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2011年1月

2011年1月17日 (月)

カントナだからね。 〜「エリックを探して」〜

社会派といわれるケン・ローチ監督。意表をついてのほのぼのコメディ!

「エリックを探して」(2009年 イギリス/フランス/イタリア/ベルギー/スペイン)

マンチェスターの郵便配達員エリック・ビショップは、しょぼくれた中年オヤジ。2度の結婚に失敗した彼は、7年前に出て行った2度目の妻の連れ子2人を一人で育ててきた。しかし、その2人の息子はいまやすっかり問題児。おまけに、未だに心から愛しているものの、今さら合わせる顔がないと感じていた最初の妻リリーと再会しなければならなくなり、気持ちが沈んでいた。そんな彼の心のアイドルは、地元フットボールクラブの英雄、エリック・カントナ…(allcinemaより)

Lookingforeric この映画、マンチェスターユナイテッドで「キング」と呼ばれたエリック・カントナは出演だけでなく、原案と製作にも携わっている。で、まずは主人公のオヤジの部屋の壁に貼られた等身大のエリック・カントナのポスターに吹き出すんだけど、カントナだから嫌みがないのよ。で、クライマックスのどたばた展開も、数々の武勇伝?を残したカントナが題材なので、これまた大いにありです。

落ち込んでやけを起こしたオヤジが息子の部屋からくすねたマリファナを吸うと、カントナが目の前に出現。オヤジの愚痴に対して、次々とフランス語で格言を繰り出して励ます。カントナの姿は他の人には見えない。要するにオヤジの妄想なんだけど、夢見る若い子がやるような妄想をオヤジがやって違和感ないのは、彼がサッカーのサポーターだから(というのを先日読んだ『ぼくのプレミア・ライフ』で私も理解したつもり)。

一方で、郵便局の仲間たちとの愉快なやりとりや、息子を守ろうとして味わう恐怖など、一つ一つの場面がとても自然で、完成度が高い。ひとことでセンスが良い。面白かったです。


2011年1月16日 (日)

ハッカーは何を夢見る? 〜「ソーシャル・ネットワーク」〜

昨年の映画賞の本命とされる映画。うん、よく出来ていてとても面白かった。

「ソーシャル・ネットワーク」(2010年 アメリカ)

ベン・メズリックのベストセラー・ノンフィクションを基に、誕生からわずか数年で世界最大のSNSへと急成長したfacebookをめぐる創業秘話を、鬼才デヴィッド・フィンチャー監督が映画化した青春群像ドラマ。(allcinemaより)

Socialnetwork オープニングで、facebookの創始者マーク・ザッカーバーグが女性に振られてしまうことになる会話のシーンと、学生寮まで走って帰るシーンだけで、彼の頭の回転の速さや、オタク的なものの考え方、人づきあいの不器用さなど、どんな人物かを伝えきってしまう濃縮度に圧倒された。演じるジェシー・アイゼンバーグの上手さもあるのだろう。

facebookのアイデアを盗んだとマークを訴えることになる上級学生のウィンクルボス兄弟が、例えが古めだけど、まるで「スターシップ・トゥルーパーズ」に出てきそうな白人エリートで、生まれながらの選ばれし人間を自負してそうな容姿に目が釘付け笑(双子である兄弟があまりに似ていたせいもあるが、実は一人の俳優が二役を演じてたんだね。まったく気づかなかったので後で驚いた。)
実在の人物を扱うために映画はできるだけ平等な視線で作られているらしいが、現実は別として、こんなコンプレックス皆無に見える双子が相手なら、大抵の人はマークのほうに肩入れしてしまうだろうと思うんです。マークは、このエリート兄弟や、華やかに遊びまくるショーン・パーカー(Napsterの創設者の一人)、お金の匂いに引かれて寄ってくるアジア系の女たちに比べたら、人間的にはまったく無害、かわいらしく思えてしまう。

ショーンを演じているのがジャスティン・ティンバーレイクで、登場した場面では、もしかして本人役でゲスト出演?と勘違いしそうになった。現代のエンタメ界のスーパースターと、IT業界の寵児となった人物の、社会的ステータスや若くして大金持ちになることの危うさなど共通する部分を暗に表現しているように思えた。

