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2014年4月 6日 (日)

不良息子たちの帰宅 ~『シスターズ・ブラザーズ』ほか

メモ溜まってしまって、とりあえず3冊。


『シスターズ・ブラザーズ』パトリック・デウィット著/茂木健訳
(東京創元社 2013年邦訳)

粗野で狡賢い、冷血漢の兄・チャーリー。ふだんは心優しいけれど、切れると大変なことになる弟・イーライ。悪名轟く凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ――理由はよくわからぬまま。ゴールドラッシュに沸く狂乱のアメリカ西海岸で、シスターズ兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何か失うのか…(書籍カバーより)


Sistersbrothers 楽しい小説! 殺し屋の兄弟を主人公にした西部劇スタイルのピカレスク小説なのだが、シスターズ・ブラザーズというふざけたタイトルどおり、全編ににじみ出るユーモア。そして物語を一人称で語る弟イーライの、愛すべき不器用キャラに惹かれずにはいられない。
イーライを嫌いな人はいないだろうな。育った環境がよくなかったり教育が足りなかったして、今は不良仲間とつるんでいるが、根は善人で、でも本人はそのことに気づいていないといったタイプ? この小説の面白さの半分以上は、イーライのキャラクターに支えられていると思った。まあ、弟よりはるかにワルの兄チャーリーがいて際立つキャラクターでもあるんだろうけど。

凄腕で名を轟かす殺し屋兄弟といっても、まだ若造で、アメリカの無法地帯ではむしろ翻弄されることのほうが多い。そのエピソードの一つ一つが突拍子もなく、でも映像がすっと頭に浮かんでくる感じで読みやすい。「幕間の挿話」は以前に見た誰かの映画の雰囲気そのままだと思うのだが、それが何なのかわからない。ジャームッシュのモノクロ映画かな?


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『地上最後の刑事』ベン・H・ウィンタース著/上野元美訳
(ハヤカワ・ミステリ 2013年邦訳

ファストフード店のトイレで死体で発見された男性は、未来を悲観して自殺したのだと思われた。半年後、小惑星が地球に衝突して人類は壊滅すると予測されているのだ。しかし新人刑事パレスは、死者の衣類の中で首を吊ったベルトだけが高級品だと気づき、他殺を疑う。同僚たちに呆れられながらも彼は地道な捜査をはじめる。世界はもうすぐなくなるというのに…(裏表紙より)


Lastpoliceman MWA賞最優秀ペイパーバック賞受賞作。設定も面白そう!と思ったが、びっくりするほどオーソドックスな警察小説だった。「人類滅亡間近」という設定より、「殺人事件捜査を初めて担当することになった新人刑事」という設定のほうが題材として目立っていないか?

でも、これ、三部作の最初の作品なんだね。そうと分かれば、未消化部分があるのも理解できるし、今後、SF特有の壮大さもプラスされていくのかもしれない。



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『毒の目覚め』S・J・ボルトン著/法村里絵訳
(創元推理文庫 2012年邦訳)

その夏、英国の小さな村では蛇が異常発生していた。獣医のクララはある老人の死に疑問を感じる。死因は蛇の毒だが、1匹に咬まれたにしては毒の濃度が高すぎるのだ。さらに近所の家で、世界で最も危険と言われる毒蛇を発見する。数々の事件は、何者かの策略なのか?…(文庫カバーより)


Awakening 面白かった!デビュー2作目ということだけど、才能あるサスペンス・ミステリーの書き手というのがよく分かる。特に、クララが淡い恋心を抱く刑事マットは、サスペンス小説というものに欠かせない登場人物であり、最後まで正体が分からないところが良かった。

幼少時に母親の不注意で顔に傷を負わされ、それがコンプレックスとなって人間嫌いに育った主人公の女性獣医が、事件に巻き込まれたことをきっかけに、閉じこもっていた世界から引きずり出され、やがて自信を取り戻し、周囲に心を開いていくというサブストーリーもベタで楽しい。

あと、私はいつも漫然とミステリ小説を読んでいるけど、例えばこの小説での「蛇」のように、何か一つ専門的なテーマとそれに関する雑学的な知識が詰め込まれたもののほうが、記憶に残っていいかもと思った。読める本の数は限られているのだから、今後はその点を少し意識してみよう。

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コメント

ひめさん、おひさしぶりです~(◎´∀`)ノ
って、コメント全消え。。

>『シスターズ・ブラザーズ』

絶対、読みたいです♪
今から、アマゾンかな・・?

例の如し
記事と無関係で、
申し訳ないのですが。。
ごめんね。

愛するハルナと
ホテルデートも終わり。。とか思っていたら
身体中痛いです~(||li`ω゚∞)

ひめさんは
ジャジーボーイズ」観ましたか?

期待しなかったのが
(わたしたちの場合)
吉と出たようで、おもしろかったですヽ(´▽`)/

・・明日は、
「世界文学「食」紀行」が届くので楽しみでーすっっ♪
↑性癖?

マキより(はあと)


まきさん、こんばんは!
いつもながら放ったらかしでごめん_(._.)_

ジャージーボーイズは、フォーシーズンズがモデルの映画なのか!
こんな映画があったこと自体、知らなかった。
最近はほんと出不精。といって家でなにかするでもなし(´・ω・`)
チェックしてみるね!

