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2008年12月 1日 (月)

北欧の元祖・警察小説

エド・マクベインの「87分署」シリーズを手本に書かれ初め、のちに警察小説の古典として、87分署と並び称されるようになった刑事マルティン・ベック・シリーズ。MWA最優秀長編賞を受賞した代表作。

『笑う警官』マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー著/高見浩訳
(角川文庫 1972年邦訳)

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ベトナム反戦デモで多くの逮捕者が出た日の夜。土砂降りの雨の中、ストックホルムの街外れに放置された市内循環バスから、8人の銃殺死体が見つかる。その中の1人は、殺人課警視マルティン・ベックの部下ステンストルムだった。いったい彼はバスに乗って何をしていたのか、どこに行こうとしていたのか。そして大量殺人犯の目的は…。


スウェーデンの夫婦作家によるこのシリーズを知ったのは、同国のヘニング・マンケル作品を通じて。北欧にこんな有名なミステリ作品があるとはぜんぜん知らなかった。これはシリーズ4作目で、40年前に書かれたものだけれど、ほとんど古臭さを感じさせず、面白かった。シリーズものは1作目から読むのがベストと思っていたけれど、最初に代表作を読むのもありだな。少なくとも87分署の1作目よりは、こっちのほうが楽しめた。

マルティン・ベックの妻との関係に、共感する既婚中年は少なくなさそうだ。刑事たちそれぞれ味があるが、いつも「言わずもがなの発言をするのが好きな」グンヴァルド・ラーソンがひと癖あって面白い。
犯人像をつかめないでいるストックホルム警察の刑事たち。一人が「大量殺人てのは、アメリカさんの専売特許らしい」と言うと、もう一人が「なぜそうなのか。まず、暴力の賛美だろう。それから、出世主義のはびこる社会、銃砲類の通信販売、残忍なベトナム戦争」と応える場面があった。今とほとんど変わっていないが、出世主義というのは懐かしい響き。

ところで、この文庫の表紙画像を検索してたら、同名の日本の警察小説があった。もともとの題名は違っていたが、文庫化するときに出版社の意向なのか、題名を「笑う警官」に変更したらしい。なんだかな。作家本人は有名な警察小説と同名になってしまうのは知っていると思うけど。

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