人間関係のために労力を費やすなんてばからしいという姿勢を貫き通すマークの生き方は、私には一種のカタルシスをもたらした。自分も社交的なことが苦手なもので。しかし映画のなかで唯一、facebookを一緒に立ち上げた友人エドゥアルドとついに決裂した直後にマークのもとに届けられた2つの箱・・・あの中身は謎のまま終わったが、私なりに想像して、本当にこいつは不器用なやつと、切ない気持ちになった。


地域スポーツクラブ・ミステリー 〜『湖は餓えて煙る』〜

2010年アンソニー賞最優秀ペイパーバック賞、バリー賞最優秀ペイパーバック賞受賞作。

『湖は餓えて煙る』ブライアン・グルーリー著/青木千鶴訳
(ハヤカワ・ミステリ 2010年邦訳)

ある冬の夜、湖に打ちあげられたスノーモビル。それは10年前別の湖で事故死した伝説的アイスホッケー・コーチが乗っていたはずのものだった。彼を失い衰退した町にかつての英雄の死への疑念が膨らむ。取材にあたるコーチの元教え子、地方紙記者のガスは、誰にも望まれぬまま町の歴史と最愛のチームの暗部に切り込んでいくことになるが…。(裏表紙より)


Starvationlake ミシガン州北部の田舎町を舞台に、少年アイスホッケーチーム躍進の裏で起きていたおぞましい出来事を、当時チームのゴールキーパーとしてその渦中に身を置いていた地方紙記者が暴いていく・・・著者はウォールストリートジャーナルの現役記者ということで、サブストーリーにはそのジャーナリストとしての経験も反映され、妙なリアリティがあって面白かった。

カナダと並んでアイスホッケーが盛んなアメリカ北部。少年チームの活躍が田舎町の景気にも大きな影響を及ぼすほどになると、どこかしらゆがみが生じてくる。本書ではコーチが町にとって絶対的な存在になりすぎたゆえに見過ごされた不幸、と思いきや、もう一つ裏があった。本筋と並行して描かれる、過去にガスが書いた記事に対する訴訟が最後うやむやになってしまったのが少し残念だが、これもアメリカらしい題材であった。


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『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里
(角川文庫 2001年)

Usotsukiaanya 1960年からの4年間、プラハのソビエト学校(世界各国の共産党員の子女が通っていた学校)に在籍した著者が、30年を経て、当時の親友3人の所在を探し出し、訪ねていく。そこで少女時代には知り得なかったことに気づかされるというノンフィクション。
評判どおりの面白さだった。プラハの春に始まる東欧の激動の歴史を経ても、日本人のマリと、ギリシャ人、ルーマニア人、ボスニア・ムスリムの旧友たちとの友情には何の変わりもなかったことが、むしろドラマチック。
友人ヤスミンカの父親が語ったボグダーノビッチ先生の話が泣ける。


2011年1月10日 (月)

愛菜ちゃん!愛菜ちゃんだよね? 〜「キック・アス」〜

「キック・アス」(2010年 イギリス/アメリカ)
★★★


Kickass 最近何を見てもあまり面白いと感じない心境のせいもあるが、こういうオタク的な、MTV番組的なB級映画はもう食傷気味かもしれない。この手のカルチャーに思い入れのある人は、見終わった後にいろいろ分析して楽しめるんだろうけど、一般的なオトナも見て面白がれる映画には達していないと思う。そして、BGMがうるさい。終始フルボリュームの音量に耐えられる若さが私にはない(汗

内容的には、いま日本各地を騒がせている「タイガーマスク」美談を思い浮かべるものがあった。あれも同一人物の仕業でなければ、フットワークの軽さの背景に、リアルタイムな情報にあふれ年中お祭りが勃発しているインターネット社会が多少なりとも影響しているように思える。


そういえば先日、動画サイトにあった「レッド・サン」(三船・ブロンソン・ドロン共演)を通して見てしまった。子供の頃に一度テレビで見たきりだったのに、けっこう細かい部分まで覚えているものね。


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