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2010年1月10日 (日)

エルヴィスが彷徨う町

巨匠と呼ばれるクーンツを初読み。2003年に発表されたシリーズ作品の1作目。

『オッド・トーマスの霊感』ディーン・クーンツ著/中原裕子訳
(ハヤカワ文庫 2009年邦訳)
青年オッド・トーマスには特異な能力があった。死者の霊が目に見え、霊が伝えたいことがわかるのだ。ある日、オッドはコックとして働くレストランで見知らぬ男の客を見て、ただならぬ厄介事の前兆を感じ取る…。


Oddthomas 舞台はモハーヴェ砂漠にある4万人ほどの町。モハーヴェ砂漠といえば最近ではマイクル・コナリーの小説が印象的だった。Wikipediaを見ると「モハーヴェ砂漠には多くのゴーストタウンがある。また、モハーヴェ空港があることでも知られて…(略)…旅客機の墓場とも言われている」とある。華やかなラスベガスにしても、モハーヴェに点在する町はどこか空虚で、そこだけ別世界、忘れられた地域というイメージを勝手に持ってしまう。しかしそのイメージが、このオカルト小説にもよく似合っている。

主人公オッド・トーマスには、この世に留まった死者の霊が生きていたときの姿のまま見えてしまうのだが、なぜかエルヴィス・プレスリーの霊もこの町にいて、たまに彼の前に姿を現す。邪悪さを感じさせない霊といったら、アメリカ人にとってはエルヴィスが最強なのかもしれない。
人間の霊たちはだいたい無害なのだが、オッドには惨事の前兆として現れる影のようなものも見ることができる。彼はそれを「ボダッハ」と呼んでいるのだが、大きさは人間くらいで猫のようにしなやかに歩くというその黒っぽい影の描写には既視感がある。たぶん何かの映画で見たものを思い出させるからだろう。このボダッハの正体が何で、どこからやって来るのか…、オッドの推測はこちらの想像もかきたて、ぞっとするとともに面白い。
しかし、オッドの生い立ちといい、やがて迎えることになる試練といい、実に痛ましいが、理解のある親切な大人たちに囲まれているのが救いだ。


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『紫雲の怪』ロバート・ファン・ヒューリック著/和爾桃子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2008年邦訳)
郊外の廃寺で断首された男の死体が発見される。被害者の男は地元のやくざ者で、生前に喧嘩をしていたのを目撃された男の友人が逮捕された。だが、死体を検分した判事は、首と胴体が別々の人間のものであることを発見する…。


Phantomoftemple 1966年に発表された狄(ディー)判事シリーズの初邦訳巻。執筆順ではずいぶん後の作品のようだが、内容的には前回読んだシリーズ1作目『沙蘭の迷路』の続編で、舞台も同じ辺境の地・蘭坊。7世紀ということで、密教が夷狄の持ち込んだ新興宗教として弾圧されており、事件にも絡んでくる。
なんとなくすっきりしない結末だったが、この巻も楽しかった。翻訳もうまいんだと思う。判事の副官であり腕っ節が強くて男気もある、でも常に恋人募集中という馬栄(マーロン)がいいわ。


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『パンプルムース氏のおすすめ料理』マイケル・ボンド著/木村博江訳
(創元推理文庫 1998年邦訳)

有名なグルメガイドブックの覆面調査員であるパンプルムース氏は元パリ警視庁刑事。同じく元警察勤務で、舌の肥えた愛犬ポムフリットとともに、サン・カスティーユのホテルレストランを調査中、なぜか命を狙われるはめに…。


Monsieurpamplemousse 積ん読消化。これもシリーズものの1作目。『くまのパディントン』の作者が、大人向けに書いたグルメミステリということだが、パンプルムース氏の貞操を守るために「夢の人形館」(アダルトグッズのメーカー)が実に優秀な仕事をするのだ……大人向けってそういうことかい! ほのぼのしてるんだか、どぎついんだか分からない独特な味わいのユーモアミステリだったなあ。

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