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2010年7月19日 (月)

長編ブラックユーモア小説 〜『ウサギ料理は殺しの味』〜

『ウサギ料理は殺しの味』ピエール・シニアック著/藤田宜永訳
(創元推理文庫 2009年)

フランスの田舎町で起きた連続女性絞殺事件。たまたま町を通りがかった元刑事の探偵事務所調査員が、ほんの好奇心から調査に乗り出す。やがて分かったのは、町のレストランで狩人風ウサギ料理が出された木曜日の晩に限って殺人が起きるということ…。


Femmesblafardes 若干ネタ晴らしをしてしまうと、町には個性的な面々がいて、彼ら彼女らの生活習慣が風が吹けば桶屋が儲かる式につながっているのが、殺人事件を招くからくり。しかし、この小説の本当の持ち味が発揮されるのは、そのからくりが分かり事件も落着した後のパート。

元は中公文庫から1985年に刊行された仏ミステリ。再刊のタイミングや邦題などからすると『麗しのオルタンス』の次を狙ったのだろうか。あっちはネコ好きもお墨付きを与える愛らしいネコ、こっちは狩りで仕留められたのちに調理されたウサギしか出てこない点で、結びつけるには無理があるけど…。その代わり、美食や性欲ネタが豊富に入っているところがフランスらしい。もちろんブラックユーモアのセンスもどっぷりフランス。ブラックユーモア小説というと、昔はローラン・トポール、ボリス・ヴィアン、イギリスのロアルド・ダールとかけっこう好きで読んでいたのでどこか懐かしい感じもした。


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こちらは1952年に書かれたアメリカ・ノワール小説の2005年邦訳版。マイケル・ウィンターボトム監督で映画化と聞き、積ん読してあったことを思い出して読む。

『おれの中の殺し屋』ジム・トンプソン著/三川基好訳
(扶桑社ミステリー 2005年)

テキサスの田舎町のしがない保安官助手ルー・フォード。愚か者をよそおう彼の中には、実は危険な殺し屋がひそんでいた。長年抑えつけてきた殺人衝動が、ささいな事件をきっかけに目を覚ます…( 文庫裏表紙より抜粋)。


Killerinsideme なるほどこれは出版された当時としては画期的、今のほうが無理なく受け入れられる犯罪小説というのが分かる。しかし、よりによって女性への暴力を抑えられないという、許しがたきデーモニッシュな主人公の最後あたりのつぶやきが、心の叫びのように思え、美しい小説に触れたとさえ思えてしまうのはなんでだろう(翻訳もうまいです)。男の一人称で綴られるこの小説、むちゃくちゃな理屈、矛盾さえも多いのに、たまにするどい真実を突いてくる。そして「おれ」の中には殺し屋もいるが、愛をちゃんと分かっている「おれ」もいる。




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今さらになってしまうが、チャバララの豪快なゴールで始まり、カシージャスの感極まった涙で終えた2010サッカーW杯、楽しみました。
サッカーのこの大会だけは若い頃からできるだけ観ている。サッカー通でもなんでもないので、いちばんの楽しみは強豪国以外のチームの番狂わせな活躍だったりする。もちろん今大会はそのうちの一つが日本だったのがダブルの喜び。ベスト8は奇跡でもなんでもなく可能だったと感じるところが惜しくてたまらないけれど、その、あと一歩の困難さってやつが、次のドラマを生むのに欠かせないのだ。
にわか本田圭佑ファンになってしまったので、ロシアリーグの試合をテレビで観ようと思ったが、今の住環境でのスカパー契約までの道のり、視聴料の高さから断念。ネット視聴で我慢します・・・これって違法? 今晩もあります。また夜更かしをしなきゃならない。


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