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2009年3月28日 (土)

初めて読むアガサ

今シーズン、テレビ各局が同じようなエジプト特番を立て続けに放送したのはおざなりな感じがした。観光局がタイアップキャンペーンでもやっていたのでしょうか。


エジプト旅行前に買っておいたものを、今ごろ読む。

『ナイルに死す』アガサ・クリスティー著/加島祥造訳
(ハヤカワ文庫)

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誰もがうらやむ美貌と資産を持つリネット嬢は、親友ジャクリーンの婚約者サイモンが気に入り略奪婚。ハネムーンでエジプト・ナイル河の豪華客船ツアーに参加したが、同じ船には銃を片手に2人をつけまわすジャクリーンも同乗していた。やがて現実化する殺人。しかし、最も疑わしいジャクリーンにはアリバイがあった。休暇で船に乗り合わせたポアロが犯人解明に乗り出す…。


1937年に発表された、名探偵エルキュール・ポアロ・シリーズの1冊。映画化されたものは一度観たはずだけれど、内容は忘れてしまっていて、それより、本の中でポアロのセリフが出てくるたびに、TVシリーズでポアロを演じるデビッド・スーシェの姿と、吹き替えの熊倉一雄の声が頭の中で再生されてしまうのはどうしようもなかったです笑。それだけキャラクターに違和感がない。この点は本を読むのにマイナスというよりプラスに働いた。珍しいことかも。


この手の本格ミステリは、性格などに明らかな問題があって、人に恨まれたり嫌われたりするのももっともだと感じる人物が最初に殺されるのが常套になっていると思うけれど、この古典作品は、富と美貌と若さを兼ね備え羨望の的となっている人物が殺される。そこがいわゆる他人の不幸は蜜の味。下世話な好奇心をかきたてる。
何もかもが思いのままで育ったリネットと違って、親友のジャクリーンは貧しい。しかし、ジャクリーンは一つだけ、リネットには及ばないものを持っていた。リネットはそれを一目見た途端にドキリとしてこうつぶやく。「ジャッキーってなんて運がいいのかしら…」。この掴みの部分がとっても良い! 2人の関係がどうなっていくかおぼろげに予想がつき、リネットの本性を確かめるために先を読まずにいられない。

さらに、ひと癖あって謎めいたほかの登場人物たちも魅力的だ。人間の描写は、P・D・ジェイムズらに影響を与えただろうことは容易に想像できます。名作の誉れどおり面白かったです。


本に登場するアスワン独特の岩と、アガサが滞在したアスワンのホテル。

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コメント

こんにちわ。
こちらまだ朝は寒いです。

「ナイルに死す」わたしも映画で前に見たのですが、ほとんどストーリーは忘れていますね(^_^;)
映像は美しくいかにもオリエンタルムードだったような。タイトルもいいですね。
書かれてあるのを読んでおぼろげに思い出したような(^_^;)
テレビシリーズのポアロは確かに独特の存在でよく頭に残っていますね。
確かに映画は本を読むのにマイナスに働くことが多いようですね。
今回はプラスに(*^_^*)

>KOZOUさん
こんばんは。ちっとも暖かくなりませんね。寒さにはそろそろ疲れてきました。

「ナイルに死す」はテレビで何回かやったんでしょうね。
いつも映画を観てしまうとその原作は読む気が起きないのですが、
これは最後までまっさらな気持ちで読めましたよ。
何でも忘れっぽくて困るのですが、たまにはいいこともありますね笑。

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