« スウェーデンミステリーシリーズ 〜『背後の足音』『黒い氷』〜 | トップページ | 新旧アメリカンノワール 〜『逃亡のガルヴェストン』『ガラスの鍵』〜 »

2011年9月18日 (日)

これも北欧発ミステリー 〜『特捜部Q』『魔女遊戯』〜

ヴァランダーシリーズよりも、よく売れたらしいミレニアムの影響か。本当に多い、北欧ミステリーの翻訳。でも実際に面白いものが多いから困る。


『特捜部Q ー檻の中の女ー』ユッシ・エーズラ・オールスン著/吉田奈保子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2011年邦訳)

「特捜部Q」—未解決の重大事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。カール・マーク警部補は「Q」の統率を命じられた。しかし、あてがわれた部屋は暗い地下室。部下はデンマーク語すら怪しいシリア系の変人アサドひとりのみ。上層部への不審を募らせるカールだが、仕事ですぐに結果を出さねばならない。自殺と片付けられていた女性議員失綜事件の再調査に着手すると、アサドの奇行にも助けられ、驚きの新事実が次々と明らかに…(裏表紙より)

Kvindeniburet デンマーク発の警察小説シリーズ。これは楽しいバディもの!
ある事件をきっかけに署内で卑怯者のレッテルを貼られ左遷同然に新部署をあてがわれたカールは、本来の皮肉屋のせいもあって、完全に仕事への意欲をなくしている。対照的に、お茶くみなどの事務要員として雇われた移民アサドは、警察の仕事に異様に興味を示し、捜査についても妙に手際がいい。この2人のやりとりが、ほどよい笑いを誘う。
しかし、2人とも優秀すぎる。だからトントンと話が進み、読み進むのを止められないのだけども。

この巻でははっきりと明かされなかったが、アサドはとんでもない経歴をもっていそうやね。


********************************

『魔女遊戯』イルサ・シグルザルドッティル著/戸田裕之訳
(集英社文庫 2011年邦訳)

アイスランド大学のコピー室でドイツ人留学生ハラルドが、両目をえぐられた絞殺死体で見つかった。祖父の莫大な遺産をつぎ込み、異常な熱心さで魔女研究に没頭していた被害者を、呪い殺すように殺めた犯人の目的とは? 両親の依頼で事件を調べ始めた女弁護士トーラは、次第に魔女の火刑、奇怪な古書が絡むグロテスクな謎に嵌り込んでいく…(文庫カバーより)

Lastrituals アイスランド発のミステリ。いくつか北欧ミステリを読んできたが、この小説ほど名前が覚えにくいと感じたものはなかった。まず主人公がトーラ・グドムンズドッティル。ほかにもエィヨルフスドッティルとか、エイナルスドッティルとか…。アイスランドでは名字がなく、男には「ソン」、女には「ドッティル」を父親の名前に付けて名字代わりとするらしい。知ってみればどうってことないけど、この「ドッティル」が字面として長すぎて、一見ハードル高い。
さらに、英語の「ミスター」や「ミス」に該当すると思われる「ヘル」「フラウ」が訳されずにそのままになっているので最初は混乱する。それもいったん理解すれば、趣になるのだろうけど、面白かったかといえば、うーん、乗れなかった。

実在する中世の魔女狩り教本『魔女への大槌』も登場する歴史ミステリの側面をもつ。オカルトかぶれの大学生たちに手こずりながら、真犯人を追う主人公トーラと、依頼人側から遣わされた元ドイツ警察刑事のマシュー。乗れない最大の原因は、この2人の会話部分の翻訳がぎこちないせいかと思う。ずっと「です・ます」で会話してるんだけど、原作はもっと軽妙なんじゃないかな。アイスランドでは2人に1人は読んだ計算になるベストセラーとのこと。

« スウェーデンミステリーシリーズ 〜『背後の足音』『黒い氷』〜 | トップページ | 新旧アメリカンノワール 〜『逃亡のガルヴェストン』『ガラスの鍵』〜 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/41804517

この記事へのトラックバック一覧です: これも北欧発ミステリー 〜『特捜部Q』『魔女遊戯』〜:

« スウェーデンミステリーシリーズ 〜『背後の足音』『黒い氷』〜 | トップページ | 新旧アメリカンノワール 〜『逃亡のガルヴェストン』『ガラスの鍵』〜 »

インデックス

無料ブログはココログ