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2010年2月11日 (木)

悪行は生き延びる

『余波』ピーター・ロビンスン著/野の水生訳
(講談社文庫 2009年邦訳)


Aftermath__2 「隣家で家庭内暴力が起きている」との通報を受けて警邏中の巡査が到着すると、妻はケガを負って倒れており、地下室には少女の全裸死体。追い詰められた夫の中学教師は巡査に襲いかかり、争いの中で巡査の一人が命を落とし、教師も重症を負う。その後、家から得られた証拠により、教師はヨークシャー近辺で起きていた連続少女失踪事件の犯人とされるが…。


金髪の美少女ばかりが狙われる暴行殺害事件の犯人と思われる男が冒頭であっけなく死ぬ、というところから物語が始まる構成が珍しいかもしれない。英国ヨークシャーを舞台とするアラン・バンクス主席警部シリーズ第12弾。このシリーズは以前に『渇いた季節』を読んだきりで、それは叙情派ミステリーと言われるのも納得する部分があったと思うが、これは題材がおぞましすぎて少々憂鬱になった。もともとあまりこの手の題材は好きじゃない。刺激的なのを狙っている感じがして。

あと、会話文の訳がところどころ気になる。捜査を仕切るバンクスは相応な渋さを持った中年男だと思うが、特に親しい女性と話しているときの口調がまるで十代の少年みたいに軽くて(「ほんとだってば」とか)、かなりの違和感。キャラクターのイメージ形成にかかわるので、口語の部分がどう訳されるかはけっこう大事だ。


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『1000の小説とバックベアード』佐藤友哉著
(2007年刊行 新潮文庫)


1000noshosetsu_2 依頼人のリクエストに応じた物語を書いて処方する「片説家」の仕事を解雇され、家で腐っていた「僕」は、見知らぬ女性の訪問を受け、2つの用件を切り出される。1つは小説の執筆、もう1つは失踪した妹が依頼した片説を読ませてほしいというものだった…。


ふだん純文学を読まない私なんかがいきなり読む本じゃなかった。正直、どこを面白がって読むべき小説だか分かりません〜。すごくマニアック、というか、かなり個人的な物語を読まされたという印象。つまり、この本そのものが、小説家が小説家自身のために書いた「片説」。しかし、小説家が「これは小説だ」といったら小説だということらしいのだ。
三島由紀夫賞受賞作。

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