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2009年11月23日 (月)

やあ、ミルドレッド!

ヒル御大の最新作! 本作も分厚いぞ! 本の嵩が! このダルジール&パスコー・シリーズ、来年は40周年を迎えるとのことだが、以前より新作が出るサイクルが早くなっている気がする。ともかく時間をあまり置かずに翻訳出版されるのがありがたい。それに比べてリーバス警部シリーズのほうは…どうなっちゃってるのか、心配。


『死は万病を癒す薬』レジナルド・ヒル著/松下祥子訳
(ハヤカワ・ミステリ 2009年邦訳)


サンディタウンの町は生まれ変わろうとしていた。海辺のリゾート地にすぎない町に、アメリカ式の大規模な療養所アヴァロンが開設され、さらには健康と保養を売り物に町全体を再開発しようというのだ。計画の中心は地主のパーカーと、地元きっての名士であるレイディ・デナム。だが、計画を華々しくぶち上げるパーティーの席上で惨劇が起きる…おりから負傷後の療養のためにアヴァロンに入院していたダルジール警視は、駆けつけたパスコーらの迷惑も無視して、さっそく活動を開始する!(裏表紙より)


Acureforalldiseases_ ああ〜またしてもモヤモヤするラスト! 過去作でさんざん警察を混乱させたうえにどこかに消えたフラニー・ルートが再登場。いったい彼はこのシリーズの何を象徴する存在なのか。いたずらな堕天使という感じで、著者はお気に入りらしいが、人間未熟ないち読者にとっては目障りな存在でしかない。白黒はっきりした、または因果応報な結末を期待する向きにはまったくふさわしくない小説だ。でもそこがヒルらしい。


前作の主人公はパスコー主任警部だったが、今回は間違いなくダルジール警視。ダルジールウオッチャーの皆さん、お待たせしました! はい、待っていました〜!
前作、爆弾事件で重症を負った警視はまだ完治まで行かず、療養所生活の退屈さを、院長から渡されたICレコーダーに日記を吹き込むことで紛らわせている。メカ音痴の巨体警視が、レコーダーに「ミルドレッド」とか「ちっちゃな友達」いう名前までつけて、すっかりお気に入りのおもちゃにしてしまっている様子が可愛らしいぞ! しかし、メカ音痴が調子づいたことで、後でしっぺ返しを喰らうんだけれどもね。…まあ、それは薄々想像がついていた。レイディ・デナム殺しの真犯人も、やっぱりなという感想だ。彼女の検死報告にあった謎が解明されないまま終わるわけがない。

ジェーン・オースティンの未完の小説『サンディトン』を、ヒル流に完成させたのが本作。てことで、手紙をしたためるのが電子メールになっている以外、題材はちょっと古くさく感じられるところがあり、作品としても前作のほうが面白かったと思う。番外編の趣が強く(どれも番外編みたいなシリーズだが)、ダルジール以外の警察メンバーファンにも、ちと物足りない。代わりに、素人探偵のような活躍をする若い女性チャーリーが登場する。
このチャーリーにしろ、パーカー家の9歳の娘ミニーにしろ、旧作ではパスコーの娘ロージーにしろ、ヒルは若い女の子キャラクターの造形がなかなか上手い。目に入れても痛くない孫娘でもいるのかなと想像してしまう。

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