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2009年8月 2日 (日)

原題は「The Sanctuary」

『ウロボロスの古写本』レイモンド・クーリー著/澁谷正子訳
(ハヤカワ文庫 2009年)


Sanctuary レバノンで遺跡調査を行うアメリカ人考古学者イヴリンは、古い知り合いの古美術商から、戦禍にまぎれてイラクから持ち出されようとしている盗掘品の写真を見せられ、その購入を求められる。しかし、翌日イヴリンは謎の男たちに誘拐される。偶然その場を目撃した娘のミアは、CIA局員のコーベンとともに母の行方を捜すうちに、盗掘品の写真に写っていた、ウロボロスの絵が表紙に型押しされた古い写本に、母親が誘拐された理由があることを突き止める…。


サン・ジェルマン伯爵やサン・セヴェーロ公など、錬金術に絡んだ歴史上の実在の人物が登場するものの、結局は中東を舞台にしたサスペンス小説に落ち着くだろうと思って読んでいたので、終盤になって、あれれそっちに行くのかと驚いた。
最終章およびあとがきからうかがえる著者の、科学がもたらすものへの期待が、私には楽観的すぎる気がして、ちょっと引いた。著者レイモンド・クーリーはレバノンで生まれ育ち、今はイギリスとアメリカで活躍しているそう。著者はその出自から、反宗教的な考え方をするようになり、あげく科学万能主義に陥ったのではないか・・・そんなふうに邪推してしまう結末だった。ネタバレになるけれど、ここに書かれていることが科学で可能になった世の中は怖ろしいとしか想像できない。


でも、ハラハラしながら読むサスペンス作品としては合格点。いくつか興味深い雑学も仕入れたし…。その一つは、他人の携帯電話を遠隔操作によって通話マイクをオンにし、盗聴器として利用できてしまうということ。携帯の所有者に気づかせることなく、また、携帯電話の電源が入っていなくても、付近の会話や物音を盗聴することが可能。防ぐにはバッテリーを外すしかないという。

「ロービングバグ」といわれるこの盗聴手法は、アメリカではFBIによるマフィア捜査に限り合法と認められたようだが、犯罪の証拠としては認められないにしても、盗聴器として利用された痕跡は残らないわけだし、諜報機関がはたして使用にいちいち許可なんか取っているものでしょうか…。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0%2c2000056020%2c20337505%2c00.htm

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