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2009年8月

2009年8月30日 (日)

名曲すぎる"Sunny"

Sunny1 「サニー」という曲を取り上げるのは2度目です。
で、そのときも「サニー」ばかりを集めたオムニバスCDあるということを書いたのだけれど、好きな曲といえどもさすがに同じ曲ばかり入っているCDを通しで聴くことはほとんどなくてずっと放っておいたわけです。しかし、iPodに入れてシャッフルモードで聴くと、これがとてもいい〜! いろんな曲の合間に、いろんなバージョンのサニーが思いがけず流れてくる瞬間がたまらなくいい〜!
すっかり「私のテーマ曲」と化している昨今です笑


オリジナルはボビー・ヘブの1966年のヒット曲。プロデューサーはジェリー・ロス。短くシンプルな曲なのに、この曲の雰囲気は独特で、歌手や演奏者が変わってもそれが失われないのがすごいです。短くシンプルな曲だからこそかな。でも、この曲を子供のときにエレクトーンの練習でさんざん弾かされたために「二度と聴きたくない」と言っている友人もいて、人それぞれのようです。


Part1とPart2の2枚に分かれたCDに収められている演奏者が、その年代の人たちにとってはちょー豪華な顔ぶれなので、下に書き出してみました。カッコ内はリリース年。66〜69年のものが中心で、ポップスのヒット曲を、ヒットして間もない期間にこれだけのバラエティに富んだ人たちによって録音されているのがまた驚きです。カバーしている人は日本人も含めほかにもたくさんいますが、タレンタインやマクダフ&ニューマンのバージョンが収められている時点で、チョイスのセンスも間違いないでしょう(きっぱり)。


『A Collection of Various Interpretations of Sunny Part1』
1. Bobby Hebb (1966 オリジナル)
2. Arthur Lyman Group (1996)
3. Georgie Fame (1966)
4. Booker T. & The MG's (1967)
5. Dusty Springfield (1967)
6. John Schroder Orchestra (1966)
7. Robert Mitchum (1967)
8. Stan Kenton (1966)
9. Herbie Mann & Tamiko Jones (1967)
10. Stanley Turrentine (1965)
11. Andy Williams (1967)
12. The Ventures (1968)
13. Cher (1966)
14. Jimmy Smith (1969)
15. Wilson Pickett (1967)
16. Nancy Wilson (1967)


『A Collection of Various Interpretations of Sunny Part2』
1. James Brown and Dee Felice Trio feat. Marva Whitney (1969)
2. Chris Montez (1966)
3. Les McCann (1966)
4. Shirley Bassey (1968)
5. Jose Feliciano (1968)
6. The Four Tops (1968)
7. Marian Love (1967)
8. The Walker Brothers (1966)
9. Paul Kuhn (1977)
10. Trini Lopez (1967)
11. Young Holt Trio (1966)
12. Marvin Gaye (1966)
13. The Electric Flag (1968)
14. Leonard Nimoy (1997)
15. Ella Fitzgerald (1969)
16. Gary Lewis and The Playboys (1968)
17. Jack McDuff and David Newman (1968)


改めて通しで聴き直してみると、曲アレンジが、この時代のさまざまなタイプを網羅しているのが懐かしいです。エレクトリック・フラッグ、ウォーカー・ブラザーズ、ウィルソン・ピケット、フォー・トップスなどのアレンジが、いかにも当人たちらしくて個人的には面白いと思ったけれど、演奏や歌は甲乙つけがたい。大穴はバルカン星人のレナード・ニモイでしょうか? これもなかなか声が渋くて良いのですよ。



ボビー・ヘブ(元祖)
http://www.youtube.com/watch?v=N9EzFCkb8CU
JB(パリ・オリンピアでの伝説のライブのやつ)
http://www.youtube.com/watch?v=p6FmS5Co-j4
マーヴィン・ゲイ
http://www.youtube.com/watch?v=gkUsGkxZSvM
エレクトリック・フラッグ
http://www.youtube.com/watch?v=IOBKXtNp77A
フォートップス
http://www.youtube.com/watch?v=5AFFqC-S9Dg
ホセ・フェリシアーノ
http://www.youtube.com/watch?v=dGtpukF_dgw
ポール・キューン
http://www.youtube.com/watch?v=UvvUr_EBwJQ
シャーリー・バッシー
http://www.youtube.com/watch?v=Yy5A0-Vkv20
シェール
http://www.youtube.com/watch?v=EuvPUYo6Yv8
エラ・フィッツジェラルド&トム・ジョーンズ
http://www.youtube.com/watch?v=TnkWBmhVj2Y
ナンシー・ウィルソン
http://www.youtube.com/watch?v=feME_1MD3w4

