« 名曲すぎる"Sunny" | トップページ | オリジネーターは俺たちだ »

2009年9月 5日 (土)

死に神に取り憑かれた男

『静かなる天使の叫び』R・J・エロリー著/佐々田雅子訳
(集英社文庫 2009年邦訳)


Photo アメリカ・ジョージア州の田舎町で、1939年から幼い少女を狙った連続殺人事件が起きる。最初の犠牲者が出た年、11歳のジョゼフは父を病気で亡くしたばかりということもあり、クラスメートだった少女の死に大きなショックを受ける。そして、5人目の犠牲者の惨殺死体をジョゼフ自身が発見。が、それは彼の呪われた人生の始まりにすぎなかった。・・・やがて大人になったジョゼフは故郷と決別し、NYで作家を志すが、未解決の連続殺人事件は、次第に彼の心に自身の罪悪感となって巣くい、人生を狂わされていく…。


もうとにかく、これでもかこれでもかというほどのすさまじい不幸が主人公を襲い、ものすごく重苦しい内容なのだけれど、抒情的な文章で、最後までどっぷり引き込まれて読んだ。面白い。
はたしてジョゼフは、希代の祟られ男なのか、それとも何者かにつけねらわれているのか・・・結末は、自分が考えていたものとは少し違っていた。そんな身も蓋もない真実だったのかという思いと、人物描写に巧妙に騙された(なんとなくグレーな印象はあったが)という心地よさと、完全には吹っ切れぬ不気味な思いが交差。


アメリカが舞台だが、著者はイギリス人。父親が不在で、母親とは7歳のときに死別、17歳のときに密猟で逮捕されて服役という経歴が、この小説の主人公にも反映されていそう。コナン・ドイルやスティーヴン・キングに魅せられて小説を書くようになったとのことだが、この作品はウィリアム・アイリッシュの小説を思い出させるところもある。

« 名曲すぎる"Sunny" | トップページ | オリジネーターは俺たちだ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/31238640

この記事へのトラックバック一覧です: 死に神に取り憑かれた男:

« 名曲すぎる"Sunny" | トップページ | オリジネーターは俺たちだ »

インデックス

無料ブログはココログ