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2007年11月16日 (金)

フロンガスがすごかった

1962年の米メリーランド州ボルチモアが舞台のミュージカル・コメディ映画。面白かった! でもスカッとはしてない。

「ヘアスプレー」(2007年 米)
★★★☆

Fi2621512_1e 太めの女子高校生が、周囲の偏見をものともせず地元人気テレビ番組のダンサーを目指すストーリー。予告を観て、白人ばかりが歌って踊っての映画と思っていたら、アフリカンに対する偏見も扱った映画で、そっちのテーマのほうが目立っていたと思う。

ミュージカルだし、ベタな展開でもぜんぜんOKなのだが・・・いやはや。
人種差別問題をここまで軽い娯楽作品に仕上げたハリウッド映画はいままであったのだろうかってくらいで。まだ半ば公然と差別が行われている時代の黒人がみんな明るく優等生的。怒れる黒人も、世をすねた黒人も、貧乏すぎて犯罪に走るような黒人も、一人も登場しないのには戸惑わなくもなかったわ(笑)。

そして、黒人のダンスやダンス音楽のほうが白人のそれより断然イケてるのはとっくに常識と思われる今のこの時代に、やりすぎと思われるほど、白人と黒人の歌とダンスを比較してみせる演出。特に女性3人ボーカル対決などは、もはや逆差別の域だろ?と思うくらい(冗談だけど)。もう圧倒的に黒人優位! さらにそれをダメ押しするのが、黒人チームのお母さん的役割を演じたクィーン・ラティファ。私にはラップの女王というイメージがいまだ強いせいか、彼女が登場するだけで主張性十分。特にあの貫禄たっぷり余裕綽々の笑顔が、この映画では少々鼻につく。

そもそも敵は、娘をスターにしたいがために番組を私物化する女番組プロデューサー(ミシェル・ファイファー)ただ1人と言っていい。観終わってみれば、果たして人種問題をここまで絡める必要があったのかどうか。

黒人への偏見を持たない主人公が、ラティファ演じる黒人女性から「私たちの歴史を知らないの?」と聞かれ、「歴史の授業はいつもさぼってたから」と言う場面は、ウォーターズの映画だったらひねくれた笑いを誘いそうだが、この映画では案外ここがポイント。このセリフこそがこの映画のテーマ。
全体を通じてとことん前向きという一貫性はあるのだ(唯一弱音を吐くのは主人公の母親)。そこが嘘くさくて受け付けないというほどではないが、もやっとした思いは残る。

オリジナルは1988年のジョン・ウォーターズの映画で、その後のブロードウェイミュージカルとしてヒットしたものを再び映画化。
ウォーターズ作品のほうは見てないので、どこまで内容を忠実に受け継いでいるのか分からないが、主人公の母親を男優が演じるところまで真似る必要性はあったのかしら。ジョン・トラボルタが女装で演じてるところが一つの売りになっているようだが、この映画ではキュートな本物のデブ女性で見たかったな。偏見と闘うつもりだったらね。

ミシェル・ファイファーの手堅い演技、番組司会役のジェームズ・マースデンの役のはまり具合が素晴らしく印象に残った。そして、主人公の父親役のクリストファー・ウォーケン・・・踊れるからという理由でキャスティングされたのかもしれないが、コメディにおける彼の狂人ぽい持ち味が発揮されるような映画ではなく、もったいなかったー。ウォーケンの無駄遣い!

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コメント

ぼくが見ることのない映画のレビュー、参考になります(笑:皮肉ではありません)最近つくづくアメリカおよびアメリカ人ほどわからないものはないと思います。たとえば、この映画のテーマ?である、近い過去と現在における”黒人差別”の問題はどうなったのでしょうか。ぼくが大学生の頃は、キング牧師とかブラック・パンサーとかいっていたのです。ところで”ウォーケンの無駄遣い!”には、にやりとします、ぼくは『デッド・ゾーン』のウォーケンが好きだった。ミッシェル・ファイファーも近年のアメリカ映画女優ではベストの素材なのに、この人の魅力を全開にした映画をだれも撮れない(”キャット・ウーマン”か!)ぼくは昨日深夜テレビで『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』というのを見て、わりと好きだった、だが、”現在の”アメリカは不可解だ(笑)

書き忘れました。アメリカ人より不可解なのは、日本人でした。

>warmgunさん近年の大金をかけたハリウッド映画は、政治的配慮とやらで、ますますアメリカが見えにくくなっているかもしれませんね。これは、歪んだ方向に行き過ぎた感じ。ウォーケンやファイファーの持ち味は、明るいだけの映画では生かされない気がしますね。キャット・ウーマンは大好きですけど(笑)。

日本人は・・・テレビに支配されている。かな(笑)つまりCMスポンサーである企業と広告代理店。

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