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2011年8月28日 (日)

ウィンズロウ2作 〜『サトリ』『夜明けのパトロール』〜

最近、過眠症のような体調(いくら眠っても眠気が消えない、起きている時にもひんぱんに夢を見る)が続き、ブログを更新する気力もなくて。でも、本に敬意を払うために簡単な感想くらい書こうと自分に言い聞かせたら、少し力がわいた。溜まっているけど、少しずつ。


『サトリ』ドン・ウィンズロウ著/黒原敏行訳
(ハヤカワ・ノヴェルズ 2011年邦訳)

1951年東京、ニコライ・ヘルは巣鴨拘置所で服役中、CIA局員ハヴァフォードの訪問を受ける。ハヴァフォードは釈放と引き換えに、ある人物の暗殺を依頼。ニコライはフランスの武器商人を装うことになり、ソランジュという美しい女性から完全なフランス人になる訓練を受ける。やがてハヴァフォードから標的について明かされる。朝鮮戦争が始まり、中国とソ連の連携が深まることを警戒したアメリカは、中国で暗躍するKGB幹部を暗殺して互いを反目させようと企んだのだ。そして準備が整い、ニコライは北京に乗り込む…。(書籍カバーより抜粋)

Satori 日本的精神の真髄〈シブミ〉を会得した孤高の暗殺者ニコライ・ヘルは、いかにして暗殺者となったのか。トレヴェニアンの『シブミ』では省かれていたこの部分を、青春タッチの冒険小説も得意とするドン・ウィンズロウが小説化。

ジェームズ・ボンド風という感想を見かけたが、中国とベトナムを舞台にした異国趣味のスパイ活劇、美女の役回りなど、まったく同じことを思った。私が思い浮かべたのは昔、映画で見たそれだけど。

普通に面白く読んだが、細かなところで記憶に残るのはトレヴェニアンの小説のほう。オリジナルは強し。また、トレヴェニアンのほうが作家の個性を鮮明に感じるせいもある。ウィンズロウは以前は経歴に「アメリカ政府の対アフリカ諜報活動に従事」とあったけど、最近の本の著者紹介ではそこらへんは具体的に触れられていないみたい?


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『夜明けのパトロール』ドン・ウィンズロウ著/中山宥訳
(角川文庫 2011年邦訳)

カリフォルニア州最南端、サンディエゴのパシフィックビーチ。探偵ブーン・ダニエルズは、夜明けのサーフィンをこよなく愛する。まわりには波乗り仲間 “ドーン・パトロール”5人の面々。20年ぶりの大波の到来にビーチの興奮が高まる中、新顔の美人弁護士補がブーンのもとを訪れた——仕事の依頼。短時間で解決するはずの行方不明者の捜索は困難を極め、ブーンの中の過去の亡霊を呼び覚ます…(文庫カバーより)

Dawnpatrol 日本では『サトリ』の次に出版されたものだから、その影響を探してしまったが(日系アメリカ人らが登場したりするもので)が、執筆順としてはそれより前。『フランキー・マシーンの冬』の次に書かれたもので、サンディエゴという舞台、サーフィンという題材が共通している。著者自身はニューヨーク出身だが、現在は南カリフォルニアに住んでいるそうで、この作品は新たなご当地小説シリーズになる。

“ドーン・パトロール”という言葉が、小説の中では、ブーンらサーフィン仲間の愛称であるとともに、ある卑劣な犯罪の隠語として登場する。終盤、その両方をシンクロさせてしまう描き方がエグいよ。2つの言葉の意味合いにギャップがありすぎてなんとも。個人的には『フランキー・マシーンの冬』のほうが好みだな。

でも、カリフォルニアのサーフィンの歴史や、サモア人やハワイ出身者などのオセアニア・コネクションの存在などに詳しいので、ちょっとした勉強をした気分になる。

あと、生まれながらのサーファーである主人公ブーンが、南カリフォルニアのサーフィンを“いかしたライフスタイル”の小道具に変えてしまった主犯として、ビーチ・ボーイズを何より恨んでいるのが面白い。もとい“ライフスタイル”という言葉そのものが嫌いなのだ。この点は大いに共感。ライフスタイルって、小金持ちに何かを売りつけるために考え出された言葉というイメージしかない。


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コメント

あ、「サトリ」って文庫で出てるの!? ヤバい!!
夜明けのパトロールの「ヤツらが西海岸をよそ者たちの駐車場にした」ってのが面白かったですねー。

Djangoさん、こんばんは。

『サトリ』は文庫じゃなくて、『ミレニアム』なんかと同じソフトカバーのやつです。
これから売れ線はこの形になるんでしょうかね。少しお高いです(上下巻合わせて3200円…)。

ビーチ・ボーイズって、サーファーに支持されていると思ったら、にわかのバイブル扱いでおかしかったです笑

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