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2011年9月25日 (日)

ヒロイン小説 〜『ロザムンドの死の迷宮』『謝ったって許さない』『アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う』〜

ジャンルはばらばら。決めつけるのもなんだけど、明らかに女性受けだろうと思えた3作品。


『ロザムンドの死の迷宮』アリアナ・フランクリン著/吉澤康子訳
(創元推理文庫 2011年邦訳)

ケンブリッジを震撼させた連続殺人は過去のこと。わが子アリーや召使いのマンスールたち、イングランドの地で平穏に暮らしていた女医アデリアは、アリーの父であるロウリー司教に呼び出される。管区オックスフォードシャーにある迷路に囲まれたワームホールド塔で、ヘンリー二世の愛妾ロザムンドが毒を盛られたのだ。最大の容疑者である王妃エレアノールは、幽閉先から姿を消していた。国全体を巻きこむ戦を阻止するべく、アデリアは難事件に立ち向かう…(文庫扉より)

Deathmaze シチリア王国出身の女性検死医アデリア、歴史ミステリシリーズ第2弾。前作『エルサレムから来た悪魔』は個人的にとても面白かった。が、これは、国王お抱えの検死医という身分を隠し、また娘の父親が司教であることを隠して事件解決に奔走する主人公アデリアの、男顔負けの働きが前作ほど華々しくなく、ヘンリーとのロマンスが強調され、ちょい期待はずれ。でも、史実をふんだんに盛り込んでいて、そのあたりの歴史が好きな人には楽しく読めそうだ。

著者アリアナ・フランクリンはこのシリーズ4作目を最後に今年1月、77歳で亡くなられた。もっと若い作家を想像していました。お悔やみ申し上げます。


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『謝ったって許さない』ソフィー・リトルフィールド著/嵯峨静江訳
(ハヤカワ文庫 2010年邦訳)

ミシンと手芸の店を営むステラおばさんの裏稼業、それは女性を苦しめるクズ男に過激な天誅を下すこと! ある日、以前助けた若妻クリッシーが子供を別居中の夫にさらわれたと泣きついてきた。どうやら徹底的なお仕置きが必要ね——だが、その夫は怪しげな犯罪組織と関わっているようで……ヤバい奴らを向こうに回し、 ステラとクリッシーの熱い戦いが始まった…(文庫カバーより)

Baddayforsorry 「ミシンと手芸の店を営むステラおばさん」だと??? 読んだあとにこの描写に気付いてものすごい違和感(笑) いやいや、こんな小説が登場するのって、銃社会、加えて何でもやることが極端なアメリカならではなのではないかな。
主人公のステラは更年期障害に悩む50歳。DV夫を正当防衛において殺害した過去を持ち、今では同じくDVに苦しんでいる女性たちからの依頼を受けて、相手の男性を力ずくで懲らしめる違法すれすれの仕置き人をやっている。そのためにふだんから体も鍛えたりしているんですけどね。

コージーっぽい軽妙な会話と、銃も平然とぶっぱなすバイオレンス描写の両立を、気持ち整理して楽しむことができなかったよ。まだ若く、はすっぱな印象のクリッシーの無謀な行動にはなんの違和感もないのに、肝心のステラについては、なにか腑に落ちない。どうしてだか自分でもわからないけど。
2010年アンソニー賞最優秀新人賞受賞作。


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『アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う』ゲイル・キャリガー著/川野靖子訳
(ハヤカワ文庫 2011年邦訳)

19世紀イギリス、人類が吸血鬼や人狼らと共存する変革と技術の時代。さる舞踏会の夜、われらが主人公アレクシア・タラボッティ嬢は偶然にも吸血鬼を刺殺してしまう。その特殊能力ゆえ、彼女は異界管理局の人狼捜査官マコン卿の取り調べを受けることに。しかしやがて事件は、はぐれ吸血鬼や人狼の連続失踪に結びつく——ヴィクトリア朝の歴史情緒とユーモアにみちた、新世紀のスチームパンク・ブームを導く冒険譚、第1弾…(文庫カバーより)

Soulless 一般的なジャンルはSF・ファンタジーか? 少女漫画タッチの文庫表紙イラストそのまんまのテイストの小説だった笑 これ、このまま漫画作品になってもまったく違和感がない。もともとスチームパンクとは、漫画やアニメにおいて大人気のジャンルらしいけど。

強くて賢い、同性受けする主人公キャラに、シンデレラストーリーをプラスし、時代ファッション、グルメ、ゲイらしき友人を含め、女子に好まれる要素てんこ盛り。バンパイアものが根強い人気があるのは知っていたが、オオカミ男もありなのね。
うん、文句なしに楽しかった! 次作もすでに翻訳出版されているけど、個人的にはもうこれで十分といった感じ・・・年を取るっていやーね。
全米図書館協会アレックス賞受賞作。

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