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2009年4月

2009年4月29日 (水)

男と女の生命力の差を見たり

「ノーカントリー」に続くコーエン兄弟監督作。今回は原作なしのオリジナル脚本。撮影は「トゥモロー・ワールド」のエマニュエル・ルベッキ。

「バーン・アフター・リーディング」(2008年 アメリカ)
★★★★☆

Photo_2 アル中によってCIAの分析官を辞めざるを得なくなったオズボーンは、自伝を執筆しようとするが、その一部がひょんなことからフィットネスセンターの従業員チャドの手に渡る。それをCIAの機密文書と勘違いしたチャドは、同僚のリンダとともにオズボーンを恐喝するが…。

面白かった!「読んだら燃やせ」というタイトルだけど、この映画で皮肉られるCIAの立場にしたら「観たら忘れてね(ウインク)」ですね!

人が死のうがどうしようが終始軽いノリのコメディだが、まぬけな勘違いがさらなる勘違いを誘いこんがらがっていく展開の面白さ、演じている人と役のキャラクターの組み合わせの妙、本筋とはあまり関係ないと思った場面やセリフが後でしっかりきいてくる構成のうまさなど、好きなところがたくさんあった。

自分は自分が思っている以上にまぬけである。その時はまともに行動したつもりでも、時間がたって振り返れば目を覆いたくなるようなバカをやっていることがしょっちゅう。この映画の登場人物も実は普通の人たちだと思います。演技のせいでバカが分かりやすくなっていますが。

(以下ネタバレ)

キャラクターとしては、ジョン・マルコヴィッチ演じるオズボーンが良い! 退職して自伝を書こうと思いつく人たちって、それだけでまぬけな感じがしてしまうのはなぜだろう。あの自伝もきっと自分の自慢ばかりのひどく退屈なものだったんだろうな。アル中だが、見るからにアル中でないところがくせもので、後でとんだ悲劇を引き起こす。その時に初めてこの人が重度のアル中で、CIAから肩たたきされた理由も大いに納得するのだ。

しかし、すべての悲劇の大元はリンダか? 演じるフランシス・マクドーマンドが実はこの映画の主人公といっていいかも。「おまえは何者なんだ!」と言われたときの、事態が把握できずにいる笑顔が最高っす! 無自覚なところが最凶なまぬけキャラクター。2組の中年夫婦の妻たちの冷静ぶりもおかしい。冷静じゃなくて、冷血だっけ? 結局、男たちが勝手に自滅してくれちゃって、女たちが棚ぼたを得て舌を出しているような結末。

ブラッド・ピットとジョージ・クルーニーというとオーシャンズ。あのシリーズがあまり好きではないので、2人の共演に苦手意識を持っていたのだけど杞憂だった。特にいつも身体を動かしているせいか口が半開きのままのピットのまぬけっぷりは良かった。「チャド」という名前もいかにもだ。クローゼットに隠れて様子をうかがっているときの息づかいまで緊張感がないんだもん笑 あそこは面白い撮り方だった。

ところで、リチャード・ジェンキンス演じるフィットネスセンター長のセリフで、字幕にはなかったチェビー・チェイスの謎は、ちょっと調べたけど分からないままです。Aさん

2009年4月27日 (月)

ここにもイルファン・カーン

ドラマ天地人、今回は持ち直してきた。いままでが単調すぎたんだけど。

土曜日に観ました。アカデミー賞で8部門受賞をはじめ昨年の映画賞を席捲した話題作。

「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年 イギリス/アメリカ)
★★★★

インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”。この日、ムンバイ出身の青年ジャマールが、次々と難問をクリアし、ついにいまだかつて誰も辿り着けなかった残り1問までやって来た。ところが、1日目の収録が終わりスタジオを後にしようとしたジャマールは、イカサマの容疑で警察に逮捕されてしまう…。(allcinemaより)

Photo_2 アカデミー賞としては異例の作品賞受賞作と言われているのをどこかで目にしたが、ほんと、これは想像していた映画と違った。もっと風格のある大作とか、社会性を押し出した真面目な作品をイメージしていた。トイレの中に飛び込む場面から始まり、ボリウッド映画を真似た最後のダンスまで、ダニー・ボイル監督はずいぶん遊びながら楽しんで撮ったんだなと思った。

