ちょっとひっかかるところではありました。

2011年7月 4日 (月)

父から子へ受け継がれるもの 〜「BIUTIFUL ビューティフル」〜

BIUTIFUL ビューティフル(2010年 スペイン/メキシコ)

バルセロナの下層に暮らし、不法就労斡旋のブローカーという非合法な仕事によって日々の糧を得る男は末期ガン、分かれた妻は躁鬱病を患い病院を出たり入ったり。それでも2人の子供たちにはちゃんとした教育を受けさせ、まともに育ってほしいと願うが、残された時間はあまりに短く…。

Buitiful 先週、映画館で観た。
英国王もスワンも映画館に行かず仕舞いになってしまったが、ようやく奮起してこの映画を観に行ったのは、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督と、ハビエル・バルデム主演という組み合わせに引かれてのこと。バルデム、出ずっぱりだけど、主演の華があるから、引き込まれてしまいます。

非合法な仕事のかたわら、バルデムは近隣の人々の葬儀に呼ばれ、遺体を前にその者の遺言を聞き出し、遺族に伝えるという霊媒師のような小遣い稼ぎもしている。メキシコの監督の映画は死者の扱いが独特で面白い。祖先のガイコツを家に飾ってきた伝統と関係があるのだろうか。

(注意:以下ネタバレ)

バルデムが貯めてきたお金を渡して、子供たちの面倒を見ることを託したあの人は、あのまま祖国に帰ろうとして、何かに巻き込まれ命を落としたのだろう(と、自分は判断したけど)。おとぎ話のような甘いところは一切ない映画だったが、ラストで、父親から長女に、祖母の指輪とともに受け継がれたものがあることが分かったときに、静かな感動がある。娘自身はまだ気づいていない。父親は気づいただろうか。血は引き継がれていくという何よりのあかし。

ヨーロッパの不法就労者の描写では、偽ブランド品を路上で売るセネガル人たちが、警察の手入れが入ったときのためにすぐに店をたためるパラシュート式の敷物を考案して使っているところが面白かった。あれだけで、彼らがいかに際どいところで生きているかが分かるってもんだ。
あと、中国人の同性愛者が登場するが、中国では一人っ子政策の影響か、同性愛者が急増しているというニュースを目にしたばかりだったので、これもリアルな感じがした。


2011年5月 8日 (日)

傍迷惑な一家 〜「キッズ・オールライト」ほか

ブログ更新しなきゃと思いながら更新しないでいると、結局はパソコンの前にじりじりと座っている時間ばかりが増えて、ずぼらなダメ人間の生活にはまっていく。


「ファンタスティック Mr.FOX」(2009年 アメリカ/イギリス)

Fantasticmrfox ウェス・アンダーソン監督の作品は、美術的なセンスはもちろん、題材は毒を含んでひねりがきいているようで、実はとてもピュアなもの——大人が忘れてしまっている天真爛漫さとかナイーブさとか——に接したような気持ちになるのがたまらなく好き。このロアルド・ダール原作のコマ撮りアニメファンタジーもその監督らしさがしっかり出ていて良かった。原作は読んでいないが、アンダーソンの多くの作品と同様、父親と息子の関係が強調されてる部分はあるのかな。

映画「ライフ・アクアティック」で子供がビニール袋に入った虹色のタツノオトシゴに見入る場面と、このアニメの中で、唯一人間とは距離を置いて生きるオオカミが登場する場面とが、印象として繋がっている。

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「トゥルー・グリット」(2010年 アメリカ)

Truegrit ジョン・ウェイン主演の西部劇「勇気ある追跡」の原作となった小説を、コーエン兄弟が再映画化。コーエン兄弟独特のユーモアが、少女が主役の物語では相性が悪いというか、上滑りしている気がしたが、酔いどれ保安官を演じたジェフ・ブリッジスのための映画だったんだと後で気づいた。途中、退屈な場面もあったけれど、保安官が少女を抱えて走る場面にぜんぶ持って行かれた。

あともう一つ、後日談に登場する、タフな少女が大人になった姿が気に入った。これが普通のマッチョ映画だったら、ああいう雰囲気をもった女優は絶対使わないだろうと思い、とても可笑しかった。
ジョシュ・ブローリンやバリー・ペッパーも出番は少ないけれど、役に馴染んでいて良かった。一方で、マット・デイモンのコミカルな演技が、私にはどうにもわざとらしく見えて苦手。

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「キッズ・オールライト」(2010年 アメリカ)

