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2009年10月 7日 (水)

戦争用語の乱用にご用心

2007年ITW(インターナショナル・スリラー・ライターズ・オーガニゼーション)最優秀長編小説賞受賞のビジネスサスペンス。日本人には馴染みある固有名詞がたくさん出てきます。

『最高処刑責任者』ジョゼフ・フィンダー著/平賀秀明訳
(新潮文庫 2008年邦訳)


ジェイソンは日本家電メーカーの辣腕営業マン。誰からも好かれ、過去には売上トップの成績を上げていたが、最近の業績はイマイチで、家庭でも妻との関係がギクシャクしていた。ある日、ジェイソンは自動車事故を起こし、事故処理に現れた男と野球談議で親密になる。そして、彼が元陸軍特殊部隊員と知って社の保安部に就職できるよう便宜をはかってやると、途端にジェイソンはツキに恵まれだす…。


Killerinstinct 企業用語には戦争用語が多用されている。でも、その例えをマジに受け取ってしまう男がいたとしたら、そして、男が凄腕の元陸軍特殊部隊員だったとしたら・・・この着想が面白い。文章はユーモアがあって、読み始めはたびたび口元がゆるむ。けど、やがてホラーへと変わっていくのは邦題からも予測がつくかもしれない(原題は「Killer Instinct」=闘争本能?)。
主人公のジェイソンは、一見ではうかがい知れないイカレた人物から好かれてしまったために、とんだ事態に巻き込まれていきます。それにつれて、笑いながら読んでいた、サラリーマンだったら共感するところのある細部も、なんだか嫌なものを読まされているように思えてくるんだよねー。明朗なジェイソンの人柄と、苦労知らずのようで実は賢く堅実な妻のキャラクターに救われましたが。

よくできた面白いサスペンス。しかし、営業マンたちの出世争い、ライバル会社との受注競争、リストラの恐怖、スパルタなうえに手柄をすべて自分のものにしてしまう上司・・・こういう題材は、自分にとってあまり気分転換にならないことが分かりました。実際に自分の勤務先の社長は、この小説に登場するゴーディおよびハーディそのものなんだよね(おえっ)。そして、自分は営業を本業にしなくてよかったとつくづく思う。現実には半分営業みたいなものだけど。


今ひとり、非常にやっかいな客がいる。そいつは帰国子女のせいか、自分を正当化するためなら相手の揚げ足をとることに容赦ない。「私は完璧主義」を自称し、不可能を可能にしろといつも求めてくる。たまに世の中にない技術も求めてくる。「そんな技術は存在しません」と言っても理解できない。自分が思ったとおりに仕事が運ばないというだけで、詫び状を書かせる。その詫び状がまた気にくわないと文句をつけ、あげくに「お里が知れますね」なんて言葉をしれっとして吐く。そいつはたかが数千円の仕事で人を何度も呼びつける。それだけでも交通費や人件費が派生していることが想像できない。でもって「1時間でできる仕事なら2000円でも高すぎる」とねぎってくるのだが、それでは会社が成り立たないということが理解できない。要するに頭が悪いうえにエラそうで、しかも間違った方向で仕事熱心なのだ・・・もううんざりなり。

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コメント

久しぶりです。
畑は違いますがうちの職場も今、1人のクレーマー(モンスターなんとか)と戦ってます。
「プロ」なので、たいていの事は我慢しますがね、限界があります。
しかも、断る時でも”相手を傷つけないようにやんわり”とやらねばならず、難しいなぁと思案しているところです。
「テメェ、ふざけんな!」と本音でぶつかって行きたいのだけど、それじゃ、ヤツたった一人のせいで会社が潰れてしまいます(^^;

完璧主義かぁ。。。聞いて呆れるわ。
自分でやれ!!

>えむさん
うーん、えむさんの職場にそういう人がいるだろうことは想像つく。というかいなきゃ不思議なくらい。対応間違えたら大騒ぎになることもわかる…。
モンスターなんとかは多いようですね。知り合いにモンスターはいないけど、企業相手のクレーマーはいて、一度味をしめるとやめられないと言っていた。
そんなことを誇らしげに話すのも怖いよ〜。おまえみたいなのがいるから世の中ギスギスするんだと言ってやりたいー!

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