« クロムウェル失脚前夜 〜『暗き炎 チューダー王朝弁護士シャードレイク』ほか | トップページ | 切り捨てられた男 〜『三秒間の死角』ほか »

2014年2月16日 (日)

死んでいた謎のロシア富豪 〜『バッドタイム・ブルース』ほか

読書メモが滞り、読んだ直後の印象を忘れてしまった。

 

『バッドタイム・ブルース』オリヴァー・ハリス著/府川由美恵訳
(ハヤカワ文庫 2013年邦訳)

人間、追い詰められれば妙案が浮かぶものだ。ギャンブルに取り憑かれて借金を重ねた刑事ニック。とうとう住む場所も失い、所持金も底をついた。もはやこれまでと覚悟を決めたとき、高級住宅地に一人住まいの金持ちが行方不明との一報が入る。担当をゲットしたニックは、要領よく金持ちの留守邸で寝泊まりするうち、彼に隠し財産があることを嗅ぎつける……事件を追いつつ、横領計画を進める、前代未聞の怪ヒーロー現わる…(文庫カバーより)

 

Hollowman 「有能な刑事ベルシーの長所は謎が嫌いなことで、短所は謎をたくさん見つけすぎてしまうことだ」

目覚めた場所は早朝の公園。昨夜はおそらく暴飲して暴走したあげくパトカーを大破させ、フロントガラスを割って放り出されながらも公園まで歩き、そのまま気を失って倒れていた―。こんな出だしからして、主人公ニック・ベルシーはかなり型破りな警官であることが分かる。しかも、死んだ一人暮らしの金持ちのカードを使って詐欺を働こうとしたり、こっそり家財を売りさばくとなると、こいつはいずれ破滅する、こんな主人公には寄り添えないと個人的にはなる。…が、実は読み始めてまもなく上記の一文を目にしてたから、こいつは絶対職務を放棄しないと、安心して読めた笑

出だしはクライム・サスペンス風だが、中身は魅力的な主人公のハードボイルド小説だった。好きです。特に終盤、事件の裏で工作していた人物の正体が明かされ、ベルシーと対峙するところは、様式として美しかった。たいていその人物のほうが主人公よりもひとつ上手のワルであるのに哀れみを感じさせることが多い気がする。
文庫の表紙イラストがフロスト警部シリーズと同じなのに違和感。

 

*******************************************************************

 

『ハンティング』ベリンダ・バウアー著/松原葉子訳
(小学館文庫 2013年邦訳)

イギリスの寒村シップコットで6人の連続殺人事件が起きてから1年半。未だ犯人逮捕の糸口は見つからない。そんな中、子供の連続誘拐事件が起こる。どのケースも車で待機していた子供が連れ去られ、「おまえは彼(彼女)を愛していない」というメッセージが残されていた。やがて17歳のスティーヴンと、妻を失い休職していた巡査ジョーナスも事件に巻き込まれる…(文庫カバーより)

 

Finders_keepers 1作目の『ブラックランズ』はかなり好きだった。しかし、2作目『ダークサイド』は、B級ホラー映画のようなはちゃめちゃな顛末のイメージしかなくて、まさかそこからさらに続編が登場するとは思いもしなかったな。

今作は2004年のイギリスでのキツネ狩り禁止法執行を背景として事件が起きる。この本と同じように処分された猟犬はどれくらいいたんだろうね…。

で、小説のトーンとしては、思春期の少年の恋やその家族の物語にはほっこりさせられるけれど、警察の無能さの描き方はいままで同様に容赦なく、むしろコミカルなくらいだし、そこにホラー要素として誘拐犯と巡査ジョーナスが加わる…。犯人はともかく、ジョーナスの存在感がほんと独特。そもそも前作から、この人物に著者がどういう思いを託しているのかまったく分かっていない。今作もリーダビリティは高いけれど、そこんところが引っかかってちゃんと消化できた自信がない。最後はしんみりすべきなのかね?

 

« クロムウェル失脚前夜 〜『暗き炎 チューダー王朝弁護士シャードレイク』ほか | トップページ | 切り捨てられた男 〜『三秒間の死角』ほか »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

ひめさーん、こんばんは(◎´∀`)ノ
&お久しぶりです!

