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2009年3月 2日 (月)

MWA賞最優秀長篇賞受賞作

『川は静かに流れ』ジョン・ハート著/東野さやか訳
(ハヤカワ文庫 2009年邦訳)

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継母の目撃証言によって殺人の容疑者にさせられ、実父にも見放されて、やりきれぬ怒りを胸に故郷を去ったアダム・チェイス。苦境に陥った親友からの電話を機に、5年ぶりに故郷に戻るが、彼を待ち受けていたのは、変わらぬ周囲の目と新たな殺人事件だった…。


アダムの実家は1789年以来のノース・カロライナ州の大農場主。アダムは幼いときに、目の前で母親に銃で自殺されており、その自殺の理由が父親にあるのではないかとのわだかまりを抱えている。また、5年前の出来事によって継母との関係は修復不可能。義理の弟、妹との関係もぎくしゃくしたままだ。一方、町には原子力発電所の誘致計画が持ちあがり、土地を売ろうとしないアダムの父親と、推進派の間でもめごとが起きている。不穏な空気の中で、アダムが妹のように可愛がってきた農場監督の孫娘が何者かに襲われて大けがを負う。そして、その事件をきっかけに過去のいろいろなものが吹き出してくる。

父と子の関係がテーマとなっているミステリですが、面白いのはなんといっても会話の部分。身内同士の会話、アダムと元恋人との会話、アダムに疑いの目を向ける保安官事務所の刑事との会話など、誰もかれもが疑いを隠そうとせず、容赦なく面と向かってものを言いあう。こんなに殺伐としているのは、もとは原住民のサポナ族を殺戮のうえに奪い取った土地だからかな、なんて因縁めいたことを考えてしまいました。しかし、陰湿さはないのである意味清々しいです。読み出したら止まらない面白さがあります。

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