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2009年11月15日 (日)

質問は一度に一つにしなさい。

2008年CWA賞最優秀長篇賞受賞作ってことです。

『石が流す血』フランセス・ファイフィールド著/喜須海理子訳
(ランダムハウス講談社 2009年邦訳)


ロンドンの高級ホテル6階のバルコニー。女は両手を広げて鳥のように空を飛んだ。次の瞬間、その体は不気味な音とともに地面に激突した……。女の名はマリアン・シアラー。情け容赦ない法廷戦術で知られる弁護士で、死ぬ直前にも証言台に立った被害者を責め立てて自殺に追い込み、女性の敵ともいうべき犯罪者の無実を勝ち取ったばかりだった。キャリアの絶頂にあった彼女がなぜ自殺を!? その死の背後に隠された暗い秘密が、やがて徐々に明るみに……! (文庫裏表紙より)


Bloodfromstone 登場人物たちがなかなか個性的な、推理小説というよりはサスペンス。

著者は1948年生まれ。事務弁護士の資格をもち、公訴局(日本での検察局)に勤めながら88年に小説家デビュー。文庫の帯には「P・D・ジェイムズ、R・レンデルに続く英国ミステリの女王」とあり、確かに作風はその系統と思わせる(題材がジェイムズ『正義』を思い出させるのでますます)。例えば、むき出しの人間性が綴られるので、単純にみると登場人物に嫌なやつが多すぎる、でも見方を変えると、みんなひと癖あって、自分の知っている誰かを見ているようで、引きつけられてしまう。

しかし、この作品はそうしたキャラクター付けがあまりこなれておらず、ジェイムズほどの説得力はないと思った。面白かったのは服飾に強いこだわりを持つ人物が何人か登場し、うんちくが語られるところ。なかでも自殺した被害者の姉ヘンリエッタが情熱を傾ける、クリーニング&古着リメイクの仕事が読んでいるだけで楽しい。あと、最後のほうはロマンスに注目しがちだが、実は反社会的なことが起き、それがさらりとうっちゃられてしまうので、後で思い返して可笑しくなった。

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