Kidsareallright 女性の同性愛カップル(アネット・ベニング、ジュリアン・ムーア)と、人工授精によって授かった2人の子供たちとの家族ドラマ。ほろっとくるヒューマンコメディに落ち着くと思ったら甘かった。途中までは気軽な気持ちで見ていたが、精子提供した男性(マーク・ラファロ)を勝手に巻き込んでおきながら一方的に断罪し、その後に何のフォローもなく終わってしまったもんだから、相当に手厳しいなと思った。

同性愛カップルにも父性と母性があるようで、ベニングが父性のほうなのだが、演技も男勝りでかなり真面目に演じている。ほかの家族がラファロと親しくなっていくにつれて、自分の存在が薄れていくような焦りや嫉妬を感じたのだろうか。だんだんにそれが威圧感となって伝わってきて怖い! だからラファロに対する一家の拒絶は、それぞれが思いやっての行動というより、ベニングに怯えての行動に見えてしまったほどだ。
しかし、一方で、世間的には不自然とされる同性カップルの家族だから、家庭を築くことへの努力も半端じゃなかっただろうし、侵入者をあそこまできっぱり拒絶する気負いを持つのはむしろ当然かもしれない。家族の不倫相手とその後、何事もなかったように付き合っていくというのも変だし。
でも、この映画、やっぱりもやもやが残る。監督のリサ・チョロデンコも同性愛者だろうって分かってしまうのが、いいのか悪いのか、この映画の場合は分からない。

出演者の中ではミア・ワシコウスカが、いかにも素直で賢そうな娘という感じで良かった。使われてる音楽にもときどきはっとさせられた。


2011年2月27日 (日)

花粉症に負けた 〜「シリアスマン」「トスカーナの贋作」〜

花粉症の薬を飲んでから映画館に行くというポカを今年もまたやらかした。しかも、1本だけで止めておけばいいのに、せっかく渋谷まで出たのだからという欲が働き2本ハシゴ。だってどっちも渋谷でしか上映してないんだから。
どっちも途中で眠ってしまったので、感想を上げるのが気が引けるが、いちおう。


「シリアスマン」(2009年 アメリカ)

コーエン兄弟が、実際に少年時代を過ごした中西部のユダヤ人コミュニティを舞台に描く異色のブラックコメディ。ごく平凡な人生を送っていた真面目な主人公が、ある日突然次々と不条理な不幸に見舞われ、人生の坂道を怒涛の勢いで転げ落ちていく悲劇の顛末をシニカルなタッ チで綴る…(allcinemaより)

Seriousman 前回のアカデミー賞作品賞や脚本賞のノミネート作であり公開初日、しかも都内では1館だけの上映にも関わらず映画館が空いてた! でも、どうしてだか観て分かった気がした。

これは、ユダヤ教やユダヤ系の風習などに詳しくないと、本当の面白さは理解できない内容なのではないか。少なくともコテコテにまぶされたコーエン流の笑いのツボを理解していないと厳しい。個人的には好きなタイプの映画だったので、途中でうつらうつらしてしまいもったいなかった。

ジェファーソン・エアプレインの「Somebody to Love」の歌詞と曲調が効果的に使われている。最高位のラビが、あの歌詞を否定しなかったところが、ラビの懐の深さをうかがわせて良かった。親父も思い切ってお隣さんと一度浮気しちゃえば案外ハッピーな人生を切り開けたかもしれず…。そして、最後の場面が超絶コーエン兄弟らしい。文字通り、もう笑い飛ばすしかないじゃんって感じ。この終わり方は好きだ。

主人公がラビに相談に行くときに「境界線の知者」というのが登場して、マイケル・シェイボンの『ユダヤ警官同盟』をコーエン兄弟が映画化する予定というのを思い出したけれど、あの映画化の話は流れて、代わりにやりたかったことをこの映画に反映させたのかなと想像。


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「トスカーナの贋作」(2010年 フランス/イタリア)

イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督がイタリアのトスカーナ地方でロケを行い、主演にフランス人女優ジュリエット・ビノシュと、これがスクリーン・ デビューの英国人オペラ歌手ウィリアム・シメルを迎え、国際色豊かな体制で撮り上げた異色の恋愛ドラマ…(allcinemaより)

Certifiedcopy_3 うーん、手強い。これこそ真ん中あたりで居眠りしてたら台なし! 本当のところの解釈は自由というのは分かる。ビノシュの怖さを生かした映画だというのも・・・ドレスの胸元から安っぽいブラジャーがずっとはみだしてても違和感ないのは、ビノシュくらいだ。私はこの年になって、彼女の良さがわかってきたかも?笑

