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2010年12月12日 (日)

「いつだって準備はできてるよ」

スコットランドのリーバス警部シリーズ、17巻目にしてついに最終刊! といっても、日本ではまだシリーズ中盤の4巻が未翻訳…。残念だけどそのままになってしまいそうだ。


『最後の音楽』イアン・ランキン著/延原泰子訳
(ハヤカワミステリ 2010年邦訳)

クリスマス近づく夜、エジンバラ城脇の寂しい道で、ひとりの男が撲殺された。被害者は、ロシアから逃れてきた亡命詩人。引退を翌週に控えたリーバスは、なんとしても事件を解決せねばと焦る。捜査線上にはあの宿敵カファティの影も浮かんできた。しかし外交と政治の迷路にはまり、思うように捜査は進まない。最終日は容赦なく迫ってくる。そしていつものごとく直感を信じ、自分流に行動するリーバスに、まさかの厳しい処分が…。(裏表紙より)


Exitmusic 職場引退まで10日の時点から始まる物語なので、リーバスの刑事としての活躍が見られるのは本当にこれが最後となる。しかし、コリン・デクスターのモース警部シリーズなどと違って、雰囲気的にはいままでのシリーズとなんら変わることなく、リーバスと愛弟子シボーンらの日常(ほぼ捜査)がたんたんと綴られていて、そんなところもこのシリーズらしい。そして、本作も長編!

前作の『死者の名を読み上げよ』同様、本作の各章には2006年11月15日から11月27日までの日付がふられていて、現実に国内で起きた出来事を絡めながら物語は進んでいく。例えば、この期間に起きたリトビネンコ毒殺事件は、おそらくこの小説のヒントにもなったに違いない。
ほかにも全世界の路上監視カメラの2割がイギリスにあるという事情、パブにも行き渡った禁煙条例、当初の予算の10倍もかかって完成した奇抜なデザインの議事堂を拠点に高まるスコットランド独立の気運・・・あと、リーバスらが捜査報告のために集ったパブで、客がテレビで放映されるチャンピオンズリーグのセルティック対マンチェスターU戦が始まるのを待っている描写がある。あの日本人選手がFKを決めて、セルティックが初の決勝トーナメント進出を果たした試合。といっても、シボーンは別のクラブチームのサポーターだし(ハーツだったけかな?)、描写はそこまで。

人気に支えられてきたシリーズ、弱みを見せないリーバスのキャラクターからして、正直ここら辺りが引き際だったかもしれない。退職の日に持ち帰った私物は「安物のボールペンを2本と販売期限をゆうに1年も過ぎた袋入りの風邪薬」のみ。金時計のプレゼントも自ら断った。
さよならリーバス。もしかしたら何年後かに引退後の番外編が出るかもしれないその時の再会を期待して。

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