主人公家族の暮らすスラムは、身分の低いカーストからイスラム教に改宗した人々が住む地域で、暴徒と化したヒンドゥー教徒たちに襲われる場面が映画の最初のほうに登場する。ジャマールと兄のサリーム、少女ラティカの3人はこれで親を失い孤児となってしまう。
近年、隣国パキスタンのイスラム過激派に対する警戒から、インド国内でのイスラム教徒への差別や取り調べが厳しくなっているという。ジャマールが証拠もなく警察に逮捕されるのも、そんな背景が関係しているかも。
そして、昨年の11月にまさにこの映画の舞台であるムンバイで、各国の人々を巻き込む同時多発テロが起きた。映画賞でこの作品に注目が集まったのは、奇しくもタイムリーな場所を扱っていたことが多少は影響したかな。映画の中にイスラムの要素はほとんど登場しないんだけれども。

個人的にはA.R.ラフマーンの音楽がとても楽しかった! 
それと、子どもたちの可愛らしさは言うまでもなく。兄サリームと弟ジャマールはまったく違った生き方を選んだわけだけど、サリームがああいう性格だったから、ある時期まではその庇護のもと、ジャマールのほうは大きな犯罪などに手を染めることなく生き抜けたかもしれないですね。
警部役のイルファン・カーンは、インド人といえばこの俳優という地位を築いてしまったようだ。

2009年4月26日 (日)

タダなものに甘えすぎなのか。

ショック〜! Last.fmのラジオ再生がついに有料化されてしまったよ〜。
聴いたことのないミュージシャンや曲に出会えるのが楽しみだったのに。このラジオ機能が何より気に入っていたのに。
今日だって「スラムドック$ミリオネア」を観てきて、ちょっくらインドの流行の音楽でも聴いてみようかと思った、その矢先の無料期間終了のお知らせで、つくづく残念でなりません。でも運営サイドが採算取れないんじゃ仕方ないのかなぁ。

月額利用料金が3USドル(または3ユーロ、または3イギリスポンド・・・為替レートが違うのにどの通貨でも払えるとはどういうことだ?)。1年にして4000円くらいなら払いたい気持ちもあるのだけれど、ネット上で外貨で買い物なんてしたことなくて、そっちの不安のほうが大きい。手続きが面倒くさそう。悩む。
しばらくは日本の他のユーザーの動向をうかがってみよう。

2009年4月25日 (土)

ジェリー・ルイスなんだが(笑)

クライムコメディ小説の名手カール・ハイアセン、読むのは2冊目。「このミス」など年間ミステリランキングで評価の高かった作品。

『復讐はお好き?』カール・ハイアセン著/田村義進訳
(文春文庫 2007年邦訳)


Photo結婚2年目の記念として参加した客船ツアーで、夫チャズによって夜の海に突き落とされたジョーイは、命を救ってくれた孤島住まいの男ミックの協力を得て、夫への復讐を決意する。そして、まずは自分の命が狙われた理由をさぐろうとし、フロリダの大湿地帯エヴァーグレースの水質調査を仕事にしている夫が、どこかから賄賂を得ているらしいことをつきとめる…。

最初から最後まで笑える! 自然嫌いでナルシストな夫チャズが、とことんマヌケに描かれていて痛快! ちょっと年齢はいっているが、元捜査官のクールな男ミックも、チャズをいたぶるための脅迫電話ではいきなりチャールトン・ヘストンやジェリー・ルイスのものまねを始めるもんだから笑える。若いもん相手に、そんな物まねするところがいかしてるぞ笑

「そいじゃーね、チャズ」
「待ってくれ。ひとつだけ訊かせてくれ。今回の物まねのことだ」
「それがどうしたんだーい」
「ジム・キャリーだろ」
ミックは言った。「金額はたったいま倍になったよーん」

まあとにかく、わさわさ出てくる関係者がみんな面白いキャラクターだというところがこの本の魅力ですね。ネタバレになるけれど、特に好きなのは、悪徳農園主がチャズのために雇ったボディガードのトゥール。熊に間違えられるほどの毛むくじゃらの大男で、交通事故現場に遺族が立てる十字架を勝手に引っこ抜いてコレクションしている。このトゥールが、物語を最後は感動の光景で締めてくれるのでした。

2009年4月24日 (金)

