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2009年9月28日 (月)

オーストラリア産ハードボイルド

CWA最優秀長編賞受賞(2007年)の期待を裏切らない面白さでした。著者は1946年南アフリカ生まれで、80年代にオーストラリアに移住。オーストラリアの作家としては初のCWA賞受賞だそうで、オーストラリア・ヴィクトリア州という舞台の目新しさも受けたに違いない。

『壊れた海辺』ピーター・テンプル著/土屋晃訳
(ランダムハウス講談社 2008年邦訳)


捜査ミスから同僚を死なせ、心身ともに傷を負ったキャシン刑事は故郷の海辺の町に戻り、小さな警察署で働き始めた、そんな折り、隣町で篤志家として知られる老人が殺害され、彼は捜査に駆り出される。高価な時計を売りにきたアボリジニの若者たちに容疑がかかり、彼らを追い詰めた警察は2名を射殺、1名を逮捕、事は落着に見えたが、キャシンは納得しなかった。単独捜査を続けるキャシンのまえに、やがて驚くべき真相が…(文庫裏表紙より)



Brokenshore 最初はとても取っつきにくいです。主人公の背景はもちろん、次々に名前が出てくる人物についても、読者がすでに知っているとの前提で書かれたような文章で、「もしかしたら何かの続編?」と思いながら読んでいた。巻末の解説を読むと、そうでもなさそうなので、この作家のスタイルなのかしら…。ふだん翻訳ものを読まない人には手強そうな感じ。個人的には、丁寧な説明でテンポを削がれるより(日本のミステリはこれが多い)、ぶっきらぼうなほうが好きだな…と、読み終えた後なら何とでもいえるわけですが(笑)。しかし実際に、後半は、シリーズ化したら面白そうな魅力的な人物たちも多くなって、加速的に面白くなっていきました。


地方を舞台にしたこの小説では、アボリジニは陰で「黒い人」と蔑まれ、ドゥーグ(架空の地名?)と呼ばれるスラムに隔離された状態で、白人たちはその場に近寄ることも恐れるといったように、そのままアメリカの、例えばワシントンDCなどの黒人たちと似た境遇にあり、事件の真相とその背景にある病んだ事情なども、舞台をそのままアメリカに移して違和感のない内容でした。
しかし、この小説には主人公の再生というもう一つのテーマがあって、それが単なる警察ミステリに終わらない魅力になっている! 自分の捜査の過ちから同僚を死なせ、自分自身も大けがから治癒したばかりのキャシンは、一家が見捨てた海辺の広大な土地に戻り、かつて曾祖父たちが住んでいた家を自力で建て直そうとする。それを助けるのが、キャシンがたまたま知り合った渡りの労働者レッヴ。やがて育まれていく友情…。このサイドストーリーともいえる部分が、味わいがあって良かったです。


巻末解説によると、著者はエルモア・レナードやジェームズ・リー・バークなどを好きな作家として挙げている。私が最近読んだ中では、ジェイムズ・クラムリーやマイクル・コナリーのボッシュ・シリーズにも共通するところがあるように思う。要するにネオ・ハードボイルドの面白さを堪能できるということなのだけど。



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やっぱり「ハムナプトラ」は1と2が面白い〜。最後の畳みかける展開が最高だ。DVD持ってるのにまたテレビで見てしまった。字幕より吹き替えのほうが楽しい。

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