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2009年4月22日 (水)

18世紀パリ裏通り

本国フランスではTVドラマ化されているという時代ミステリ「ニコラ警視の事件」シリーズ第1弾。

『ブラン・マントー通りの謎』ジャン=フランソワ・パロ著/吉田恒雄訳
(ランダムハウス講談社 2008年邦訳)

イギリスとの戦に明け暮れていたルイ15世治下のフランス。ブルターニュから上京し、パリ警察総監の下で見習い警視を務める若きニコラ青年は、ある警視の失踪事件の担当を命ぜられ困惑していた。なぜ経験もない自分が任命されたのか? 悩みつつも捜査を開始したニコラだが、失踪事件はやがて陰惨な殺人事件へ、そして王宮をもおびやかす一大事へと発展する…。(文庫裏表紙より)

Photoルイ治世下のパリというと、宮廷人たちの華やかな社交生活とは裏腹に、きわめて不衛生な都市というイメージがある。この小説はそのイメージをまったく裏切らないのが素晴らしい!(笑) 当時のパリの街の様子や風俗などが、実在の人物なども交えて随所に盛り込まれている点で、かなり読み応えがありました。
主人公のニコラは、性格が良く、勉強家で、誰からも愛され、さらに若くしてエリート職に抜擢されるという非の打ち所のない人物なのだが、物語は腐臭に満ちていて、扱う死体なんかもかなりグロい。今はまだ初々しいニコラだけれど、警察がむごたらしい拷問を平然と行っていた時代。今度どう成長して処していくのだろうか。

パリには「桶かつぎ」と呼ばれる、竿の両端にため桶をぶらさげて街を流し歩く移動便器屋がいる。客が用を足している間に話相手をつとめるので、自ずと情報が集まってくる。見習い警視ニコラの情報屋となるのがこの「桶かつぎ」というところで妙に感心してしまった。江戸だったら夜鷹蕎麦の屋台のおやじとかに該当するのだろうか。
一方でフランスってことで、非常に手の込んだご馳走から、得体の知れない肉が浮かんだスープまで、食べ物もいろいろ登場し、それもまた楽しい。サン・ジェルマンの食肉業者が連なる界隈にあるもつ煮込み屋の描写なんかが面白い。この小説を読むと、日本と違って、食の中心は肉なんだということがよく分かった気になる。

著者は現役の外交官。若い頃には歴史学と人類学を専攻し、この時代には特に詳しいようだ。

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