おまけ
スティーヴィー・ワンダー
http://www.youtube.com/watch?v=zMvdh6AKRts
勝新太郎
http://www.youtube.com/watch?v=5plsaCAXDsQ
パット・マルティーノ&ジョン・スコフィールド
http://www.youtube.com/watch?v=p2RRUVAD9Mc
ジャミロクワイの人
http://www.youtube.com/watch?v=v8RbndInF8E

2009年8月22日 (土)

老いたカウボーイが悪と対決する現代の西部劇

今年のMWA賞最優秀長編賞受賞作です。


『ブルー・ヘブン』C・J・ボックス著/真崎義博訳
(ハヤカワ文庫 2008年邦訳)


アイダホ州北部の小さな町。12歳のアニーと弟のウィリアムは森で殺人事件を目撃してしまう。犯人はロサンジェルス市警の元警官4人で、保安官への協力を装い二人の口封じを画策する。途方に暮れた姉弟が逃げ込んだ先は、人手に渡る寸前の寂れた牧場だった。老牧場主のジェスは幼い二人を匿い、官憲を味方につけた犯人一味との対決を決意するが…雄大な自然を舞台に、男の矜持を賭けた闘いを描く、新たなサスペンスの傑作(文庫裏表紙より)


Blueheaven 小説の主人公といえる昔気質の孤独な牧場主がクリント・イーストウッド演じる役を思わせる、というのが真っ先に浮かんだ感想です! が、訳者あとがきにもまったく同じことが書いてあった…。そうだよね。特に今年はイーストウッドの役の集大成ともいえる「グラン・トリノ」を見たばかりで、小説とは題材的にも少し被るところがあるので、余計にその印象が強くなるというもの。これも映画化が予定されているそうだが、しかし、映画版でイーストウッドがこの役を演じると、華やかになりすぎて小説の人物のイメージと違うように思う。どっちやねんという話だ。


あとがきにある「読み出したら止まらないサスペンス」という言葉にも頷くしかない。物語の運びがうまいです。そして、自然環境の厳しいノース・アイダホの田舎町という舞台が、ノスタルジーな趣もあり魅力的。一時は林業や鉱山で栄えたが、それらが廃れたのち、静かな土地に憧れる都会の警官たちが引退後に多く移住。彼らはこの土地を「ブルー・ヘブン」と呼んでいるというのが小説タイトルの由来。しかし、とんだヘブン(天国)もあったもので、犯人の元警官たちが未熟な保安官をだまし町を蹂躙していく手口は、西部劇に登場するならず者そのもの。「裁きの部屋」の話などが出てきて、「LAコンフィデンシャル」に登場する刑事たちを思い出させるところもあった。


MWA賞納得の面白さだったけれど、しかしラストはなぜこんなに思わせぶりなのだろうか。引退後も担当事件の捜査をあきらめなかった刑事の鑑のような人物のことが気になって仕方ないじゃないか!

2009年8月18日 (火)

J・ウォーターズやB・レヴィンソンでおなじみの…

ボルチモアを舞台にした女性探偵テス・モナハン・シリーズ。1998年MWA賞最優秀ペイパーバック賞受賞作。


『チャーム・シティ』ローラ・リップマン著/岩瀬孝雄訳
(ハヤカワ文庫 1999年邦訳)


Charmcity 主人公のテスは、新聞社の倒産で記者の職を失い、現在は知人の法律事務所で働きながら探偵としての独立を目指している。ある日、バーを経営する伯父が何者かに襲われて昏睡状態に陥り、伯父がどこかから連れてきたドッグレース用のグレイハウンドを預かるが、その直後からテスの周りを謎の男たちがうろつき始める。
そんな矢先、テスのかつての職場のライバル新聞社から、調査の仕事が舞い込む。地元ボルチモアにプロ・バスケットボールのチーム誘致を発表した実業家の、過去を暴露する記事が勝手に紙面に掲載され、その犯人を見つけてほしいとの依頼だった…。


裏表紙に新シリーズと書いてあったから、これが1作目だと思ったのに、読んでいて何かおかしい・・・著者紹介欄を見て、実は2作目であることに気づく。海外ミステリシリーズの場合は、賞を取った作品から翻訳ということが当たり前にあるので混乱する。

主人公テスは大柄でナチュラルビューティーなスポーツウーマン。クロウという名の年下のバンドマンの恋人がいるが、このクロウが最近よく言われる草食系で(げっ、嫌いな言葉なのに使ってしまった)、その彼に対して煮え切らない態度を取るテスもいかにも今風、等身大の29歳の女性として描かれている。こういうところは女性作家らしい。

「チャーム・シティ」という愛称をもつボルチモアを描いたシリーズとして評価されているようだが、そのリアリティを感じ取るにはやはり1作目をまず読む必要がありそうだ。

2009年8月13日 (木)

