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2009年8月22日 (土)

老いたカウボーイが悪と対決する現代の西部劇

今年のMWA賞最優秀長編賞受賞作です。


『ブルー・ヘブン』C・J・ボックス著/真崎義博訳
(ハヤカワ文庫 2008年邦訳)


アイダホ州北部の小さな町。12歳のアニーと弟のウィリアムは森で殺人事件を目撃してしまう。犯人はロサンジェルス市警の元警官4人で、保安官への協力を装い二人の口封じを画策する。途方に暮れた姉弟が逃げ込んだ先は、人手に渡る寸前の寂れた牧場だった。老牧場主のジェスは幼い二人を匿い、官憲を味方につけた犯人一味との対決を決意するが…雄大な自然を舞台に、男の矜持を賭けた闘いを描く、新たなサスペンスの傑作(文庫裏表紙より)


Blueheaven 小説の主人公といえる昔気質の孤独な牧場主がクリント・イーストウッド演じる役を思わせる、というのが真っ先に浮かんだ感想です! が、訳者あとがきにもまったく同じことが書いてあった…。そうだよね。特に今年はイーストウッドの役の集大成ともいえる「グラン・トリノ」を見たばかりで、小説とは題材的にも少し被るところがあるので、余計にその印象が強くなるというもの。これも映画化が予定されているそうだが、しかし、映画版でイーストウッドがこの役を演じると、華やかになりすぎて小説の人物のイメージと違うように思う。どっちやねんという話だ。


あとがきにある「読み出したら止まらないサスペンス」という言葉にも頷くしかない。物語の運びがうまいです。そして、自然環境の厳しいノース・アイダホの田舎町という舞台が、ノスタルジーな趣もあり魅力的。一時は林業や鉱山で栄えたが、それらが廃れたのち、静かな土地に憧れる都会の警官たちが引退後に多く移住。彼らはこの土地を「ブルー・ヘブン」と呼んでいるというのが小説タイトルの由来。しかし、とんだヘブン(天国)もあったもので、犯人の元警官たちが未熟な保安官をだまし町を蹂躙していく手口は、西部劇に登場するならず者そのもの。「裁きの部屋」の話などが出てきて、「LAコンフィデンシャル」に登場する刑事たちを思い出させるところもあった。


MWA賞納得の面白さだったけれど、しかしラストはなぜこんなに思わせぶりなのだろうか。引退後も担当事件の捜査をあきらめなかった刑事の鑑のような人物のことが気になって仕方ないじゃないか!

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コメント

この作家大好きです。
本屋さんに行くたびに新しいの出て無いかと探したりして。
スーパーマンではない男たちが迷いながらも正義を貫くってのもいいし、
なにより子供たち、特に女の子がいいんですよねー、健気で賢くて。

>django2さん
しばらく帰省していてコメント読むのおそくなりました。
前から定評のある作家だったんですね!
この小説の女の子も賢くてしっかりしてて、ハラハラする内容だけれど、
彼女のことは心配してませんでしたよ。
誰かが読んでいた気がしたのですが、djangoさんだったでしょうか。

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