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2008年7月12日 (土)

God bless the child that's got his own

スライ&ザ・ファミリー・ストーンの初来日チケット争奪戦。ブルーノート東京分はまったくお話にならなかったのだ。瞬殺だった! 読みが甘いなんてもんじゃなかった。スライの人気は、ブラックミュージック好きよりも圧倒的に人口が多いロック好きによって支えられていることを考慮すべきだったのだ。情報をもらったときに東京国際フォーラムのほうをすぐに手配しておけばよかったんだよね…。Yさん、ごめんよ。
しかし、ボックス席に陣取るグループの中には、チケットをもらって同伴しただけの、ありがたみの分かっていない人もかなりいるのではないかと想像すると悔しいばっかりだなあ……。
ええーい、もうすっぱりあきらめろ!


気を取り直して、先日取り上げたクリセット・ミッシェルのインタビュービデオを見ていたら、この曲をちらっと真似して歌っていたので、ついでに取り上げてみる。

Billie Holidayの“God Bless The Child"

Fi2621624_1e ビリー・ホリデイが歌って有名になった曲はたくさんあるだろうけれど、ジャズの枠を超え最もポピュラーなのはこの「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」ではなかろうか。本国のアメリカ人なら誰もが彼女のその歌を知っているというイメージがある(勝手な想像)。ビリーを聴き始めるにあたっての、最も口当たりのいい1曲ともいえる。有名だからって「奇妙な果実」を最初に聴くのは間違いだ。あれでビリーのファンになれる人はきわめて少数派だ。アルバム単位だったら『レディ・イン・サテン』と『ラスト・レコーディング』が時代が新しく、ポップなストリングス入りオーケストラがバックということもあり取っつきやすく、普遍的な魅力を持っている。この辺りが自分の入門編でもあったので、多分に主観が入っている。

ビリー・ホリデイを意識したのは、中学生のときに彼女の自伝を読んだことだった。学校図書館にあったノンフィクション全集の中に収められていて、ロバート・キャパの「ちょっとピンぼけ」、エロール・フリンの自伝とともに1冊になっていた(すごい組み合わせ…)。その数年後に『レディ・イン・サテン』のアルバムを初めて買って、歌のたたずまいのカッコよさにしびれた。しかし、背伸びすることなく心に染みいってきたのは、ラジオで聴いた「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」が最初だった。

で、そのビリーが歌う「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」は何度も録音され、手元には(1)コロンビア盤の1941年5月9日録音、(2)デッカ盤の1950年3月8日録音、(3)ヴァーヴ盤の1956年6月7日録音という3つのバージョンがある。(1)はおっとりとしていて伸びやかな歌声が魅力。(2)はぐんと貫禄がつき包容力のある歌声。混声コーラス入りでエコーがきいているクリスマスソングのようなアレンジがドラマチック。最初に心奪われたのはこのバージョンだったかも。(3)は41歳のときの録音だが(1)から順に聴くと老婆のような声になってしまっている。だけど、たった4分足らずの中に込められているものがあまりに濃厚だ。さまざまな感情が渾然とした玉虫色のような歌唱で、聴くときの心情によっては一番なぐさめられるのがこのバージョンだったりする。

YouTubeでは(1)がこれ、(3)がこれ。(2)は探せなかったけどサム・クックが歌うこれのアレンジが(2)をかなり意識したものになっている。

しかし、ふだん英語の歌詞はほとんど気にしていないのだけど、いま改めて「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」の歌詞をみて、タイムリーさに驚いた。ろくな仕事がなく低賃金の派遣で働かざるを得ない若者が皮肉を込めて歌うにはぴったりな内容に思えるよ。訳する人によって若干解釈が違っているようなので、英文のまま。

Them that's got shall get
Them that's not shall lose
So the Bible said and it still is news
Mama may have, papa may have
But God bless the child that's got his own
That's got his own

Yes, the strong gets more
While the weak ones fade
Empty pockets dont ever make the grade
Mama may have, papa may have
But God bless the child that's got his own
That's got his own

Money, you've got lots of friends
Crowding around the door
When you're gone, spending ends
They don't come no more
Rich relations give crust of bread and such
You can help yourself
But don't take too much
Mama may have, papa may have
But God bless the child that's got his own
That's got his own

(Billie holiday / Arthur Herzog jr.)

