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2011年10月22日 (土)

おはよう、おばあちゃんたち 〜『ねじれた文字、ねじれた路』

『ねじれた文字、ねじれた路』トム・フランクリン著/伏見威蕃訳
(ハヤカワ・ミステリ 2011年邦訳)

ホラー小説を愛する内気なラリーと、野球好きで大人びたサイラス。1970年代末の米南部でふたりの少年が育んだ友情は、あるきっかけで無残に崩れ去る。 それから25年後。自動車整備士となったラリーは、少女失踪事件に関与したのではないかと周囲に疑われながら、孤独に暮らす。そして、大学野球で活躍したサイラスは治安官となった。だが、町で起きた新たな失踪事件が、すべてを変えた。過去から目を背けて生きてきたふたりの運命は、いやおうなく絡まりあう…。(裏表紙より)

Crookedletter ミシシッピの森林に囲まれた田舎町。地域雇用を支える製材所の経営者の娘が行方不明となり、その騒ぎのさなか、山の湿地で麻薬売人の死体が見つかる。このあたりの風土描写がなかなか読ませて、やはりアメリカ南部の田舎はうす気味悪いミステリの舞台にうってつけだなと思う。
しかし、孤独なラリーの日々の生活の描写、ラリーとサイラスの少年時代の回想にページが割かれはじめると、導入部で想像した小説の類とはまったく違ったテイストを帯びてくる。
凶悪な犯罪組織が浮かび上がるなどのもっと殺伐とした話を想像していたのだが。読み終えてからも、あの最初に殺されていた男にどれほどの意味があったんだろうと思ったりするのだが。でも、これは個人的には良いほうに裏切られたかたちだ。面白かった!

とにかく、長年にわたって周囲から白い目を向けられながらも、真正直に規則正しい生活を送るラリーという人物が魅力的だ。彼はずっと壮絶ないじめにあってきたといっていい。誰もが人生のどこかでラリーのような体験に心あたりがあるのではないか。自分としては、ラリーがティーンエイジャーのときに肝だめし大会でいっとき主役となった場面とその後のクラスメイトたちの反応が、胸に突き刺さった。
本年度の英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞。


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