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2010年2月28日 (日)

ダルグリッシュ最後の事件!?

『秘密』P・D・ジェイムズ著/青木久惠訳
(ハヤカワミステリ 2010年邦訳)


Privatepatient 成功したジャーナリスト、ローダは47歳を迎えて人生に一つの区切りをつけようとしていた。少女のときに酔っぱらった父親に負わされた醜い顔の傷跡をようやく消すことにしたのだ。高名な形成外科医を訪ねた彼女は、 金持ち対象の自費患者コースを選び、医師の所有するドーセットの荘園に滞在して手術を受けるが、その夜、何者かに絞殺される。そして、駆けつけたダルグリッシュ率いる特捜チームによって、犯人はクリニックと荘園の関係者に絞られる…。


P・D・ジェイムズは1920年生まれ。巻末解説には「現役のミステリ作家としては、同年生まれのディック・フランシスとともに最長老というべき存在になりました」と書かれているが、そのフランシスは偶然にも今月亡くなったわけだ。

400年以上の歴史をもつ荘園と、魔女処刑伝説が残る古代のストーンサークルという、ドーセット州の魅力をたっぷり盛り込んだ本作は、2008年に刊行。ミステリ作品としては偉大なるマンネリズムの域にあると思うが(でも、人間描写は相変わらず面白い)、この年齢でこのような構成力を要する長編を生み出せてしまうこと自体に大いに感心しつつ、いったいこれは使命感なのだろうか、それとも書くことは純粋な楽しみなのか、それとももはや呼吸することと変わらないのだろうかと、到底理解できないことを想像してみる。


そして、うわ〜ついに、ついにアダム・ダルグリッシュ警視シリーズ完結!? 事件が解決した後の章は、作品を読み続けてきた者として胸に迫るものがある。ダルグリッシュがにおわせた決断、そしてレティシャやアニーの独白は、そのまま作家ジェイムズの胸のうちを代弁しているかのようで、シリーズを締めくくるに際してのメッセージとしか思えないのだ。

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