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2008年12月15日 (月)

女フランケンシュタイン(博士じゃなく怪物のほう)

スコットランドの奇才によるゴシック奇譚。

『哀れなるものたち』アラスター・グレイ著/高橋和久訳
(早川書房 2008年邦訳)

作家アラスター・グレイは、グロテスクな装飾の施された一冊の書を手に入れた。『スコットランドの一公衆衛生官の若き日を彩るいくつかの挿話』と題されたその本は、19世紀後半のとある医師による自伝だった。それは、実に驚くべき物語を伝えていた。著者の親友である醜い天才医師が、身投げした美女の「肉体」を救うべく、現代の医学では及びもつかない神業的手術を成功させたというのだ…。(裏表紙の紹介文より)

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『フランケンシュタイン』をモチーフに、ちょっと不気味な挿絵とともに綴られるブラックユーモアたっぷり、しかし後味は少々ほろ苦い物語でした。基本的には3部構成になっていて、1部は、容姿の醜い天才医師ゴドウィン・バクスターが孤独から抜け出すために作り上げた女フランケンシュタイン(ヴィクトリア)と後に結婚した医師マッキャンドレスの回想録。入水自殺したヴィクトリアを生き返らせたのは、脳を入れ替える手術なのだが、その脳の出どころは・・・ここの部分はぞっとしました。

しかし、再生したヴィクトリアはとんでもなく淫乱で(笑)。どこへ行っちゃうのこの話は?と思いましたが、彼女が婚約者マッキャンドレスを放っておいて別の男性と駆け落ちした海外で出会ったアストレーなる人物から授かる「苦い知恵」など、その部分だけを読んでも非常に面白かったりします。

2部は、このマッキャンドレスの回想録を受けて、彼の死後に書かれたヴィクトリアの書簡。1部の内容が、2部でひっくり返されるところが読みどころ。苦笑いせずにいられません。3部は著者による註釈で、天才医師バクスターやヴィクトリアなどが実際に存在したことを考証するための資料が集められていますが、これも人を食った内容というか、もっともらしくみえて全部フィクションのように思えるし。
訳者のあとがきによると、著者アラスター・グレイは「わたしは真実しか言わないし、書きもしない、嘘をつくとき以外は」と語っているそうで、それを信じるしかありませんね(笑)

哀れなるものたち(原題:Poor Things)は、ほとんどの人類のことを指しているように思えます。

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