ストーリーは意外に単純。

「ザ・バンク 墜ちた巨像」(2009年 アメリカ/ドイツ/イギリス)
★★★★

ワールドワイドな展開で難攻不落の巨悪に迫るポリティカル・サスペンス。違法行為に手を染める国際的な巨大銀行を追跡するインターポール捜査官が、執拗な妨害工作に遭いながらその実態と真相の究明に奔走する。主演は「トゥモロー・ワールド」のクライヴ・オーウェン。共演に「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツ。監督は「ラン・ローラ・ラン」「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァ。(allcinemaより)

Photo最近こういう「正義はどこにある?」「そんなものは世界中どこにもない」といった暗いトーンの映画が多いなあ。またかと思ったけど、題材は好み。「007/慰めの報酬」に登場する環境保護団体に相当するのが、この映画では世界屈指の巨大銀行って感じ。

あまりに簡単に暗殺を重ねていくなど、悪が明快すぎるのが難点だが、人が死ぬ場面など、映像はところどころ面白い。ストーリーも、柱の銃弾痕の角度を調べるあたりまでは緊張感があって良かった。新興の巨悪に多少でもダメージを与えることができたのは、マフィアの伝統(古参の犯罪組織)?と思わせるシニカルな結末も好き。

出演俳優では「イースタン・プロミス」に出ていたアーミン・ミューラー=スタールがこれでも抜群の存在感を発揮していた。

2009年4月22日 (水)

そのうち慣れるだろう。

最近ようやく、よーやく、iPodを買いました!(iPhoneではなく。)
びっくりするほどに音に感動がありません。



連休明けにオージェイズのリードボーカル、エディー・リヴァートが来日して
ビルボード東京でライブをやります。
とても楽しみにしているイベント。
でも、今日Webで確認したらチケットがかなり?余っているようです。


なぜグループではなくソロでの来日なのか分かりませんけど、
そのため、人も誘いにくいので一人で行くのですけど、
一度は「生で聴いてみたい」と思っていた歌声が、しかもあの狭い空間で!
と想像するだけで、今からたまらないものがあります。


Let me make love to you歌ってほしいなあ。
http://www.youtube.com/watch?v=es3QHLgN2Xw
これは比較的最近。やっぱりグループで見たいなあ。
http://www.youtube.com/watch?v=cdvk6K_vTzc


18世紀パリ裏通り

本国フランスではTVドラマ化されているという時代ミステリ「ニコラ警視の事件」シリーズ第1弾。

『ブラン・マントー通りの謎』ジャン=フランソワ・パロ著/吉田恒雄訳
(ランダムハウス講談社 2008年邦訳)

イギリスとの戦に明け暮れていたルイ15世治下のフランス。ブルターニュから上京し、パリ警察総監の下で見習い警視を務める若きニコラ青年は、ある警視の失踪事件の担当を命ぜられ困惑していた。なぜ経験もない自分が任命されたのか? 悩みつつも捜査を開始したニコラだが、失踪事件はやがて陰惨な殺人事件へ、そして王宮をもおびやかす一大事へと発展する…。(文庫裏表紙より)

Photoルイ治世下のパリというと、宮廷人たちの華やかな社交生活とは裏腹に、きわめて不衛生な都市というイメージがある。この小説はそのイメージをまったく裏切らないのが素晴らしい!(笑) 当時のパリの街の様子や風俗などが、実在の人物なども交えて随所に盛り込まれている点で、かなり読み応えがありました。
主人公のニコラは、性格が良く、勉強家で、誰からも愛され、さらに若くしてエリート職に抜擢されるという非の打ち所のない人物なのだが、物語は腐臭に満ちていて、扱う死体なんかもかなりグロい。今はまだ初々しいニコラだけれど、警察がむごたらしい拷問を平然と行っていた時代。今度どう成長して処していくのだろうか。

パリには「桶かつぎ」と呼ばれる、竿の両端にため桶をぶらさげて街を流し歩く移動便器屋がいる。客が用を足している間に話相手をつとめるので、自ずと情報が集まってくる。見習い警視ニコラの情報屋となるのがこの「桶かつぎ」というところで妙に感心してしまった。江戸だったら夜鷹蕎麦の屋台のおやじとかに該当するのだろうか。
一方でフランスってことで、非常に手の込んだご馳走から、得体の知れない肉が浮かんだスープまで、食べ物もいろいろ登場し、それもまた楽しい。サン・ジェルマンの食肉業者が連なる界隈にあるもつ煮込み屋の描写なんかが面白い。この小説を読むと、日本と違って、食の中心は肉なんだということがよく分かった気になる。

