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2009年5月12日 (火)

死者まで出した聖遺物の行方は…

ハヤカワ文庫が、活字が大きくなって本のサイズまで大きくなり、これまで使ってきたブックカバーが使えませんの。


『イスタンブールの毒蛇』ジェイソン・グッドウィン著/和爾桃子訳
(ハヤカワ文庫 2009年邦訳)

_宦官ヤシムが懇意にしていたギリシア人の八百屋、続いて古書店の主が何者かに襲撃される事件が起きる。そして、ヤシムのもとには、親友のポーランド大使の紹介で一度だけ会ったことのあるフランス人考古学者がある夜、転がりこんでくる。彼もまた何者かに追われており、ヤシムは彼がイスタンブールから外国船で脱出する手助けをするが、後日無惨な死体で発見される。自分が疑われることを警戒したヤシムは、考古学者がヤシムの部屋に隠した1冊の本を手がかりに、事件の背後をさぐろうとする…。


MWA賞に輝いた『イスタンブールの群狼』に続く、宦官ヤシムを主人公とする時代ミステリシリーズの2作目。今作もイスタンブールの観光名所となっている場所が事件に絡んで登場し、面白く読みました! この時代のイスタンブールはスルタンの西洋化政策も手伝って、非常に国際色豊か。さらに今作も、料理を趣味とするヤシムが腕を振るう場面が何度かあり、いろいろに飽きさせません。前作の、たまに主語が不明な読みづらさはだいぶ緩和されたように思いました。


スルタン・マフムート2世が病床に臥し、明日の命も知れない状態にあるので、舞台は1839年(マフムート2世の没年)ということになります。オスマン帝国からギリシアが独立して数年たっているが、イスタンブールには歴史的に多くのギリシアの同胞が住んでいるため、まだ不穏な空気が漂っている。そんな状況の中で、スルタンの主治医なる人物が、ギリシア独立戦争に詩人バイロンとともに義勇軍として参加したイギリス人医師という設定に、裏にあるのはスルタン暗殺計画か!と先走ったら、まったくの見当違いでした。


事件を通じて明らかになるのは、イスタンブールの地下に封印された歴史。何度も名前を変えながら、多数の民族・宗教が共存し繁栄してきた都市の知恵。この小説の主人公はイスタンブールに他ならない気がします。
年齢的にももはや何事にも動じない風格を備えた母后(スルタンの母)とヤシムとの会話の場面が良いです。そしてラスト近くの、皮肉でもあり滑稽でもある現実をにおわす、さりげない一文には、思わず吹き出しそうになりました。ユーモアもセンスもなかなかです。

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コメント

ひめさん、こんにちは♪

記事とは無関係で申し訳ないのですが
in・マキノコ!の続きのブログ
新・マキノコ!が始まりましたので報告です。

もしよければ、またあそびに来てくださると
とっても嬉しいですヽ(´▽`)/

これからも仲良くしてください(お辞儀)

マキより
ひめさんへ(はあと)

マキさん、こんばんは!
お知らせありがとうございます。
気づいていましたよ。新しい記事がアップされたら
さっそくご挨拶にうかがうつもりでした。

マキシのほうも愉しみにしています。これからもよろしく!

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