米国で有色人種連盟を訴えた男

新潮社刊『日本から救世主が来た』(2001年)を文庫化にあたり改題。

『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』出井康博著
(講談社+α文庫)


Nakane 日米開戦前夜、デトロイトを拠点に、白人が支配するアメリカ政権打倒を訴えて黒人たちを扇動。最盛期には全米で10万人もの黒人を組織して、FBIにマークされ続けた男がいた。これまで歴史の闇に埋もれてきた日本人活動家、中根中に初めてスポットを当てたノンフィクション…。


アフリカ回帰運動の教祖マーカス・ガーベイが国外追放となり、デトロイトにおいてその支持者たちを引き継いだのが、のちにマルコムXらを輩出したネーション・オブ・イスラムであり、日本からやってきた中根中が組織する黒人結社「ディベロプメント・オブ・アワー・オウン」(DOC)だったということらしい。この両者の間には交流もあった。とにかく1930年代のアメリカにも、白人の大国ロシアを破り、中国を白人の支配から解放したとして、非白人国の日本に熱い視線を向ける人々が少なからずいたというのが予想外だった。


この本には印象的な3人の日本人が登場する。1人は故郷の大分でメソジストの洗礼を受け、布教活動を行う身から一転アメリカに渡り、反米破壊活動家として頭角を現した主人公の中根中。1人はその中根の実弟で、兄を追うようにアメリカに移住し、ワシントン州タコマで日本人学校の校長として妻とともに日系子女の教育に尽力した山崎正人。もう1人は、留学生としてニューヨークのコロンビア大学に籍を置き、当時ハーレムで花開いた黒人の文化や芸術に魅せられ、やがてアメリカ黒人問題の専門家として日本政府の目にとまり工作員として利用されることになる疋田保一・・・この3人の性格や生き方の対比がドラマチックで面白い。


しかし、3人の中で最も人物像がつかみにくいのが中根中だ。渡米後しばらくは酒と博打に明け暮れる生活を送り、あげく小切手横領、多額の借金をこさえ、妻子をあっさり捨てての逃走など、相当の型破りな一面があるのだ。
FBIが中根を危険人物として逮捕までしたのは、その豊富な活動資金が米国内の混乱を企てる日本政府から、もしくは黒龍会から提供されているのではないかと疑ったからで、FBIには約400ページにもわたる個人ファイルが残されている。しかし、それ以外の中根の軌跡をたどる資料はまったく乏しく、日本政府や黒龍会とのかかわりを示す証拠もない。
著者は「中根の名前が日本はおろか、アメリカでもほとんど知られていないのは、日系人が味わってきた苦難の歴史に泥を塗りかねないからだ」と推測しているが、私には中根がはたしてそれほどの脅威を持たれるような人物だったのかどうか、よく分からなかったというのが感想。今となっては中根を直接知る人物の多くが故人。証言すらほとんど集まらないので、想像するしかない部分が多い。残念なことに。

ただし、日本にいたときからアジテーターとしての才能が際立っていたことは確かで、元牧師でありながら、やがてキリスト教は差別を肯定する宗教だと思い込む人々と結びついていった過程には興味をそそられるのものがあった。

2009年8月 5日 (水)

田舎ではおかしなものが流行っている

1〜2年に1度、お盆かお正月に帰省して集う高校時代の仲良しグループ(7名)があるのだが、そのうちの2人がマルチ商法にはまったらしい。
私にも、携帯電話ビジネスのお誘いと、意味不明なチェーンメールが送られてきたが、地元の仲間は健康食品などを押しつけられたり、しつこく講演会に誘われたりしているという。やっていることが手広い…、いったいどんな団体なのだ。


そんな状況なので、この夏に予定されていた集まりはお流れとなった。ウン十年続いてきた仲、崩壊の危機!

しかし、それ以前に私自身は、お盆の真っ只中の日曜日に職場の引っ越しがあるため、今年は参加できなかったのだった(…つくづく従業員にやさしい会社だよ)。

2009年8月 4日 (火)

クロスオーバーイレブン

懐かしい番組をやるというんで久々にNHK-FM。
私はスタートの年から4、5年間は聴き続けていたと思う。その頃の再放送、もしくは選曲の再現もやってくれないものかしら。

今週いっぱいやるようなので、アジムスによるテーマ曲、津嘉山さんのナレーション、モヤシくんなどに思い出のある人はぜひ!