著者は現役の外交官。若い頃には歴史学と人類学を専攻し、この時代には特に詳しいようだ。

2009年4月20日 (月)

日記でも付けてみるべきか

ドラマ「天地人」はまるで紙芝居でも見ているようです。物語が並行して描かれたり、時間がさかのぼったりが一切なし(一度やったシーンの回想だけは多い)。とってつけたように信長と家康は登場するけど、ドラマの解説者として「上杉のところにはキレ者がいるらしい」とか言わされているだけ。あらすじのみのような内容で、しかも大抵の課題は一話で完結するので、次も見たいという気になりにくい。それでも景勝目当てで最後まで見続けますけれどね!

少しでも話が込み入ったり専門的になったりすると、視聴者から難しすぎると苦情でもくるのだろうか。しかし、今みたいに主人公の顔がずっと出ずっぱりでは飽きてしまう。せっかく1年かけてやるんだから、もっと群像劇の面白さを出してほしい。


最近、家にいると何をする気もおこらないのだ。あまりになまけものなので、日曜日の午後になると頭痛がして具合が悪くなるほど。季節的なものだろうか・・・このブログについては、サービス引っ越すときに少々がんばってしまったものだから、まさに五月病かもしれない。

これではますますダメ人間になりそうなので、しばらく日記でもつけてみようかしらと思ってみたけど、はたして続くかしら…。

2009年4月12日 (日)

警部と少女探偵

『ロウソクのために一シリングを』ジェセフィン・テイ著/直良和美訳
(ハヤカワ・ミステリ )

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英国南部の海岸にその朝打ち上げられていたのは、いまをときめく映画女優クリスティーンだった。遺体の髪にからまっていた男物コートのボタンから、殺人と判断したロンドン警視庁のグラント警部らは、クリスティーンと一緒に別荘に滞在していた無一文の青年ティズダルを容疑者として疑うが証拠がない。そんな折、クリスティーンが生前から用意していた遺書が開示され…。


ジョセフィン・テイは、ゴードン・ダヴィオットの別名も持つイギリスの女性作家(1896年ー1952年)で、アガサ・クリスティとほぼ同世代。印象的なタイトルのこの作品は、古典的名作『時の娘』を代表作とするアラン・グラント警部シリーズの2作目であり、ヒッチコックの映画「第3逃亡者」の原作としても知られるそうです。

グラント警部が第一容疑者に目を奪われているすきに、警部と親しいウェストオーバー郡警察署長の娘エリカが、探偵ごっこに興じて容疑者の無実を証明しまうところが楽しい。今となってはオーソドックスすぎるミステリですが、この少女のキャラクターがチャーミングだったのと、犯人が意外だったのが良かった。

スーパーヒーローたちの黄昏

あなたは誰に共感?

「ウォッチメン」(2009年 アメリカ)
★★★★
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米ソ冷戦が続き、終末時計が5分前を示す状況にあって、社会から必要とされなくなっていたスーパーヒーローたちが再び動き出す・・・その生き様(暴走)を描いた、80年代後半のアメリカンコミックの映画化。

登場する超人たちは往年のコミックヒーローをモデルとしており、ハードボイルドなシニカルさを装いつつ、パロディとしては笑えるところもいろいろ。ただし、パロディの元についてある程度詳しくないと本当には楽しめないんだろうなあ。6人のヒーローの性格の違いは分かりやすくつくってありますが。

オープニング・クレジットから映像が凝っている。もう一度、見直したいくらい。ストーリーは100%大人向けで、あえてB級を狙っているようなところが嫌いじゃない。一人だけスケールが超越しているDr.マンハッタンがいちばん笑わせてくれる。音楽のチョイスも気に入った。

コメディアン役のジェフリー・ディーン・モーガンがロバート・ダウニー・Jrそっくりではないか。

心理サスペンスとしては面白い

「ワルキューレ」(2008年 アメリカ/ドイツ)
★★★☆

1944年に起きたドイツ国防軍将校によるヒトラー暗殺計画「ワルキューレ作戦」と、その指揮を執った実在の将校シュタウフェンベルク大佐を描く…(Wikipediaより)

