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2010年2月28日 (日)

冷徹さに貫かれた娯楽小説 〜グラーグ57〜

前作『チャイルド44』はとても面白かったが、出来過ぎな内容への反発があって続編を読むのが遅れた。変な理由だ…。


『グラーグ57』トム・ロブ・スミス著/田口俊樹訳
(新潮文庫 2009年邦訳)

Secretspeech 1956年、フルシチョフのスターリン批判を受けて始まった、かつて不当な扱いを受けた人々の復讐。元国家保安省捜査官のレオ・デミドフもそれに巻き込まれ、養女ゾーヤを人質に取られてしまう。レオは犯人グループの要求に従って極寒の東シベリア・コルイマ強制収容所に潜入。さらにゾーヤの行方を追って、ハンガリー動乱最中のブダペストへと向かう…。


邦題の「グラーグ57」は「第57強制労働収容所」の意味で、前作を意識してつけたものと思うが、実際には該当の収容所が出てくるのは物語の前半のみ。原題は「The Secret Speech」で、スターリン批判を含めたフルシチョフの演説を指す。

次から次へと危機的な状況が主人公らを襲うという様式はありふれていそうで、しかし、歴史をうまく絡めて重厚感を出しているのと、展開がとにかく早いのと、読みやすい文章で、ページをめくる手が止まらない! これも面白かった〜。


人間はどこまで非情になれるのかというのが、前作から共通するテーマかしらね。作者は登場人物のほとんどにそういう状況を課す。そして読者に対しても…。ネステロフ〜! この小説の唯一のやすらぎだったのに! 最も魅力的なキャラクターとなっただろうに! 上巻366ページが信じられなくて最後まで引きずって読んだ。ひどすぎる。
作者トム・ロブ・スミスの冷徹さに引いてしまうとともに、すげえなと感心させられる。拷問場面が頻繁に出てきてもSM的な、あるいは同性愛的な資質は感じない。なんだろうな、合理的な頭脳に裏打ちされたクールというやつか…、ああ、やっぱり好きじゃないかも笑 だけど次回作も読むんだよ。

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コメント

ひめさーん、こんばんは♪

そー、この人「出来すぎ」てるんですよね。
とはいえ、マキはチャイルド44はとても興味深く読めたんですよ。
(最後まで一i気にダッーと)

これは
ちょっと違っていた・・・というか
期待しすぎたこともありますが、はっきりいって
マキは前作のほうがずっと好きです。

いやー
マキは、マルキ・ド・サドが好きなくらいだから
(どんなカミングアウトだ・・)
マキ自身もたぶんにサディスティックなものを秘めているというか
はっきりいってサディストなんですけど
拷問シーンは苦手で。
セックスの絡まないSMなんて興味がない・・・といったら
身も蓋もないですよね( ´艸`)プププ
あー
そんなこと告白してる場合ではなくてですね
少々くどいですよね、拷問の描写。

↑丁寧な描写過ぎて
逆に白けてしまう・・というか。

この物語によいも悪いもないんだけど。
正しいですものね、(小説として)良いのか悪いのか別にして。

それにしても
レオは不死身すぎませんか??
(あんだけ拷問されて、次の日シラフって普通ありえないと思う・・・)

マキより(はあと)

追伸★
「聖家族」半分ぐらいで
止まっちゃいました(;ω;)
(あきちゃったのかしら・・・)

>マキさん
こんばんは! マキさんのところに読みました報告しに行かなきゃと思いつつ、
逆になってしまってすみません。

私もどちらかというと前作のほうが好きです。インパクトあった!
盛り上げパターンが似ていてこの続編はそれに慣れてしまったかも。
そして、後半はハンガリー動乱の傍観者みたいになってましたね。

拷問シーンからSMや同性愛を想像する私のほうがどうかしてるか?
確かにこの作品はまったくエロくないです。
たまにスパイものなどで、作者のサドマゾの気をちらっと感じてしまうのがあるんですけど。

聖家族は実は私も最後のほうはやけくそ気味に、といったら失礼だけど、むりやり読みました笑。
料理いっぱい頼みすぎて、もう限界と思いながら食べ尽くす感じですか。

PC、借りられて良かったですね!

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