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2008年4月27日 (日)

見えない殺意

内勤の職種で就職したのに、年下の営業担当上司のサポートワークが増える一方。で、本来の仕事はその上司が帰宅してからこなしていると、ほんとストレス溜まるわ。こんな中途半端なポジションは社内で自分一人だから、仲間意識を持てる相手もいないし。
就職して2年になるが、いまだに自分の職場との意識が持てない会社だ…。大抵の人は、デスクの上に癒しグッズだのの私物を飾り、パソコンにはスクリーンセーバーや壁紙を貼っているが、そんな気にもならないよ。今でも通勤には定期ではなく、回数券(笑)を使っているのがささやかな抵抗。抵抗になっていないって? いいの、気分的なものだから。


女男爵の爵位をもち上院議員でもある作家レンデルのウェクスフォード警部シリーズ、1985年の作品。

『無慈悲な鴉』ルース・レンデル著/吉野美恵子訳
(ハヤカワ・ミステリ 1987年邦訳)

Fi2621585_2e 隣人からセールスマンの夫が戻らないとの相談を受けたウェクスフォード。最初は乗り気でなかったが、男が勤める塗料会社の役員を通じて、男が妻には職種を偽り、秘密の銀行口座を持っていたことを知る。やがて刃物で刺し殺された男の死体が郊外で発見されるが、死体発見を知って警察を訪れた妻と名乗る女は、隣人とは別の女だった。また、同じ頃、死体発見現場周辺では刃物を持った若い女が、声をかけた男に切り掛かる事件が続いていた…。

二重生活を送っていた男を殺した犯人の動機は何か。長年にわたり嘘をつき通してきたツケか、ロリ趣味か、近親相姦か、ハイスクールの生徒を中心に結成されたフェミニストグループの過激分子による無差別的犯行か・・・。どれも決定的な動機が欠ける中で、ウェクスフォードだけはある確信を深め、危険なおとり調査に賭ける。
いかにも英国の女性作家らしい鬱々とした内容。

過激なウーマン・リブを題材に使っているところが少々古くさく思えてしまった。80年代といえば、日本でも上野千鶴子の本などが話題になっていた時代。でも、古くさいと言い切るほど性差別の実態は変わっていなくて、今はより差し迫った少子化や経済的格差の問題に名目上は取って代わられているだけかな。女性だからという理由で揶揄されたり、逆に過剰に評価されたりといったことに対して、多くのマスコミは無神経のままだ。

性差別については、自分も一時期敏感だった。学校ではずっと男女平等で育ててこられたのに、社会に出た途端、まったく違っているのを身をもって実感する。失望は、何年もの間、静かな怒りとなってくすぶっていた。
でも、この小説は、その点で共感を得るような内容とはほど遠い。スカッとするところが一つもない。さまざまな人たちの心理が複雑に絡み合うことで解明困難となっていた事件の真相。最後に明かされる殺意の動機は、むしろ現代的ともいえ、不気味さだけが残るのでした。

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『犬はどこだ』米澤穂信著
(創元推理文庫 2005年作品)

Fi2621585_3e 東京の銀行に就職したが、ストレスによるアレルギー発疹に悩まされ2年で退職。故郷に戻り、探偵事務所を開いた主人公。犬探し専門のつもりだったが、開業早々舞い込んだのは、失踪人探しと神社に残る古文書の解読。そんなとき、以前から探偵の仕事に憧れていたという高校の後輩が押し掛け、成り行き上、雇うことに…。

文庫の解説には、ロス・マクドナルド的な「私」(=主人公)の私立探偵小説と、ミッキー・スピレイン風の「俺」(=後輩)の私立探偵小説を併置したような小説とある。どっちも昔1冊ずつ読んだきりなのだけど、2種類のステロタイプな私立探偵像をなぞるように書かれてあるのは分かります。主人公のほうは、最近読み直したマイケル・Z・リューインの『A型の女』のそれにも似た雰囲気があると思った。
それにしても、事務所を構える私立探偵が25歳とは、若すぎるよ! まだ、子供じゃん。そういう年齢層が読者対象なのでしょう。わりとほのぼのしてる。でも、最後はきっちりハードボイルド探偵小説風。

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コメント

ヒメ、”崖っぷち”のころが、なつかしいのー。

>warmgunさん覚えてていただけましたか(笑)。人に使われることも使うことも苦手・・・といまだ青臭くつぶやいてます。

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