« 元気になる音 その35 | トップページ | 1800円払って »

2008年2月 1日 (金)

極秘扱いの "おれたち"

懐かしや、ロバート・レッドフォード主演の映画「コンドル」の原作者による最新作。

『狂犬は眠らない』ジェイムズ・グレイディ著/三川基好訳
(ハヤカワ文庫 2007年邦訳)

Fi2621536_1e それぞれ任務遂行中の過酷な出来事によって、頭がいかれてしまった5人のCIA諜報部員(世代の異なる男4 人と女1人)。彼らが収容されている秘密の精神病院で、栄転目前だった担当医が殺される。誰がなぜ彼を殺したのか、誰が自分たちにその罪をなすりつけようとしているのか。真相を突き止めるために、5人は協力して病院を脱走。しかし、手がかりは少なく、自分たちが投与されていた薬の効き目がいつ切れるのかも油断ならない…。

(少しネタばれ。注意)

頭が正常だったとき、愛する人の命までを犠牲にして入手したメモリの中の情報は、結局は役立てられずに終わった・・・。著者グレイディがこの小説を着想したのは、9.11がきかっけだったと思われる。小説中盤部分のネタばれになるけれど、5匹の狂犬のうちの1匹は、それを事前に防げたかもしれない任務にかかわっていた。そして、一定の成果はあったのだ・・・。この部分だけでも十分にアメリカ批判。しかし、ラストで判明する事実は、それよりもさらにさらに辛辣なジョーク。
がつんときます。

翻訳者の三川基好さんは、この小説のあとがきを推敲した数時間後に亡くなったそう。
本書ではそのあとがきの後に、追悼文が添えられている。原文にできるだけ忠実な翻訳をする人だったという。そのためか、確かにこの小説はところどころ読みづらい。
ゼインはベトナムで、ヘイリーはナイジェリアで、ラッセルはボスニアで、ヴィクターはマレーシアで、エリックはイラクで、5人が精神を病むことになった凄惨な体験が回顧される一方で、実はユーモアもたっぷりな小説なのだけど、それを文面から感じ取るまでには少し時間がかかった。しかし、読み終わる頃には狂犬5匹とも、すっかり愛すべき5人組に変わっており、続きも読みたいと思った。メンバー全員が再集結することはないのだけど・・・。


しかし、このところハヤカワの回し者のような偏った読書をしているなあ。
少し反省。

« 元気になる音 その35 | トップページ | 1800円払って »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。ハヤカワの回し者・・・(笑)創元社の本も読みたいのいろいろ出てるんですけどね~。なぜかわたしも持ち歩きミステリ、ハヤカワに偏ってしまってます、なんでだ?(笑)

面白そうですね!これ、本屋さんで見たことはあると思うんだけど、コンドルの原作者だったんですかー。いつか読んでみます。

返事が遅れてごめんなさい!なぜか自宅PCからdoblogにアクセスできない状況が続いています。「サーバが反応しません」と出ます。仕方ないので職場から書き込んでますが、けっこう監視が厳しいのでひやひやです。>nadjaさんハヤカワ、創元、どちらも安心印なんですが、なぜでしょうね。創元のほうがなんとなく保守的なイメージです。>Djangoさん頭がいかれているスパイ5人というだけで興味をそそります。でも、実はそれほどいかれてないんですよ(笑)。悲惨なのにユーモラス、不思議な味わいがありました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/28622891

この記事へのトラックバック一覧です: 極秘扱いの "おれたち":

« 元気になる音 その35 | トップページ | 1800円払って »

インデックス

無料ブログはココログ