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2009年9月20日 (日)

“シェトランド四重奏”夏編

CWA受賞作『大鴉の啼く冬』に続くシェトランド島を舞台にした英国ミステリ第2弾。

『白夜に惑う夏』アン・グリーヴス著/玉木亨訳
(創元推理文庫 2009年邦訳)


Whitenightsjpg 白夜の夏を迎え、シェトランド島にも観光客の一団が目につくようになった。地元警察のペレス警部は、以前の事件で知り合った子持ち女性フランと静かな愛を育みつつあった。フランはこの夏、島の名士でもある画家ベラと合同で絵画展を開催。しかし、そのオープニングパーティは何者かの妨害ビラにより、客が集まらない惨めな結果となったうえ、パーティで目撃された見知らぬ男が翌日、画廊近くの桟橋の小屋で首吊りの他殺体となって発見される。やがてその男が、パーティ中止の妨害ビラをまいた犯人だったことが判明。男は何者で、目的は何だったのか。そして誰に殺されたのか…。


前作よりもシェトランドの風土が濃厚に感じられる本作でした。途中でシェトランドの画像などをネットで検索したり…。大きな樹木などはほとんどない島。短い夏には海鳥ウオッチングや古代遺跡、音楽祭などを目当てにツアー客が訪れるようで、小説の中には空港で飛行機を待つ「日本人観光客の一団」という描写も。観光地を扱った小説には必ず登場するんだよね、日本人の団体ツアー。国際的な観光地の証になっているのではないかと思う。


ペレス警部を含めすべての住民がなんらかのつながりがあり、顔見知りばかりの小さな集落が舞台。そんな環境での事件捜査は、本土から捜査の指揮をとるために駆けつけたテイラー主任警部にとっては、手ぬるく、ちんたらしていているように見えて仕方ない。でも、それは田舎(島)だから捜査ものんびりしているというのではなくて、小さな集落特有の人間関係というものを島育ちのペレス警部がよく理解していたからなのでした。
互いに知りすぎているからこそ自分だけの秘密を抱えるようになり、他人のことはあまり穿鑿しないことで成り立つ社会というのは島に限らず、うちの田舎もそうだと思う。それゆえか自殺者の割合がとても高い。

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