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2010年5月29日 (土)

4月・5月に観たDVD

「南極料理人」(2009年 日本)
★★★★
南極観測隊の調理担当としてドームふじ基地で越冬した西村淳の痛快エッセイ『面白南極料理人』を、堺雅人主演で映画化(allcinemaより)。
2時間強は長すぎる気がするけど面白い! 南極観測隊にはどんな人たちが派遣され、極寒の閉ざされた環境でどんな共同生活を送っているのか、それを伺い知ることができるだけでも十分に楽しかった。
脱力系エピソード満載の学生寮のような生活を、いつもオーバーなアクションで笑わせる俳優(生瀬勝久とか)が抑えた演技で演じているのがとてもいいと思った。限られた食材を工夫し、日替わりで供される食事に対し、隊員たちの反応は最初は無頓着だが、やがて食べることに楽しみや慰めを見いだしていく様子も控えめに表現されていて好感がもてる。しかし、寝室は個室なのに、トイレが丸見えなのが解せないわ。実話だと思うけど、ドアをつけられない理由があるのかしら。 


「扉をたたく人」(2007年 アメリカ)
★★★★
妻を亡くして以来、心を閉ざして生きる初老の大学教授(リチャード・ジャンキンス)が、ひょんなことから出会ったシリア人のジャンベ奏者との友情を通じて、次第に本来の自分らしさを取り戻していく姿を、9.11以降非常に厳格な措置を講ずるようになったアメリカの移民政策を背景に綴る。監督は俳優としても活躍するトム・マッカーシー(以上allcinemaより)。
教授の職にしがみついてはいるが、何もしていないに等しい生活を送る教授。その硬直した心を解きほぐすのが、亡き妻が残したピアノではなく、初めて接した躍動感あふれるアフリカンドラム。そして、即興でやるセッションの楽しさって、分かるわ〜。フェラ・クティのCDが登場したときは思わず興奮した。後半は音楽の影が薄れてしまったのが少し残念に感じたが、今のアメリカでは、移民の人権については彼らが捨ててきた国と大差はないという皮肉が込められ、異質なものに対して扉を閉ざすことで失われるものもあるのではないかと想像させる映画になっている。
ジャンベ奏者の母親役でヒアム・アッバス。アラブ系の中年女優といえばこの人ってくらい売れっ子じゃありませんか。意志の強そうな顔立ち、凛とした雰囲気と色気もあって、重宝されるのに納得。そしていかにもブラックアフリカな美人ダナイ・グリラの、丸刈り頭のカーブの見事さに見惚れた。


「縞模様のパジャマの少年」(2008年 イギリス/アメリカ)
★★★★
強制収容所で働くナチス将校を父に持つ少年が、収容所の実情を知らぬまま、偶然出会った同い年のユダヤ人少年と禁じられたフェンス越しの友情を築いていく姿を感動的かつ衝撃的に描き出す(allcinemaより)。
世界的ベストセラー小説の映画化。マーク・ハーマン監督といえば、イギリス映画「シーズンチケット」が好きで、主演の少年が強烈に印象に残ったが、この映画も主演の男の子の眼がものすごく印象的! まだ曇ることを知らず、何もかも吸い込んでしまいそうな大きな瞳が、怖いくらいの無垢さをうまく表現。また、その瞳がカメラレンズのように、大人たちの虚構の醜さを暴き出す。
映画は、少年のその無垢さゆえにとんだ皮肉な結末を迎える。でも、これを感動作(映画の宣伝コピーにあった)と呼ぶのには違和感があるのよね。よくできた映画だけれど、自分が「感動」という言葉から思い浮かべるのは、気分が良くなるものが含まれている場合に限られる。ユダヤ人差別なんて知らない子供が、ユダヤ人の子供と仲良くなることを感動ととらえるのなら、それこそ偏見に基づくってものだ。
旬の女優といってもいいヴェラ・ファーミガが母親役。この映画でも雰囲気があってよいです。


