« フロンガスがすごかった | トップページ | タバスコ野郎! »

2007年11月17日 (土)

受け継がれる暴力

2007年度英国推理作家協会賞の最優秀新人賞および最優秀スリラー賞受賞作。

『KIZU ー傷ー』 ギリアン・フリン著/北野寿美枝訳
(ハヤカワ文庫 2007年)

Fi2621513_1e シカゴの小さな新聞社に勤めるカミルは、故郷の町で起きた少女絞殺事件の取材を命じられる。ミズーリ州最南端、南北戦争以前からの富を受け継いできた少数の金持ちと白人貧困層で成り立つ閉鎖的な田舎町。殺された少女は歯をすべて引き抜かれており、1年前にも同様な事件が起きていた。母親との確執からもう何年もその町には帰っていないカミルは、嫌々ながらも、目をかけてくれる編集長の期待に応えようと故郷に向かう…。

主人公の女性記者は、精神が不安定になるとナイフなどの尖ったもので自らの身体を傷つけずにはいられない病に苦しんできた過去があり、入院歴もある。自傷行為を繰り返す主人公というと、最近ではケータイ小説とやらの定番? って、実際にケータイ小説は一つも読んだことがないのだが、安易なネタになりすぎている感があり、読み始めたときには本選びに失敗したかなと思った。
しかし、読み慣れない題材の新鮮さ(?)もあって、読めてしまった。文章表現や話の展開に、デビュー作ゆえのぎこちなさか、計算尽くなのか判別しづらいところがありつつも、作家自身なかなかユニークな感性の持ち主ではないかと思った。

ネタばれになるので、これ以上書くのがためらわれるが、連続少女絞殺事件を追及していく過程で、主人公自身に関係するもう一つの過去の犯罪も明らかになる。そして、最後はちょっとしたどんでん返しがあり、かなりホラーな真相が明らかに(スティーヴン・キングのコメントが文庫帯に載っているのにも納得…)。
しかし、これに近いことは現実でも社会問題になっており、最初の犯罪については、まったく同じものを何かのドキュメンタリーで見たことがあるし、ドラマ「ER」などのネタにもなっていた(と記憶)。自分には主人公と共通するところが一つもないのだが、我が身と重ねて読めてしまう人は、けっこうな割合でいたりするのかな。

« フロンガスがすごかった | トップページ | タバスコ野郎! »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/28622817

この記事へのトラックバック一覧です: 受け継がれる暴力:

« フロンガスがすごかった | トップページ | タバスコ野郎! »

インデックス

無料ブログはココログ