クロスオーバーイレブン2009
8月3日(月)〜7日(金) 後11:00〜前0:00

NHK- FMで1978年11月から2001年3月まで放送され、深夜音楽番組の先がけとして一世を風びしたFMならではの名番組を、5日間限定で復活させる。長きにわたって質の高い音楽と朗読のコラボレーションを送り続けてきた名番組「クロスオーバーイレブン」は、現在もファンサイトが運営されているほどの人気。今回はFM40周年を記念して、名物キャラクターの「モヤシくん」と「遊民爺さん」を復活させる。朗読は番組終了まで最も長くナレーターを務めた津嘉山正種が担当。選曲は同じく長年にわたり携わっていた小倉エージと大伴良則が担当する。名物番組の精神を生かしつつ、新しい時代のエッセンスを盛り込んだリニューアル版として、復活を熱望している多くのリスナーの皆さんの期待にこたえる。

2009年8月 2日 (日)

魅惑のエロサウンド その19

ディアンジェロの2000年のサンパウロ・ジャズ・フェスティバルでのライブを、海賊盤(?)DVDで見せていただいたわけですが、良かったですよ〜、Yさん。


Brownsugar ディアンジェロに関しては、1995年のファーストアルバム『Brown Sugar』に入っていたシングル曲「Brown Sugar」が衝撃的なかっこよさだった。最初に聴いたときから、すでにスタンダード曲のような輝きを放っていた。アルバムが出るとほぼ同時に来日もしたわけだが、恵比寿だったかな。当時知らない会場だったこともあり、迷った末にパスしたのが惜しかった。


しかし、2枚目のアルバム『Voodoo』を聴いたときに、なんだか煮え切らない音楽だなあと思ってしまった。ファルセットのボーカルにかぶさるコーラスがどの曲も似させてしまうし、演奏も歌も抑えがきいていて、はみだすところがないので息苦しい。しかし、巷の評価は抜群にいいようだ。ちゃんと聴き込まないとだめっすね。


ライブ映像では、凝ったアレンジのタイトな演奏はそのまま、曲による盛り上がりの緩急が分かりやすくなっているので楽しめました。バックボーカルにアンソニー・ハミルトンがいるわけだが、先日のアンソニーのライブはこのディアンジェロのライブ構成からかなり影響を受けていそうですね。
ディアンジェロがドラムセットをいきなり破壊するパフォーマンスに、その後のいろいろなトラブルを思い浮かべたりもしました…。

ほぼ10年ぶりの新譜が出るとか出ないとか。スランプは乗り越えられたのでしょうか。


D'Angelo -Brown Sugar
http://www.youtube.com/watch?v=Iq_EfpGAH4o

原題は「The Sanctuary」

『ウロボロスの古写本』レイモンド・クーリー著/澁谷正子訳
(ハヤカワ文庫 2009年)


Sanctuary レバノンで遺跡調査を行うアメリカ人考古学者イヴリンは、古い知り合いの古美術商から、戦禍にまぎれてイラクから持ち出されようとしている盗掘品の写真を見せられ、その購入を求められる。しかし、翌日イヴリンは謎の男たちに誘拐される。偶然その場を目撃した娘のミアは、CIA局員のコーベンとともに母の行方を捜すうちに、盗掘品の写真に写っていた、ウロボロスの絵が表紙に型押しされた古い写本に、母親が誘拐された理由があることを突き止める…。


サン・ジェルマン伯爵やサン・セヴェーロ公など、錬金術に絡んだ歴史上の実在の人物が登場するものの、結局は中東を舞台にしたサスペンス小説に落ち着くだろうと思って読んでいたので、終盤になって、あれれそっちに行くのかと驚いた。
最終章およびあとがきからうかがえる著者の、科学がもたらすものへの期待が、私には楽観的すぎる気がして、ちょっと引いた。著者レイモンド・クーリーはレバノンで生まれ育ち、今はイギリスとアメリカで活躍しているそう。著者はその出自から、反宗教的な考え方をするようになり、あげく科学万能主義に陥ったのではないか・・・そんなふうに邪推してしまう結末だった。ネタバレになるけれど、ここに書かれていることが科学で可能になった世の中は怖ろしいとしか想像できない。


でも、ハラハラしながら読むサスペンス作品としては合格点。いくつか興味深い雑学も仕入れたし…。その一つは、他人の携帯電話を遠隔操作によって通話マイクをオンにし、盗聴器として利用できてしまうということ。携帯の所有者に気づかせることなく、また、携帯電話の電源が入っていなくても、付近の会話や物音を盗聴することが可能。防ぐにはバッテリーを外すしかないという。

「ロービングバグ」といわれるこの盗聴手法は、アメリカではFBIによるマフィア捜査に限り合法と認められたようだが、犯罪の証拠としては認められないにしても、盗聴器として利用された痕跡は残らないわけだし、諜報機関がはたして使用にいちいち許可なんか取っているものでしょうか…。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0%2c2000056020%2c20337505%2c00.htm

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