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2008年2月 4日 (月)

「あんたより罪の重いやつがいるのさ」その2

↑ウィリアム・ランデイ著『ボストン・シャドウ』の感想の項でつけたタイトルを再び。
テレビで予告CMが流れるたびに早く観たいとわくわくしていました。
実話をベースにしたリドリー・スコット監督作品。

「アメリカン・ギャングスター」(2007年 米)
★★★★★

Fi2621537_1e 舞台は1968年から70年代前半のニューヨーク。誰かに使われるアメリカ黒人の地位から抜け出すことを誓い、麻薬の新しいビジネスモデルを築くことで暗黒街のボスにのし上がっていくフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。腐敗のはびこる警察内で正義の意志を貫き、夜学で司法試験の勉強もしている一匹狼肌のユダヤ系刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)。やがてリッチーが麻薬ルート解明の特別任務を与えられることで、2人の人生が交わる…。

好みの題材、好きな監督、好きなタイプのBGM。贔屓目で観たことは否めないが、クオリティの高いアメリカン・ハードボイルド・ムービーでした。
映画のタイトルは、生粋のアメリカ生まれの犯罪組織という意味だろうか。良いタイトルだと思います。時代背景となっているのは、泥沼化するベトナム戦争であり、キング牧師の暗殺以降に過激さを増すブラック・ナショナリズムであり・・・。映画の中でそれらが具体的に描かれることはなく、伝記風にたんたんと物語が進んでいくだけだが、しかし、ちょっとしたセリフや一瞬の映像に盛り込まれる情報が濃厚なので、いろいろに想像が膨らみます。2時間40分がまったく苦痛ではなかった。面白かったです!
当時のヒット曲を多用した音楽は予想していたほど目立たず。音楽の使い方は去年観た「ゾディアック」のほうが上手かったかな。
追記:そういえばクラブシンガーでアンソニー・ハミルトンが出てた!
これはGoodチョイス!

(以下、ネタバレ)

大金持ちになったフランクが、郊外に買った豪邸にノースカロライナから家族を呼び寄せる場面で、黒人が引っ越して来たことに戸惑う隣人の白人夫婦がちらっと映るところ。または、刑事リッチーがヘロイン供給の大元がフランクと気付いた後も、運転手上がりの黒人にこんな商売ができるわけがない、背景には別の大物(イタリア系とか )がいると考える場面は、サクセスものとして痛快!
しかし、フランクが恋人からプレゼントされたド派手な毛皮を着込み、マジソン・スクエア・ガーデンでのボクシングの試合観戦に出かけてしまったところから彼の人生に陰りが生じる。たった一度でも自分のポリシーを曲げたら足下をすくわれるというのを、簡潔に表していて面白い。また、高価なカーペットを血で汚されて「高かったんだぞ!」と怒りを爆発させる場面では、それまでスマートな男の印象だったフランクも、所詮は悪に手を染めた成り上がりにすぎないことを思い出させてくれる。
フランクの麻薬王としての栄枯盛衰を伝えるエピソードが、ラストシーンも含め、どれもあっさり描かれているだけなのに印象的。本当は安くて純度の高いのヘロインの登場で死者も続出だったわけだが、そうした現実もフラッシュのような映像で登場するのみ。あのシーンは、「キングダム・オブ・ヘブン」のクライマックスで、城壁での戦いを俯瞰で撮影した場面とイメージが重なる。

もう一人の主役、刑事のリッチーはフランクに比べると面白みが少ない。同僚の汚職警官たちからは裏切り者扱い。安月給だけで暮らしているので着ている物もさえない。そのうえ家庭は崩壊している・・・ハードボイルド系小説ではおなじみの主人公キャラなのだけど、もう少しアクの強い部分があってもよかった気がします。暴走タイプでもなく、堅実な捜査を続けるリッチー。実在の人物への配慮もあったのか。

物語を面白くしているのは、なんといっても悪徳刑事のトルーポ(ジョシュ・ブローリン)でしょう! 憎まれっ子の役を一人で引き受けた感じがありました。俗にいう「おいしい役」ってやつです。あまりに分かりやすい悪党ぶりで、物語の展開が読めますが、おかげで娯楽作品としての盛り上がりも十分でした。イタリアンマフィアのドン役をやったアーマンド・アサンテの演技も一癖あって面白かった。フランクの妻役のライマル・ナダルがキュートだった。その他、ほんのワンシーンのために結構名前の知れた俳優が出ていたりして、キャストは申し分なかったです。

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コメント

出た~~~っ!満点~!もしや・・・と思って、コチラを覗いてみたらば(笑)好きですね~ヒカさん。いや~さすが深いところを突いてきますねぇ。淡々としてるのが良いのやら、悪いのやら。絶対、長いですよー。チャラチャラやってないで頑張ってもう30分削れ!って思いましたもん。ダメですね・・・私って。まだまだ人間が出来てませんわ(^_^;

>えむさん分かりやすい反応だったですか(笑)なにしろ好きな要素がトリプルなもので。いいところしか目に入りません。削るところ? チャラチャラ? そんなシーンは一つもございません!笑えむさんの良かったキャラは誰だったでしょうか。ヒゲのブローリン?

イチオシは悪徳刑事のトルーポです(笑)イタリアのマフィアも格好良かったね。でも、一番気になったのは解剖室の先生です(名前も知らない)イジョホーや、Jr.もあんまり活躍はしてなかったしね。あ、R・バートは、ムダに上手いね、あんなワンシーンなのに、自分の演技しっかり演ってて・・・あそこはもっと控えめな感じでも良いのに・・・ケヴィと同じ匂いを感じた・・・

解剖室の先生? き、きおくにない!よく観てるなあ。ノーマン・リーダースじゃないよね?バートさんは他の仕事をキャンセルして専念したらしいんですけど、それであれだけでしたね。イジョフォーはインサイドマンではワシントンより輝いてみえましたがこれは出番多いわりにいまいちでしたわ。タイの山奥の村長さん(?)もインパクトあったね。

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