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2013年7月21日 (日)

人間だけが残される。少しの間は。〜『赤く微笑む春』ほか

2カ月前に読んだ本のメモなので、記憶違いもありそう。

『赤く微笑む春』ヨハン・テオリン著/三角和代訳

(ハヤカワ・ミステリ 2013年邦訳)

エーランド島の石切場のそばのコテージに暮らしはじめたペール・メルネル。ある日彼のもとに、疎遠にしていた派手で傲慢な父ジェリーから、迎えに来るよう求める電話が入る。渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父だった。そして直後に別荘は全焼する。なぜこんな事件が起きたのか? 娘の病気などの悩みを抱えながらも、ペールは父の暗い過去を探りはじめる…(裏表紙より)

Blodlage スウェーデンはエーランド島を舞台にしたシリーズ第3作。

本シリーズの主人公イェルロフは、自分の死期が近いことを感じて高齢者ホームを出て独り暮らしの家に戻り、そこで見つけた亡き妻の日記を罪悪感を覚えながらも紐とき読み始める。その頃、ご近所には2組の新たな住人が引っ越してくる。妻と離婚して島で新しい生活をスタートさせたが、病気の娘を抱えており、長年距離を置いてきた父親からの突然の連絡で大きな事件に巻き込まれようとしているペール。そして、島に関係する暗い過去を持ち、今は威圧的な夫との長年の生活に心身のバランスを崩しそうになっているヴェンデラ。

本作はこの2人を中心にした物語。現在と過去の出来事を絡ませ、さらにご当地色たっぷりな、エルフやトロールというファンタジーな要素と、北欧ポルノという生臭い要素をミステリ題材として並行して扱い、どれも納得いく着地をみせるのが見事です。つなぎとなっているのがイェルロフ。本作もとても重要な役割を果たす。素人探偵にありがちな変な自負とか浮ついたところがまったくなく…なんだろう、この他に類を見ない存在感は…。どうか長生きしてほしいと願うばかりです。

ヴェンデラの子供時代が悲しすぎた。彼女にとってのエルフの存在は、私の場合は幼稚園の裏手にあった雑木林かな。自然ばかりの田舎に育ったけど、あの雑木林の前を通るときだけ不思議な力を感じて、何度かは夜にこっそり出かけて行って、風で木の葉がこすれる音にじっと耳を傾けていた記憶が今も鮮明。やっぱりあそこには何かいたのかな…。

エーランド島4部作は次の「夏」編を残すのみ。この島の風土と、人口密度の低そうな静けさをしみじみ味わいながら読んできた者としては、島がリゾート地と化す夏はあまり魅力的な季節じゃないなあと思うのだが、おそらくその懸念は不要だね。

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『特捜部Q ―カルテ番号64』ユッシ・エーズラ・オールスン著/吉田薫訳

(ハヤカワ・ミステリ 2013年邦訳)

「特捜部Q」―過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。「Q」が今回挑むのは、80年代に起こったナイトクラブのマダムの失踪事件。アサドとローセの調査によるとほぼ同時に5人もの行方不明者が出ているという。カール・マーク警部補は大事件の匂いを嗅ぎつけ捜査に着手。やがて、壮絶な過去を持つひとりの老女と新進政党の関係者が捜査線上に浮かび上がってくるのだが(裏表紙より)

Journal64 もうシリーズ第4弾か!早い~。本作も快調! 憎々しい権力者のキャラクターといい、殺人犯の死体の処理の方法といい、エンタメ度高すぎて、まったく思いが至ってなかったが、ここに登場する強制的な不妊手術や女子収容所は過去に実際にあったものなのね…。著者のあとがきを見て、唖然としちゃったよ。ナチスのやつは知っていたが。

しかし、このシリーズ、カールの出来過ぎた助手アサドの過去については謎のまま。中東の元諜報部員とかそんな感じがするけど、今となってはどうでもいいか(笑

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『六人目の少女』ドナート・カッリージ著/清水由貴子訳

(ハヤカワ・ミステリ 2013年邦訳)

森のなかで見つかった6本の左腕。それは、世間を騒がせる連続少女誘拐事件の被害者たちのものだと判明する。しかし、誘拐された少女は5人だった。6人目の被害者は誰なのか。失踪人捜索のエキスパートであるミーラ・ヴァスケス捜査官は、高名な犯罪学者ゴラン・ガヴィラとともに特別捜査班に加わることになる。だが、警察の懸命の捜査を嘲笑うかのように、犯人は少女の遺体を次々と発見させて(裏表紙より)

Ilsuggeritore 各国で多くの賞を受賞しているイタリア産のサイコサスペンス。通常の警察小説と思わせながら、え、ええええ!という終盤のどんでん返しが重なる展開は、狙いが見え透いてる感じで、あまり好みではなかったかなあ。また、最終章が輪をかけて理解できない。一体、真犯人らしき人物は何がしたかったの。主人公のミーラは何に納得してんの? 『羊たちの沈黙』も苦手部類だから仕方ないか。

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