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2008年6月15日 (日)

あっけらかんと見えるがそうでもない。

映画館にて。アカデミー脚本賞受賞作。

「JUNO/ジュノ」(2007年 米)
★★★★

Fi2621610_1e 同級生と興味本位でした一度のセックスで思いがけず妊娠してしまった16歳の高校生ジュノ。彼女は中絶よりも養子縁組の道を選択し、親友の助けを借りて自ら雑誌で里親探しを始める…。

通常だったら深刻な題材として描かれる十代の妊娠と出産が、主人公ジュノの健気なキャラクターと、オフビート感に富んだ会話によって、力強いヒューマン・コメディに仕上がっていました!
ポリタンクに入ったジュースをがぶ飲みし、近所のドラッグストアに何度も通って妊娠検査薬を試してみるオープニングから、高校生ジュノは妊娠を周囲に隠すそぶりなどつゆとも見せず…。しかし、ジュノはまだ子供、やがて当人の予想を超える大波乱や葛藤が待っているに違いないと思いきや、妊娠を知らされた両親をはじめとする周りの人たちは実に物わかりがよい! だれも動揺や不安をあらわにして大騒ぎしないのは、やさしさや思いやり、互いの信頼感があるからこそ。そして、ジュノはジュノで、妊娠を自ら背負い込んだ試練として潔く向き合い、生まれてくる子供の幸せのためにベストを尽くそうとする。
アメリカの事情は知らないけど、日本ではかなり抵抗を持たれそうな内容をはらんでいる。しかし、後味が悪くないのは、軽妙な会話からうかがえるジュノやジュノの周辺の人々のやさしさや思いやり、信頼感。それが「世の中、こういう人たちばかりだったら、里子として育つ子供についても何も心配することはない」という不思議な説得力を生むからだ。

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少し前にレンタルで見た映画。「JUNO/ジュノ」と同じくジェイソン・ライトマン監督の前作。

「サンキュー・スモーキング」(2006年 米)
★★★★

全米のタバコ会社が出資するタバコ研究アカデミーのロビイストが、その巧みなディベート能力で禁煙ファシズムに対抗する…。

タバコを例に、害があると認められたものについては、人々に選択の自由を与えず全面排除しようとするファシズム的傾向を大いに皮肉った映画。辛辣でウイットに富んだ会話がてんこもりで、ところどころリプレイして見ちゃいました。
常に批判の矢面に立たされつつ、時には情報操作のための画策にも手を染める。一方で、離婚して別れて暮らす息子からは尊敬できる父親として資質を試されているという状況があり、やがて訪れる自身の大きな危機。これらを弁舌のみでどう収めていくかが見ものです。タバコ業界のPRマンなんて、もはやハンディだらけなので、相手の弱点をうまく利用するしかないのだが、そのことで社会の反感をいっそう煽ってしまってはロビイスト失格。禁煙ファシストを皮肉りながら、喫煙シーンが一度も登場しないのも、同様の気配りでしょうか。タバコについては吸う人にも吸わない人にも中立な立場で作られている映画になっていたと思う。
キャスティングが地味ながら皆よかった! “死の商人”団を自称とする飲み仲間たち=タバコ業界、アルコール業界、銃製造業界のPRマン3人の場面は特に可笑しかった。年間死者数を自慢しあってストレス発散って(笑)。最後にメンバーが増えているオチもヒット。あと、映画会社を訪れた主人公親子が、シャチがアザラシの子供を襲う有名なドキュメンタリー・フィルムの映像にぽかんと見入っている場面は、過激なイルカ・クジラ保護団体に対する皮肉だろうね、おそらく。

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コメント

(JUNO)そうだよね。世の中、こういう人たちばかりだったらどんなに良いか。あまりに物分りの良すぎる周囲の人たちに、なんで??状態だった私は頭が固いと言うか、古いと言うか・・・?最初は、何の躊躇もなく堕ろそうとしたジュノが、あのクリニックの汚らわしさに思いとどまったのか?胎児にも爪が生えてるって話で思いとどまったのか?その辺の気持ちの変化もよくわからなかった・・・アーロン・エーカットの方は次回観たら、読みますね~。あ、全く関係ないですけど、未来創造堂見ました!見事な職人ぶり、おそれいりました。あの・・・裸足・・・良かったです。

>えむさんこれって子供を産んで育てた人は、またぜんぜん違った見方をするんではないかと思いましたよ。私なんかより、ずっと現実的な問題として捉えるだろうから。中絶を思いとどまったのは、待合い室にいる妊婦さんたちが、自分のお腹を愛おしそうになでたりしているのを見たからじゃないかな。未来創造堂、手先は器用なんだよ。前に和菓子職人の役をやったことがあって、プロはだしだったよ。裸足・・・確かに上半身裸よりは珍しいものだからね(笑)。

待合室の妊婦さん?あれ?いたっけか?記憶にない・・・(^_^;って言うか、最初から堕胎専門のクリニックって感覚でみてたよ・・・ごめん。ジュノちゃん。

>えむさん妊婦2人いた。JUNOちゃん、ああは見えてもしっかりしてるらしくない?選んだ彼も、今はボンクラでも、長い目で見ると見込みありそうだし(笑)。

しっかりし過ぎてて、将来が怖い・・・ってのも(^_^;里親候補のマークと音楽や映画の話で盛り上がってって、淡い恋心(おじ様への好奇心?)を抱く辺りは大好き~。突然マークがあんな事言い出して(笑) 一気に興覚めしちゃいましたが。ボンクラくんの将来に期待します!

えむさんとこも、いろいろ心配してしまう年頃だね。しっかりしてればしてるで。里親夫婦、最初は妻が神経質な感じであまりいい印象じゃなかったんだけど、とんだ逆転だった!ジュノと仲良くなってつい口滑らせたけど、あれが多くの男の本音だね。ジュノの父ちゃんになると悟ってしまっているけども。

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