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2011年7月 4日 (月)

父から子へ受け継がれるもの 〜「BIUTIFUL ビューティフル」〜

BIUTIFUL ビューティフル(2010年 スペイン/メキシコ)

バルセロナの下層に暮らし、不法就労斡旋のブローカーという非合法な仕事によって日々の糧を得る男は末期ガン、分かれた妻は躁鬱病を患い病院を出たり入ったり。それでも2人の子供たちにはちゃんとした教育を受けさせ、まともに育ってほしいと願うが、残された時間はあまりに短く…。

Buitiful 先週、映画館で観た。
英国王もスワンも映画館に行かず仕舞いになってしまったが、ようやく奮起してこの映画を観に行ったのは、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督と、ハビエル・バルデム主演という組み合わせに引かれてのこと。バルデム、出ずっぱりだけど、主演の華があるから、引き込まれてしまいます。

非合法な仕事のかたわら、バルデムは近隣の人々の葬儀に呼ばれ、遺体を前にその者の遺言を聞き出し、遺族に伝えるという霊媒師のような小遣い稼ぎもしている。メキシコの監督の映画は死者の扱いが独特で面白い。祖先のガイコツを家に飾ってきた伝統と関係があるのだろうか。

(注意:以下ネタバレ)

バルデムが貯めてきたお金を渡して、子供たちの面倒を見ることを託したあの人は、あのまま祖国に帰ろうとして、何かに巻き込まれ命を落としたのだろう(と、自分は判断したけど)。おとぎ話のような甘いところは一切ない映画だったが、ラストで、父親から長女に、祖母の指輪とともに受け継がれたものがあることが分かったときに、静かな感動がある。娘自身はまだ気づいていない。父親は気づいただろうか。血は引き継がれていくという何よりのあかし。

ヨーロッパの不法就労者の描写では、偽ブランド品を路上で売るセネガル人たちが、警察の手入れが入ったときのためにすぐに店をたためるパラシュート式の敷物を考案して使っているところが面白かった。あれだけで、彼らがいかに際どいところで生きているかが分かるってもんだ。
あと、中国人の同性愛者が登場するが、中国では一人っ子政策の影響か、同性愛者が急増しているというニュースを目にしたばかりだったので、これもリアルな感じがした。


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コメント

初めてコメントいたします。
ウスバルが子供たちを託したあの人は、一旦は出たものの、ウスバルのところに戻ってきた、と私は思いました。
シルエットしか見えないので、確実ではないですが、ウスバルが部屋から呼びかけたらドアの向こうで返事をしていたように思います。
一度しか観ていないので間違っていたらごめんなさい。
お邪魔しました。

>Lumosさん
はじめまして。コメントありがとうございます!

私は眠気予防ガムを噛みながら見ていたので自信がなかったのですが、あそこは迷いました。
ドア越しに返事が聞こえたあとで、主人公が部屋を出たとき、天井に浮かんでいる人がいて、あの人の顔に見えたので、あ、亡くなったんだと思ったんです。
(死者が見え、聞こえる人という設定なので)

どっちに解釈していいのでしょうか。
他の人の感想も知りたくなってきました。

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