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2009年2月

2009年2月27日 (金)

社会派ボンド

「007/慰めの報酬」(2008年 イギリス/アメリカ)
★★★★

観たのは1カ月近く前。愛する女性を失った痛手から立ち直れずにいるジュームズ・ボンド・・・はてさて、前作「カジノ・ロワイヤル」のヒロインがエヴァ・グリーンだったのは覚えているけど、彼女がどうなったのかが思い出せない! とても歯がゆい思いで観たのが心残り。たぶん似たような理由で、前作の復習をした人が多かったに違いない。映画館の帰りにさっそくレンタル店に寄ったら前作DVDはすべて貸し出し中。その後も店を覗くたびに貸し出し中。これが作戦だったらずるいな〜。

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なんだかジェイソン・ボーン・シリーズのような007でした。でも、ダニエル・クレイグにはこういうストイックな役のほうが似合ってると思うし、マット・デイモンよりもこの手の役がしっくりくる。

悪役も、その賛同者たちも、彼らの企ても、時代に即していて非常に分かりやすく、ボンドに肩入れしやすかったです。背中の日焼け跡などおかまいなしのオルガ・キュリレンコ(中南米系と思ったらウクライナ人)と、この映画の中の清涼剤であったジェマ・アータートン(登場したときのファッションが印象的!)という2人のヒロイン、加えてあっさりしたラストも好みでした。上映時間はカジノ・ロワイヤルより40分近く短いところが、カジノよりも007シリーズらしい感じがした。こっちのほうが好きです、たぶん。

敵役のマチュー・アマルリックは「潜水服は蝶の夢を見る」で知ったけれど、雰囲気的に日本だと、元パンクロッカーがその後に俳優に転身、またはその後に作家に転身した人たちを思い浮かべる。

2009年2月25日 (水)

ダリオ館の幽霊

『ヴェネツィアの悪魔』デヴィッド・ヒューソン著/山本やよい訳
(ランダムハウス講談社文庫  2007年邦訳)

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ヴェネツィアの骨董商スカッキの館に、夏の間だけ資料整理のアルバイトとしてやってきたイギリスの青年。しかし、彼を待っていたのは、同じ地でヴァイオリンの名器ガルネリと作曲者不明のコンチェルトをめぐって18世紀半ばに起きた悲劇のリフレインだった…。


上巻は悲劇を予感させながらちょっと退屈するところもあったのだが、下巻は潜んでいたものが牙をむき出しにして、がぜん面白くなりました! 上巻はどこがミステリ?と思わなくもなかったが、ラストのほうの展開は凝っていて、驚きが待っています。
現代の章はイギリスから来た学生ダニエルを主人公に、18世紀の章は叔父の経営する出版業の見習いとなった青年ロレンツォを語り手として、2つの時代の話が交互に綴られる。主人公2人とも天涯孤独で、まだ純真な心を持っているという共通点があるが、その純真さゆえにある犯罪に荷担させられることになる。2つの時代の物語が、進むにつれてだんだん似通ってきて、見境がつかなくなってくるあたりが妙味です。

晩年のヴィヴァルディや無名時代のジャン=ジャック・ルソーも登場し、ともに少し意地悪な視点で描かれているところも遠慮がなくて楽しい。小説の中で重要な役割をするダリオ館は、地元では持ち主が次々と不幸に見舞われるという伝説があるらしい。画像を検索すると、なるほどなという有機物的外観をしている。そして、小説の中でイメージしていたまんまだったので、ちょっとうれしかった。

2009年2月24日 (火)

「ソーセージみたいに、完全に死んでますよ」

『料理長が多すぎる』レックス・スタウト著/平井イサク訳
(ハヤカワ文庫)

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美食家でプライドが高く、150キロ弱の巨漢である私立探偵ネロ・ウルフは、乗り物が大嫌い。しかし、南部の保養地カノーワ・スパーでの「15人の名料理長」の集いに主賓として招かれ、今回ばかりは出掛けないわけにはいかず、助手のアーチーを伴ってしぶしぶながら列車の旅に出る。そして、現地での晩餐会の前日、一人のシェフが何者かに刺殺される事件が起きる…。

アメリカで最も有名な”安楽椅子探偵”ネロ・ウルフ・シリーズの、1938年に発表された代表作。シリーズのほかの作品を読んでいないので推測ですが、自分の興味のあることしか眼中にないわがままな巨漢ネロと対照的に、助手のアーチーはハンサムなうえにユーモアがあり、女性あしらいもスマート。そのアーチーが語り手であることが、この本の魅力の一つになっていると感じました。ネロもとっつきは悪いが、実は懐の深いところがあり、ソーシス・ミニュイ(ソーセージの一種)への執着ぶりは可愛らしくもある・・・。レジナルド・ヒルのダルジール&パスコーに通じるコンビものの面白さがありますね。ところで、アーチーは本当は独身?