Photo
クーデターが逆転されるくだりが面白かったです。ヒトラー暗殺を自ら実行したシュタウフェンベルク大佐をはじめ一部のクーデター首謀者たちにとっては、ヒトラーが実際に死んだかどうかはそれほど問題ではなかったのでしょう。爆破によって数時間の混乱さえ生じれば、クーデターが成功する可能性はあると考えていた。ヒトラー側では例えばゲッペルスもそれを分かっていた。しかし、人の心は簡単には操れず…。


主演の大佐役のトム・クルーズは、話すときのしぐさなどがどう見てもアメリカンなのでした。そして、クーデターの最中に何度も妻子の安否を確認させたりするのもアメリカンヒーロー的な演出に思え、この映画のなかでは余計な場面に感じました。
脇にはイギリスのベテラン俳優が多数出演。ヨーロッパの歴史映画では常に使い勝手のいいイギリス俳優たちですが、今作はあまり印象に残らない。配役がしっくりこず、俳優たちの持ち味が生かされていないようなもどかしさが残る。

その中で役を存分に演じきったのは、シュタウフェンベルク大佐の副官であるヘフテン中尉(ジェイミー・パーカー)。レジスタンスに燃えているというよりは、大佐の心酔者にしか見えません。 フロム将軍(トム・ウィルキンス)とその若い秘書(?)の関係もよく似ている。そこらへんにブライアン・シンガー監督らしさを勝手に想像。あと、警備隊長役のトーマス・クレッチマン(ずっとレーアム・ニーソンと勘違いして見ていたりして)の制服姿が決まってた。

本国ドイツで2004年に作られたテレビ映画のほうは「オペーレーション・ワルキューレ」のタイトルでDVDが出ているようです。

トム・クルーズといえば、先日テレビで「宇宙戦争」を見たのですが、途中で宇宙人の姿を見せてしまったのにはがっかりでした。

2009年4月 1日 (水)

タキシードホームレス

去年読んだ『隣りのマフィア』が面白かったので、さかのぼってみた。ブナキスタだったりベナキスタだったり、他にもデニス・レヘインだったのがルへインになったり、出版社によって表記が異なるのは少し困りもの。


『夜を喰らう』トニーノ・ベナキスタ著/藤田真利子訳
(ハヤカワ文庫 2001年邦訳)

Lesmorsures

アントワーヌとロレンスは路上生活者。パリ社交界の「寄生虫」と呼ばれている。昼間は会員制スポーツジムに潜り込み、プール脇のデッキチェアで眠る。夜は名士らが催すパーティーに潜り込んでシャンパンをがぶ飲みし、豪華なビュッフェ料理で胃を満たす。しかし、ある夜、招待客と偽って侵入したパーティーは、狂信的な富豪が仕掛けた罠だった。ロレンスが監禁され、その解放条件として、富豪はジョルダンと名乗る男を探し出すことをアントワーヌに強要する…。


トニーノ・ベナキスタはフランスのノワール作家とのふれこみですが、『隣のマフィア』はクライムコメディ、そしてこれは打って変わってコメディ色は薄いものの、なかなか個性的な、夜のパリを舞台にした一種の私立探偵ものでした。

タキシードひとつでスノッブな夜族に紛れ込み、パリを生き抜く職無し宿無しの若者たち。しかし、「寄生虫」として生きるほどの図太さに欠ける主人公アントワーヌは、いつも頼りにしていた相棒ロレンスと離ればなれにさせられ、最初は心もとない。しかし、顔なじみのナイトクラブの常連たちの力を借り、一方でアントワーヌを目の敵にしている暴力的なカフェのドアマンともめごとを起こしながら、夜の街を徘徊し謎の男を探すうちに、とんでもない事件へと巻き込まれていくのです。

韻律を多用しているのか、翻訳のリズムが悪いのか、ちょっと取っつきにくいところもありましたが、最終章の、修羅場をくぐりぬけて一皮むけたアントワーヌの取った行動にはしびれた。余韻がなんともかっこいい! 
人を成長させるのは、誰かへの信頼や友情を持ち続けることなのかもしれない。先日読んだ『コンラッド・ハーストの正体』には欠けていたものがこの小説にはありました。


同作は、ギヨーム・カネ主演で映画化されており、「アーシア・アルジェント/禁断の罠」というタイトルでDVDが出ているようです。

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