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2008年5月11日 (日)

帰ってきたヒーロー

ドラマ「ホカベン」が、新米弁護士のとまどいを通じて理想と現実のギャップをストレートに描いており、なかなか面白いです。物わかりの良すぎる人たちへのアンチテーゼ。苦い後味を残すところが最近のドラマの中では新鮮。


『殺人遊園地へいらっしゃい』クリス・グラベンスタイン著/猪俣美江子訳
(ハヤカワ文庫 2007年邦訳)

Fi2621595_2e 家族連れで賑わうのどかな海辺のリゾート地シーヘイヴン。この町で「おれ」、24歳のダニー・ボイルは夏だけの臨時警官の職に就いている。パトロールの相棒はイラク帰りのジョン・シーパク。何らかの事情で除隊し、警官になったばかりで、いつもブルース・スプリングスティーンの歌詞をつぶやいている。そんな2人が、早朝の遊園地で起きた大金持ちの不動産業者射殺事件で、唯一の目撃者となった娘アシュリーの警護を任される…。

コピーライター、ドラマ・映画の脚本家から作家に転身した著者の第1作で、アンソニー賞最優秀新人賞受賞作。
「ある者たちは生きる上での規範をもち、ある者たちはもたない。ジョン・シーパクは? 規範をもつくちだ」・・・24歳になってそろそろ本気で将来のことを決めようとしているダニーは、きわめて現代っ子。そのダニーの目を通して見た相棒のシーパクといえば、今どき珍しい真面目一方の堅物警官。堅物なことは愚かなことなのか。はたしてシーパクの性格は、事件の関係者によって利用されそうになるのだが…。
リゾート産業で成り立つ町の描写など、ほのぼのとしたユーモアを感じさせる語り口と、とことん病んでいる事件の真相とのギャップが大きかった。こんな世の中だからこそ、シーパクのような堅物は必要なのだ。魅力的なコンビもの。推理ものとしてもよく出来ていると思う。続編が出ているのに気付いたら読む。

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『1/2の埋葬』ピーター・ジェイムズ著/田辺千幸訳
(ランダムハウス講談社 2008年邦訳)

Fi2621595_3e 独身最後の夜のおふざけパーティー=スタグナイトで、新郎マイケルは悪友たちに酔ったまま棺桶に入れられ、生き埋めにされてしまう。数時間で掘り出される予定であったが、時間潰しに出かけた悪友たちは交通事故を起こし、意識不明の重体で救い出された1人を残して即死。翌日、結婚を控えた男が行方不明との通報を受けたロイ・グレイス警視が捜査に乗り出すが、手がかりは乏しい…。

世界26カ国語に翻訳、仏・英でミステリ賞に輝いたシリーズ第1弾とのふれこみに引かれて読んでみた。生きながら埋葬されてしまうというホラーな設定は娯楽小説として魅力的だし、警視とその仲間の会話も渋くていい。
そんな感じで、出だしは良かったのだけれど、細部は意外とスカスカ。だんだんとショッキングな展開で読者を驚かせようという意図のもとに書かれた小説であることが分かり出し、極めつけはラスト・・・あまりにおざなりすぎて衝撃的! グレイス警視を主人公としたシリーズものとして続編が何冊か出ているようだけど、毎回こんなふうに事件を解決してたらどうしよう(笑)。こんな離れ業を使ったら、どんな難事件も即座に解決するんじゃないか?
そもそも英国が舞台なのにちっとも英国ぽくないから、どうしてだろうと思って著者の経歴を見たら、アメリカで映画の脚本やプロデューサーの仕事をしていたとあり、なるほど、まさにハリウッドのB級娯楽映画テイストだと思った(B級といわれる映画は嫌いじゃないが)。人それぞれの好き好きだけど、同じような経歴をもった上記『殺人遊園地へいらっしゃい』の著者の作風のほうが好きだ。

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