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2009年5月 5日 (火)

いくつもの名前をもつ女

元新聞記者で、MWA賞をはじめ数々のミステリ賞を受賞しているローラ・リップマンを初読み。

『女たちの真実』ローラ・リップマン著/吉澤康子訳
(ハヤカワ文庫 2008年邦訳)

Photo ボルチモアで起きた車の当て逃げ事故。加害者となった中年女性はすぐに捕まったが、身元をたずねられて、自分は30年前にショッピングモールから失踪した15歳と11歳のベサニー姉妹の妹のほうだと告げる。地元ではとうに忘れられていた古い未解決事件の捜査が再開されるが、女性はなぜか事件に関しては口を閉ざし、それ以上のことを話そうとしない。彼女は本当にベサニーなのか、ベサニーだとしたらなぜいままで名乗り出なかったのか…。


原題は「What The Dead Know」(死者が知っていること)。
リップマンのミステリ小説は「文学のような深い味わいがあり」評価されているとあとがきにある。とにかく人物の心情の描写が多い。そのせいか、または翻訳のスタイルが自分にはなじまないせいか、なかなかページが進まずに読むのに時間がかかった。

どこにでもいそうな一家が、娘たちの失踪によって崩壊する。落ちていた妹のバッグによって、姉妹が何者かによって連れ去られたことは分かっている。ストーリーは時間を行き来しながら、娘たちが失踪する以前の小さな出来事、家族一人ひとりの性格の違い、娘たちを失った後の両親の苦しみ、謎の女性が歩んできた人生などを浮き彫りにしていく。・・・重くてとても気が滅入る話。いままで読んだ中では、イギリスのミネット・ウォルターズあたりと人物造形などは似ているかも。

最後にどんでん返しがあり、それ自体にはあまり驚かなかったが、いちばん嫌悪して読んでいた部分がミスリードだったと分かり少しほっとする。と同時に、謎の女性が背負ってきたものを知り、それまで散々わがままっぷりを発揮していた女性に初めて共感らしいものを覚える。この持っていき方は上手いと思った。


ローラ・リップマンは私立探偵テス・モナハン・シリーズが有名らしい。今度読んでみよう。

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