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2009年2月25日 (水)

ダリオ館の幽霊

『ヴェネツィアの悪魔』デヴィッド・ヒューソン著/山本やよい訳
(ランダムハウス講談社文庫  2007年邦訳)

Photo

ヴェネツィアの骨董商スカッキの館に、夏の間だけ資料整理のアルバイトとしてやってきたイギリスの青年。しかし、彼を待っていたのは、同じ地でヴァイオリンの名器ガルネリと作曲者不明のコンチェルトをめぐって18世紀半ばに起きた悲劇のリフレインだった…。


上巻は悲劇を予感させながらちょっと退屈するところもあったのだが、下巻は潜んでいたものが牙をむき出しにして、がぜん面白くなりました! 上巻はどこがミステリ?と思わなくもなかったが、ラストのほうの展開は凝っていて、驚きが待っています。
現代の章はイギリスから来た学生ダニエルを主人公に、18世紀の章は叔父の経営する出版業の見習いとなった青年ロレンツォを語り手として、2つの時代の話が交互に綴られる。主人公2人とも天涯孤独で、まだ純真な心を持っているという共通点があるが、その純真さゆえにある犯罪に荷担させられることになる。2つの時代の物語が、進むにつれてだんだん似通ってきて、見境がつかなくなってくるあたりが妙味です。

晩年のヴィヴァルディや無名時代のジャン=ジャック・ルソーも登場し、ともに少し意地悪な視点で描かれているところも遠慮がなくて楽しい。小説の中で重要な役割をするダリオ館は、地元では持ち主が次々と不幸に見舞われるという伝説があるらしい。画像を検索すると、なるほどなという有機物的外観をしている。そして、小説の中でイメージしていたまんまだったので、ちょっとうれしかった。

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