わたし、最近やっとステロイドの量が
通常ペースになって
まだろくろくまともに読書できないのですが・・泣。

>『バッドタイム・ブルース』

これ、読みたいです~ヽ(´▽`)/

↑さっそく、あとで
アマゾンのぞいてみまっすっ♪

やー、
まだ、この前届いてほってある
「破壊者」も読んでないのに。。

↑ハルナに「遮断地区」がどんなにおもしろかったか
語ったら
普段、訳もののミステリを読まない彼女が
どはまりして
ミネット・ウォルターズ全部読んだらしく。
今度会うときに、
盛り上がりそうでっす♪
↑ひめさんのおかげですヽ(´▽`)/
いつも、めっちゃ上質のミステリを
紹介してくださりありがとう。

巻きより(はあと)

マキさん、こんにちは。
ブログほったらかしすぎて、いまコメントいただいてたのに気づきました。
いつもすみませんm(_ _;)m

しばらくステロイド漬けだったんですか、
素人はステロイドときくだけでびびってしまいます。
最近安定してるならよかったです。


あのヘビーな、ミネット・ウォルターズを一気に読むとは!
マキさんのお友達もマキさんに負けずに、ブックイーターですね!(←勝手にいま作った言葉です笑
でもって、ミネットにはまるというのは、現代英国ミステリーとの相性がいいと思われます。
そんなお友達が近くにいてうらやましいな。

最近、本を読むペースが落ちてて、なんとかしたいです。
いつもこんなことばっかり言ってるね笑

ひめさーん(◎´∀`)ノ

って、ちょっと腰(or骨壊死か?)が
やばいことになってしまい、
もはや寝たきり・・泣。
明日、ちょうど整形の予約日なので
診てもらいます。。
↑圧迫骨折でないことを、
ひめさんも祈ってくださーーいっっ(切実)


>あのヘビーな、ミネット・ウォルターズを一気に読むとは!

彼女、昔から趣味が似ていて。
でも、訳物は読まない感じで、
だから余計うれしくて♪

>でもって、ミネットにはまるというのは、現代英国ミステリーとの相性がいいと思われます。

はい♪

ほんとーは愛しのダルジールシリーズを
お勧めしたいっっっという
秘かな野望が。。(≧m≦)

↑わたしの大好きな「蜘蛛女のキス」で
感動したらしく。。
↑原作の物語も映像もだいすきでっすヽ(´▽`)/


>最近、本を読むペースが落ちてて、なんとかしたいです。


そんなの気にしないほうが
絶対いいでって!

わたしも、今はリハビリかねて
池波正太郎の「銀座日記」を
読み返し。
↑あまりにボロ(ページ抜けるし・・)になったので
買いなおそうかなあ・・?


ステロイド・・。。
世間ではドーピングで話題になったりしていますが、
わたしたちは「副腎皮質ホルモン剤」
イコール、ステロイドなんですよね。
↑確かに
よく効くかわりに
えげつない副作用がありますけれど。。
まさに、
一冊のミステリになりうるほどの。。
↑誰か書いてくれないかしら(´,_ゝ`)プッ

巻きより(はあと)

マキさん、こんにちは。

え、今度は腰ですか、それは大変(>_<) 寝たきりはきついです。
マキさんの好きな映画やショッピングもおあずけになってしまいますね。
お医者さんの診断はどうだったんだろう。
いまから祈ります(;人;)

ぎっくり腰ならいいけど
寒いからなりがちだし

どっちにしろしばらく安静ですね。
寝ながらだとできること限られてるけど
マキさんなら、いつもどおり夢中になれるものを見つけていると思います!

ステロイドについては、塗り薬くらいです、私がお世話になるのは。
それでも副作用怖いから使用は短期間に抑えておけってよくいわれていて、
実際にどんな副作用があるかは知らないんですよね。
薬はどんなものでも、漠然と怖いと思ってます。
風邪や頭痛なら飲まないで済むけど、
頼らないわけにいかない病気ほど、リスクも大きくなりますね。

追伸)
ハルナさんにはぜひダルジールシリーズもおすすめしてみてください(^_^)

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/55022016

この記事へのトラックバック一覧です: 死んでいた謎のロシア富豪 〜『バッドタイム・ブルース』ほか:

« クロムウェル失脚前夜 〜『暗き炎 チューダー王朝弁護士シャードレイク』ほか | トップページ | 切り捨てられた男 〜『三秒間の死角』ほか »

インデックス

無料ブログはココログ