よろしくお願いします。

himehikage(ヒメヒカゲ)と申します。
これまでDoblogで記事を書いてきましたが、サーバー障害によるサービス停止状態が長引き、今後はこちらでお世話になることにしました。

これ以前の日記およびマイフォトは旧ブログで掲載したものの再掲載です。いずれすべての記事をこちらに引っ越す予定です。



Doblogは、初心者の私にとってはシンプルで使いやすく、いろいろと勉強させてもらいました。また、同じブログサービス内の人とつながりやすく、コメントが気安くできたところも、今となっては大きなメリットだったと思い、非情に残念です。

1日も早いサービス再開を祈ります。

2009年2月 3日 (火)

今度はR&Bアルトサックスの巨匠が…

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1月29日、先日のデヴィッド“ファットヘッド”ニューマンの後を追うかのように、レイ・チャールズのバンドの仲間、ハンク・クロフォードが亡くなりました。享年74歳。実は同じバンドで、主にバリトンサックスを吹いていたリロイ・クーパーも先月半ばに亡くなっており、愕きのタイミングです。といってはなんだか不謹慎だな。
ハンクは、今日のアルトサックス奏者を代表するデヴィッド・サンボーンと、メシオ・パーカーにも多大な影響を与えた人物。私にとっても大変なアイドルでした! 個人的には特に彼のバラード演奏にノックアウトされっぱなしでした。歌心が素晴らしく、ハスキーで時にひっくりかえる高音がたまらなかった! ご冥福を祈ります。
http://jp.youtube.com/watch?v=iKNB7V2UB3c



情報は「blog 死亡欄」さんから頂きました。お気に入りとしてサイドのリンクにも追加。

空気人間は隔世遺伝

待ち受け画面がフリーズしたまま電源が落ちてしまった携帯電話がふっかつ! 機種変更手続きをして2日後に、放っておいた旧携帯の着信ランプが点滅していることに気づく。「ひぇ、幽霊メールか?」と思ったら、くーまんメールでした。「特に用はないけどメールしてみました」だって。くーまん、驚かすなあ、もう。
でも、くーまんメールのおかげでフリーズが解けて、あきらめていたアドレスなどのメモリを取り出せたのでした。しかし、廃棄のために旧携帯のメモリをすべて消去したところ、再びメール受信。「はじめまして! くーまんでふ。」・・・廃棄するのがしのびなくなってしまった。くーまんのためだけに時々充電しておくか?



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アメリカン・ホラー小説の大家の息子という事実がどうしたって気になってしまう、若手作家の2005年のデビュー作。話題作。

『20世紀の幽霊たち』ジョー・ヒル著/白石朗・安野玲・玉木亨・大森望訳
(小学館文庫 2008年邦訳)

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巻頭の謝辞を含めると全部で17篇からなる怪奇幻想短篇小説集。少年と家族、または友人が登場する話が多く、また、アメリカの田舎を舞台にした少し古い映画を思い出させるところもあり、ホラーをベースにしながら、どこかノスタルジックで、情景も慣れ親しんだもののように目に浮かんできます。1篇1篇の読後感もバラエティに富んでいて楽しめました。

映画みたいといえば、巻末に、ある作品の「削除部分」や、著者による「収録作品についてのノート」が掲載されているところが、映画DVD特典の未公開シーンやメイキングまたは音声解説のようだと思いました。映画館やロメロのゾンビ映画を題材にした話もあって、父親と同じく映画が好きそうです。
強く印象に残ったのは、著者自身も気に入っているという「ポップ・アート」(斬新、切ない、伊坂ファンなんかが好きそう笑)、それに続く「蝗の歌をきくがよい」(カフカに感化された作品)、後半の「おとうさんの仮面」(現実的にはこれがいちばん怖くて悲惨)と「自発的入院」(これも切ない)。ラストに載っている「救われしもの」は、たまたまテレビでやっていた映画「プロフェシー」を見たすぐ後に読んだため、イメージが交差してしまい、ずいぶん不安な思いをしながら読みました。

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