「本物よりも贋作のほうが美しい場合がある」という言葉が映画の鍵になっているんだろうか。ぱっとは気づかない仕掛けがいろいろとありそうに思わせる。一方で、トスカーナの観光映画をキアロスタミにお願いした?と思えなくもない。微妙にポイントをずらして、例えば広場の彫刻は全貌を見せなかったりするけれども。


2011年2月18日 (金)

最近観た映画 〜「RED/レッド」「ザ・タウン」〜

「RED/レッド」(2010年 アメリカ)
Red 引退した各国諜報機関の腕利きエージェントが再会し、ある陰謀に立ち向かう…。REDがRetired Extremely Dangerousの略という時点でニヤリとしてしまうわ。テンポよくコメディ映画としては十分に楽しかった。
ブルース・ウィルスは他のメンバーに比べるとちょっと若すぎるかな。特にアフレコの声が妙に若くて別人のようなのが気になった。ジョン・マルコヴィッチの神経症ぽい役はお手のものだ。危機察知能力、銃の腕前、そして拷問のエキスパート…すごすぎないか? ビニール被ってるのが受けた! ヘレン・ミレンは自分にとっては傑作ドラマ「第一容疑者」の印象がいまだ強烈なのだが、笑ったりすると室井滋を思い浮かべてしまうのだった。元KGB役のブライアン・コックス、現役CIAエージェント役のカール・アーバンもよい味を出していた。
続編があるとしたら、ウィルスはまた別の女性を口説いているだろうし、あの人は生き返っているだろう。

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「ザ・タウン」(2010年 アメリカ)

Thetown 学園都市ボストンのもうひとつの顔、チャールズタウンで生まれ育ったアイルランド系の銀行強盗団の話…。ベン・アフレック(監督/脚本/主演)の顔がどうにも苦手なのだけど、新刊本を買ったばかりのチャック・ホーガンが原作というのが気にかかり観ることに。
あっちから奪ったお金がこっちに還元される結末が爽やかすぎた。しかし、こういう物語は映画よりも小説で読むほうがやっぱり好みだなと、またしても思ってしまった。
ごろつきらしさを一人で背負って演じたジェレミー・レナーは、なるほど得難い個性があるかも。そして、レベッカ・ホールの清楚さも良かった。執拗に追いかけるFBIの人も、ほのかにコミカルさを醸しだし印象的。
これが最後の出演作というわけではなさそうだが、ピート・ポスルスウェイトのこのような役どころを亡くなってから見るのは切ないものがある。


2011年1月17日 (月)

カントナだからね。 〜「エリックを探して」〜

社会派といわれるケン・ローチ監督。意表をついてのほのぼのコメディ!

「エリックを探して」(2009年 イギリス/フランス/イタリア/ベルギー/スペイン)

マンチェスターの郵便配達員エリック・ビショップは、しょぼくれた中年オヤジ。2度の結婚に失敗した彼は、7年前に出て行った2度目の妻の連れ子2人を一人で育ててきた。しかし、その2人の息子はいまやすっかり問題児。おまけに、未だに心から愛しているものの、今さら合わせる顔がないと感じていた最初の妻リリーと再会しなければならなくなり、気持ちが沈んでいた。そんな彼の心のアイドルは、地元フットボールクラブの英雄、エリック・カントナ…(allcinemaより)

Lookingforeric この映画、マンチェスターユナイテッドで「キング」と呼ばれたエリック・カントナは出演だけでなく、原案と製作にも携わっている。で、まずは主人公のオヤジの部屋の壁に貼られた等身大のエリック・カントナのポスターに吹き出すんだけど、カントナだから嫌みがないのよ。で、クライマックスのどたばた展開も、数々の武勇伝?を残したカントナが題材なので、これまた大いにありです。

落ち込んでやけを起こしたオヤジが息子の部屋からくすねたマリファナを吸うと、カントナが目の前に出現。オヤジの愚痴に対して、次々とフランス語で格言を繰り出して励ます。カントナの姿は他の人には見えない。要するにオヤジの妄想なんだけど、夢見る若い子がやるような妄想をオヤジがやって違和感ないのは、彼がサッカーのサポーターだから(というのを先日読んだ『ぼくのプレミア・ライフ』で私も理解したつもり)。

一方で、郵便局の仲間たちとの愉快なやりとりや、息子を守ろうとして味わう恐怖など、一つ一つの場面がとても自然で、完成度が高い。ひとことでセンスが良い。面白かったです。


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