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2008年4月13日 (日)

「モータウンは好きじゃない」

ワシントンDCを描き続ける著者の、黒人探偵デレク・ストレンジ・シリーズ4作目。

『変わらぬ哀しみは』ジョージ・P・ペレケーノス著/横山啓明訳
(ハヤカワ文庫 2008年邦訳)

Fi2621582_1e 真面目で働き者の両親のもとで育ったデレク・ストレンジは、12歳のとき、イタリア系の不良少年ドミニクに挑発されるままに万引きをし、デパートの保安係に見つかってしまう。しかし、保安係はデレクの事情を見抜いて、その場で叱るに留め、逆に「将来は警官になりたい」というデレクの夢を聞き出して励ます。そして10年後の1968年、自分の育った街で黒人警官として職務をまっとうするデレクの姿があった…。


シリーズ4作目はデレクの警官時代にさかのぼっての物語。ペレケーノスの小説は、時代はそれぞれ違えど、当時の音楽、ファッション、車、NBA、西部劇映画などの話題を小ネタに盛り込み、最後は法を無視した復讐に終わるという、どれも同じといえば同じ内容。けれど、皆それぞれに弱さを抱えている人物の描き方に共感を覚えつい読んでしまう。特にどうしようもないチンピラの若者を描かせたら抜群にうまい。

よく分からない邦題がついているが、原題は「Hard Revolution」で、ストレンジ一家も巻き込まれることになる2件の殺人事件と、その物語の背景としてキング牧師の暗殺、それを受けて約8000人もの逮捕者を出したワシントンDCでの暴動の様子が、当時の関係者の取材をもとに事細かに描かれる。結局、暴動というのは、商店を襲っての略奪と放火に尽きるのだなあ。群集心理で子供も老人も関係なく、いつもより少しエゴに走る人は走る。

これ以前に書かれた『終わりなき孤独』と『魂よ眠れ』に登場するギャングのボス、グランヴィル・オリヴァーとデレクの関係が、この巻で初めて明らかになる。この部分の面白さは、シリーズを続けて読んでいないと分からない。

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