(こっそり。シスターズ・ブラザーズはもう中古出てるかも)

世界文学「食」紀行…面白そうでないの。
あ、古い作品なのか。
でも紀行もの、好き。

性癖…笑 まきさんはこのジャンルが落ち着くんだね。
好きなものを読むのがいいよね。

まきさんのブログ、コメントできなくなってたので、ここで。

南極料理人、いいよね!
この監督さんの「キツツキと雨」もよかったよ。個人的にだけど
横道世之介も面白いという噂です。

ひめさーん、こんばんは(◎´∀`)ノ

>ジャージーボーイズは、フォーシーズンズがモデルの映画なのか!

はい♪
もう、音楽が良くて。。
作品の構成もシンプルでよかったです♪

>世界文学「食」紀行…面白そうでないの。

はい~♪
世界文学の食を紐解いていて
とても面白かったです( ̄▽ ̄)

ちなみに、
今は「食彩の文学辞典」重金敦之を読んでいて
こちらは、
日本の作家たちの・・(*^m^)


>でも紀行もの、好き。

わたしも、大好きで
昨日は「スペインひるね暮らし」を読み返して
昨日の晩ごはんは
スペアリブにしました~♪
(じゃがいものオムレツもトライしたい~♪)

>性癖…笑 まきさんはこのジャンルが落ち着くんだね。

ええ。。
正にわたしの「性癖」です。。
なんつーか、体調がいまいちだと
わたしの場合、月に50冊ぐらい読むんですけれど
この手合いが半分ぐらい。。
↑家族に本の増加を指摘され指導されつつ・・\(;゚∇゚)/


>まきさんのブログ、コメントできなくなってたので、ここで。

ごめんなさい・・泣。

>南極料理人、いいよね!
この監督さんの「キツツキと雨」もよかったよ。個人的にだけど

この監督、ハルナが好きで。
次は「キツツキと雨」も観たいなあ。。

南極は
「間」がいいんですよねえ。。
監督のユーモア、好きです!

>横道世之介も面白いという噂です。

あ、これ
わたしも原作を読んでいて
次に、お師さんと観ようか?って話になっていて。
きっと、良い作品なんだろうなあ・・( ̄ー ̄)ニヤリ

やっぱり、わたしはスクリーンを愛していて
早く映画館に行きたいです!

マキより(はあと)

まきさん、こんばんは!
日曜日のサッカーの試合結果に浮かれてました(本田圭佑の2ゴール)。

ジャージー・ボーイズ、見に行くことになりましたヽ(´ー`)ノ
音楽映画はいつも決まった友人と行くので、予定合わせたら11月になってしまったけど、
それまでやってるかなあ…少し心配。

月に50冊読むの?!はあ…すごいね。私はその10分の1だよ…。
最近はもう少し落ちてるかな、積ん読がどんどん貯まっていてまずい。
マキさんに比べたらほんと狭くて浅いな、私の読書(^_^;)

>家族に本の増加を指摘され指導されつつ

ほんと、どこに仕舞ってるのだろう。
私でも壁一面、奥と手前の2段の本棚がもういっぱいで、また処分しなければと悩んでいるのに。

映画情報、とんと疎くなっているので、また教えてくださいね!

ひめさん、こんばんは~(◎´∀`)ノ
↑しつこくってごめんなさい。。

>日曜日のサッカーの試合結果に浮かれてました(本田圭佑の2ゴール)。

わたし、ほーんとスポーツが判らなくて。。
情けない。。

>ジャージー・ボーイズ、見に行くことになりましたヽ(´ー`)ノ

お、観に行きますか!?
ひめさんが観たら
また、この作品について語り合いたいです♪
って、ざっ、ひとりよがり。。


>月に50冊読むの?!
それはコンディションによってでして
体調が良ければ、30冊ぐらいかしら・・?
それに、その中十冊はマンガなので、はたしてどうやら・・(;;;´Д`)ゝ

今は「スペインひるね暮らし」の中丸明の
「丸かじりドン。キホーテ」を、もうすぐ読み終わるんですが
ドン・キホーテって、風車に向かう気狂いの男の物語ぐらいしか知らなくて
(過去、何度も引用、その他を読んでいたにもかかわらず。。)
やー、おもろいです。
なんせ、中丸さんはあえて下品を美とする人なんですが、
とにかくスペイン狂のお人なので、わたしは信用しているというか
彼の博覧強記に驚きお辞儀です。。
(キホーテが騎士物語(ちゃんばら)を読みすぎて、頭を壊すところなんて
とても他人事とは思われなく・・)

>ほんと、どこに仕舞ってるのだろう。

だから、結局売るしか無くて
この前もブックオフに十冊売って、十冊買ってきたという。。
我が家は、わたしの本に侵されていますよね。。
(家族様ごめんなさい。。)

マキより(はあと)

まきさん、遅くなってごめん!

ドン・キホーテ!
実は少し前に読もうと思って検索したら全6巻のとても長い話で、
また後にしようと、そっとタブを閉じました。

子供のときに学校図書館にあった世界文学全集の中にあったのを途中まで読んだ記憶が。
あれは子供用に縮めたものだったみたいですね。
「失われた時を求めて」も1巻に収まっていましたから…。

ドン・キホーテは当時はつまらないと思って読むのをやめたと思います。
いまなら読めそう。
そのうちチャレンジしますかね。

中丸明さんを知らなくて検索しました。スペインの本をたくさん書いてますね!
旅行に行く前に読めばよかったです。

>この前もブックオフに十冊売って、十冊買ってきたという。。

そうなりますか!笑  わかる気がします。
うちは文庫本主体なので、どこも買ってくれそうもないです。

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