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2008年8月25日 (月)

浪花節だよジャック・フロスト

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みんな大好きフロスト警部!
これだけシリーズ続編の翻訳が待たれていたミステリもないでしょうね。私も待ったよー。なにせ前作から7年降りだもの(もう7年もたったのかとの思いもあるけど)。 この間に作者ウィングフィールドの訃報が伝えられ、ますますやきもきしました。享年79歳だったそう。ミステリ作家として本格デビューしたのは50代半ばってことになる。若い世代にしか書けない小説もあるけれど、フロスト警部シリーズは、人生経験の長い作者ならではの機微の豊かさが持ち味になっており、すべての世代に面白く読まれる内容だと思う。翻訳者が変わらないのもうれしい。あ、表紙のイラストもね。この上巻表紙はフロスト警部と、万年巡査部長のビル・ウェルズですね。

『フロスト気質』R・D・ウィングフィールド著/芹澤恵訳
(創元推理文庫 2008年邦訳)

ハロウィーンの夜、行方不明の少年を捜していた新米巡査が、ゴミに埋もれた少年の死体を発見する。そのうえ連続幼児刺傷犯が新たな罪を重ね、15歳の少女が誘拐され、謎の腐乱死体が見つかるなど、デントン警察はいつも以上に忙しい。よんどころない事情で払底している幹部連の穴埋めをするべく、これら事件の陣頭指揮に精を出すのは、ご存じ天下御免の仕事中毒、ジャック・フロスト警部その人。勝ち気な女性部長刑事や、因縁浅からぬ警部代行とやりあいながら、休暇返上で働く警部の雄姿ここにあり!警察小説の大人気シリーズ、待望の第4弾。(文庫扉より)

相変わらずの冴えない服装、 相変わらずの下ネタジョークとセクハラ発言、 相変わらずの間の悪さ(間の良さ?)、 相変わらずの思いつき捜査、 相変わらずの不眠不休、 相変わらずのニコチン中毒、 相変わらずのマレット署長との対立、 相変わらずの受付係ウェルズ巡査部長とのやりとり etc.

おなじみのことがおなじみのままであることがうれしいっす。でも、フロスト警部ったらこんなに浪花節な性格だったっけ?(笑) いつもより出ずっぱりで、いつもより上司としても有能な気もしたけど、もう前作までのことはほとんど忘れてしまっているからな...。

しかし、面白さは期待を裏切りませんでした! モジュラー型の複雑なプロット、たくさんの登場人物(巻頭3ページが登場人物一覧)にもかかわらず、途中でまったく混乱することなく読めてしまう。それだけみんなキャラが立っているということだろう。それぞれがどこかユーモラス。一部の犯罪者を含め。そして、読み終える頃には自分もフロスト警部チームの一員として、ひと仕事を終えた心地よい疲労感を共有している......これは長編ゆえの醍醐味でもあるけど、一見だめオヤジのようなフロストと、そのフロストに確かな信頼をおく仲間たちの関係が、実にいい感じだからなのだと思う。

いくつもの事件の解明とともに、フロストを軽蔑しているモード部長刑事と、過去の出来事でフロストに恨みをもつキャシディ警部代行が、いつフロストの性格に懐柔されるか(笑)も読みどころの一つになっているわけだが、それをさらりと行間だけで伝えてしまうところも憎い。これぞ大人の関係。そうそう、前作までと変わらないことがもう一つ。部下の独身男女の関係を取り持つキューピットのような役割も相変わらずでした。

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