« ゆるキャラなんか興味なかったのに | トップページ | 70年代の音を作った人がまた一人 »

2008年9月15日 (月)

アメリカからやってきた超ファミリー

映画脚本家としても知られるフランス人作家の、一般的にはミステリに分類されるんだろうけど、映画で使われるクライムコメディのジャンル名がしっくりくる小説。

『隣りのマフィア』トニーノ・ブナキスタ著/松永りえ訳
(文春文庫 2006年邦訳)

Photo_20

フランスの田舎町に、闇夜に紛れて引っ越してきたアメリカ人4人と犬1匹。彼らはFBIの証人プログラムによって保護されたマフィアの大物一家だった...。


実は一家のフランス国内での引っ越しは3度目。過去に2度、身元がばれそうになる失敗をやらかしているわけで、まーそれも納得。小さな田舎町で、アメリカ人というだけで興味を持たれているのに、この一家はそれぞれが我が道を行き、ほどほどにやりすごすということを知らない。FBIの監視をよそに、元コーザ・ノストラの父親は作家と偽り、生意気な配管工の腕をへし折る。母親はボランティアにいそしみながらも、客あしらいの悪いスーパーに放火。娘と息子も、この親にしてこの子あり。ある種の才能で学校で一目置かれる。そして、気付けば一家揃って、町の人気者になってしまっていたのだ!

一家の居場所がニューヨーク・マフィアの大ボスに感づかれてしまう経緯が面白い。「グッドフェローズ」などの映画ネタが盛り込まれていて楽しい。でも、この小説で輝いているのは、本筋とは関係なく挿入される、たくさんの登場人物たちのウイットに富んだエピソード。原題は「Malavita」なので、邦題は映画「隣のヒットマン」を意識してますよね。


*************************************************
『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』ギルバート・アデア著/松本依子訳
(ハヤカワミステリ 2008年邦訳)

Photo_21

ロジャー・フォルクス大佐の邸でのクリスマスの集いに参加したのは、大佐とその妻と娘、娘のボーイフレンド、牧師夫妻、医師夫妻、女優、女流作家。そしてもう一人、半ば強引に押しかけてきたゴシップ記者が、翌日射殺死体となって見つかる。折からの猛吹雪で警察にも連絡が取れず、人々は近隣に住む元警部に助けを求める...。


内容も本のタイトルも、アガサ・クリスティー作品のオマージュであり、パロディだそう。そしたら、少し前に読んだ『切り裂かれたミンクコート事件』もオマージュなのかな。密室ものなどの本格ミステリーの古典が大好きな人なら、きっと大いに面白がって読めるのでしょう。私にも本格ミステリーのパロディと分かるのは、本の扉にあるフォークス邸の見取り図くらいだろうか。読み終わって、何の意味もなかったことに気づいた(笑)。


**************************************************
新書で上杉隆著『ジャーナリズム崩壊』も読みました。

著者の経験をもとに、特に記者クラブについて批判した内容。担当した政治家が出世すれば自分も出世する仕組みになっている新聞の政治記者に、政治批判は期待できず、そのためスクープ報道をものにするのは週刊誌の記者。また、そのスクープを新聞が後追いする場合には「一部週刊誌が」とか「・・・とわかった」という表現で、情報源をはっきりさせないのは、盗作行為ではないかと言っているところがいちばん頷けた。新聞の驕りですね。「・・・とわかった」とある記事については、どこかから送られてきたニュースリリースをそのまま載せているだけのことが多く、以前から胡散臭く思っていた。宣伝広告と変わらない記事が、新聞には多いよね。

« ゆるキャラなんか興味なかったのに | トップページ | 70年代の音を作った人がまた一人 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/28555482

この記事へのトラックバック一覧です: アメリカからやってきた超ファミリー:

« ゆるキャラなんか興味なかったのに | トップページ | 70年代の音を作った人がまた一人 »

インデックス

無料ブログはココログ