「パッセンジャーズ」(2008年 アメリカ)
★★★★
臨床心理学が専門のクレア(アン・ハサウェイ) は、飛行機事故で生き残った5人の乗客のセラピーを担当することに。しかし、事故の原因を巡って生存者と航空会社の説明が食い違っていることに疑念を抱き、真相を突き止めようとする…。
サスペンス映画と思わせて、実は真摯な癒しの映画。泣かすことだけに力を注いだ安っぽい映画は嫌いだが、この作品はミステリアスな展開とダークな映像で引き込まれた! しかし、ちょっと検索してみたら、観た人の評判は散々ではありませんか。ふ〜む、そうなのかあ…。
結末の予想がつくことにケチをつける意見を見かけたが、その結末を、自分は自然な流れとしてすんなり受け入れられたことをむしろこの映画の良い点として評価したい。怪しげな人たち(出演者たち)ばかりが登場するが、最後は気持ちよいほうに裏切られ、同時にはっきりするこの映画の本当のテーマもシンプルで、泣けた。監督はロドリゴ・ガルシア。ガブリエル・ガルシア=マルケスの息子。そういえば、幻想的な部分はラテン文学の血筋かも。映画の内容は9.11以降のアメリカ合衆国をおおう空気を反映したものと思われるが。


「スター・トレック」(2009年 アメリカ)
★★★☆
J・J・エイブラムス監督。最初のテレビシリーズを再放送も含め欠かさず見ていた者としては、懐かしいキャラが一人、また一人と登場し、設定がどんどんよみがえってくるところが楽しかった。「ミスター・カトー」や「チャーリー」がドラマの日本語吹き替え版でしか通じない名前だというのを今さら知った。クライマックスがあっけなくて拍子抜け。ウィノナ・ライダーとエリック・バナが出ていたことにまったく気づかなかった。


「ドゥームズデイ」(2008年 アメリカ)
★★★☆
ニール・マーシャル監督が往年のディストピアムービーにオマージュを捧げつつ、カースタントやソードバトルはじめ多彩かつハードなアクションとスプラッター描写満載で描く近未来バイオレンスサスペンス(allcinemaより)。
製作アメリカとあるけど、監督をはじめ出演者や舞台もイギリス。序盤で、銃弾が目に当たっても泣きもしない女の子、ありえない!と思っていたら、その子は、殺人ウイルスが襲う英国を救うべく結成されたチームのリーダーとなって活躍する誰よりもタフな女性兵士へと成長・・・てことで、主演のローナ・ミトラのクールさが良かったわ。意表を突くおまけのようなラストは、「まだまだ続くぜ、おまえら(←こういう世界観の映画が好きな人たち)!」宣言のようで、サービス精神が旺盛。DVDパッケージには「アンレイテッド・バージョン」とあるが、劇場公開版とどこか違うのだろうか?


「湖のほとりで」(2007年 イタリア)
★★★
北イタリアの小さな村を舞台に、そこで起きた殺人事件の捜査の過程で、村人一人ひとりが隠し持つ心の痛みや葛藤が浮き彫りとなっていくさまを静謐なタッチで描き出したヒューマンミステリー。監督は本作で長編デビューを飾ったアンドレア・モライヨーリ(以上allcinemaより)。
設定やストーリーは英国などの警察ミステリーを思い起こさせる。調べたら、原作は各国で翻訳が出ているノルウェーのミステリー小説であるとのことで納得。ヨーロッパでも気候が寒々とした地方によく似合うこの手の物語は、小説だったらとても好みで、似たような内容でも細部の面白さで飽かずに読める。しかし、映画だと鑑賞の勝手が違うというか、映像化によるプラスアルファが自分には感じ取れず、ちょっとばかり退屈だった。


「40男のバージンロード」(2009年 アメリカ)
★★★
結婚式を目前にした勝ち組男子が、ひょんなことから親友探しをするハメになり、やがて悪戦苦闘しながらも大切な何かを見つけ出していく姿をユーモラスに描く(以上allcnemaより)。
ジョン・ハンバーグ監督/脚本の日本未公開作品で、原題は「I Love You, Man」。最近の未公開コメディ作品DVDは、ろくでもない邦題がついているものが多くて、かえって興ざめ。他の映画タイトルを真似たDVDが目につくが、内容をちゃんと伝えていない邦題をつけられて割食ってる作品がありそうだ。
恋人との接し方と親友との接し方の違いなどは、面白いところを突いていると思うけれど、キャラクターにインパクトがないせいかコメディとしては物足りないし、ヒューマンものとしては現実味が足りない。ポール・ラッドはいつもの脇役のほうが良いかしら。巨体のジェイソン・シーゲルがチャーミングだわーheart01 他の出演作も見てみる!


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