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2007年12月10日 (月)

生まれる環境は選べない

ワシントンDCの黒人探偵デレク・ストレンジ・シリーズ第3弾。

『魂よ眠れ』ジョージ・P・ペレケーノス著/横山啓明訳
(ハヤカワ文庫 2006年邦訳)

Fi2621521_1e ストリートギャングの大ボスであるオリヴァーが逮捕され、オリヴァーの生い立ちに責任を感じているデレクは、彼が死刑になることだけは食い止めようと証人探しに奔走する。一方、街では新たなボスの座を巡り、2つのギャング団が一触即発の関係にあった…。

前作『終わりなき孤独』からつながる内容。貧民街アナコスティア地区で生まれ育った、30歳まで生きられれば長生きとされるようなストリートギャングたちが物語の中心を占め、内容的にはシリーズ3作目にしてすでにまったく新鮮味はないのだけれど、作家ペレケーノスは地元ワシントンDCの、ひいてはアメリカ社会の暗部を、探偵といえども等身大の主人公を通じて描き続けることが彼のライフワークであり、使命とすら思っていそうだ。

貧困や麻薬など問題はいろいろあるが、今作は銃社会に焦点が当てられる(ペレケーノス自身、10代のときに銃の暴発で友人に怪我を負わしてしまった過去がある)。
イケてるとされるファッション、車、音楽などと同等に、さまざまな銃の名前が出てくる。そして、デレクと白人の相棒クインの銃に対する考え方の違いも浮き彫りになる。デレクは護身の必要があるときもナイフとこん棒しか持ち歩かない。しかし、クインは警官時代に誤って仲間の警官を射殺してしまった経験があるにもかかわらず、銃が必要なときもあるとの考えを変えない。

最後にデレクが取った行動は、深い絶望をたたえているように思える。

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