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コメント

そんなお気になさらず。もっと近くなったら東京ジャズの方ならチケット出るんじゃないかな?ブルーノート・・・・。どーせ業界人ばっかりでしょうよ。スガシカオの友達だけで100人くらいくるでしょうよ。ふんっだ!(ToT)

>やまやましーさんスガシカオだけじゃないよね。業界にはファンいっぱい。せっかくの早い情報だったのに・・・あの時点だったらフォーラムは良い席が取れたよね。ラジオで毎日宣伝してるから、これはまずいと思ってたんだ。たった1日のブルーノート公演でソールドアウト確実なのに…。でも、ライブうまいこといったら1年後また来るんじゃないかなとも思ってる。

うーむ。やはり、この世代の、ロック&ソウルファンっていうものは、自分たちの、概念のなかのホンモノを求めてるーってものだね~(そしてほとんどお金は関係ナイ!)で、今朝10時に私がUDOにThe WhoのS席を求めて、どーでしたでしょうか?つながり悪いよね~とマウスにぎって、待ちまして、サイトに入り込めた時、これまたね1分30秒でS席はバーっと売り切れておりました。A席のみとなって(UDOチケットサービス)買うのを今一度、躊躇です。ソーシャル・コミュニティの掲示板とか、いろいろあるのでギリギリまで、待つかなー??ただフーに限っては、武道館の売れ方が凄まじいみたいね。埼玉や横浜はそれほどでもナイらしーんだけど、これはキャパの問題なのかしらねー?

>べべあもさんお疲れ。こっちも想像以上! 普通にとれると思ってたよ。武道館でA席はかなり悪い席だよね。今見たらそれも終了してたけど…。関東で3箇所もやるとは知らなかった。その3会場ではやっぱり武道館で見たい。これまた世代的にみんな考えることが同じか(笑)。スライとフーで浮いた2万7千円で、iPhoneでも買うか?

ひどいひどいひどい!あんなの楽しみにしてたのに!買えなかたのーーーーっ!?やっと、まさかの初来日なんでしょ!簡単に諦められないよぉ~~~~私も(?)業界の人は遠慮しろや!ダフ屋もクソっ!アモさんのザ・フーも、ダメそうなのかな?

>えむさん狭いところで見たいと欲出しました。ブルーノートも会費出して会員になれば先行でとれたかもしれないんで…。読みが甘かったにつきます。贅沢しなくてすんだと思うようにする。

あもさんの名前、また間違えちゃった。すみません、へべれけさん。

ビリー・ホリデイは確かに詳しい人に聞いてから買わないとガクッとくるものも有りますね。私も老婆声のライブとか持っています。しかし、ヒメヒカゲさん、中学生で読む本のレベルが違うのはさすがです。私なんぞその頃ビリー・ホリデイとビリー・ザ・キッドの区別もついてなかったんじゃないかな?個人的にはブルース好きなのでビリー・ホリデイよりはベッシー・スミスの方にのめり込んじゃいますね。スライの来日自体知りませんでした。田舎にいると最初から行ける可能性は低いので安心?です。

>k.m.joeさんネットカフェとは不便ですね。大したことないといいですけど。ブルース好きのjoeさんは、やはりベッシー・スミスですよね。録音が良いベストアルバムがあったらほしいです。ビリー・ホリデイの伝記は・・・昔は音楽の情報に飢えてたでしょ。ラジオもあまりなかったし。で、たまたま図書館にあるのを見つけて名前だけは知っていたから読んだのです。世界文学全集の中でエロそうなのを探して読むのと動機はあまり変わらない(笑)。

きっと、ビリー・ホリディに、がーんって気分で聴いたのはバート・ランカスター主演の「ジブラルタルの出帆」って映画の挿入歌だったと思うのです。~この映画、マコーレー・カルキン初出演でそして、かのケビン・スペイシー氏も出ているのよね。この映画みてすぐに、「Lady Day」というCDを買ったよ。けっこうビリー・ホリディの曲は印象的に、You Better Go Now Don't Explainとか、数曲流れるものね~ヒカさんはコレ観ていませんか?私観ていないけど、「ビリーホリディ物語」って映画観ていませんか?わはは、セックス・ピストルズも来日なのね~まぁ~行かないれどねー

>あもさんジブラルタル見たよ! お祖父ちゃんが古いレコードをかけるんだっけ?うん、印象に残ってる。けっこういい映画だったよね。ビリー・ホリデイ物語はダイアナ・ロスだっけ? 見てないよ。かなり前かな。ロスが歌ったグッドモーニング・ハートエイクが入ってるアルバムは中学のときに買った。セックスピストルズか・・・結局いま日本で金を持っているのって40歳以上ってことかもね。世代の格差も相当広がってる気がするわ。それよりも、あもさんの関心事は竹島なのでは?!

素敵な枯れ方をしている人の歌は、心に染みてくるようですね。そして、一服の安堵感のようなものが、空間を満たしてくれます (^^)

>ascさんこんばんはー。ビリー・ホリデイの枯れ方は生々しいですけどね、老練の歌手の歌声はふっと身も心もほぐれるものがありますね。録音が今みたいな良すぎないのもいい気がします。

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