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2007年9月24日 (月)

狐づくし

著者にとっては2度目のCWA最優秀長編賞受賞作。

『病める狐』ミネット・ウォルターズ著/成川裕子訳
(創元推理文庫 2007年邦訳)

Fi2621496_1e 生まれてすぐ里子に出されたものの継父母に恵まれて健やかに育ち、今は陸軍大尉の地位にあるナンシー・スミスのもとに、弁護士が訪ねてくる。実はナンシーはドーセットの寒村シェンステッドに住む由緒ある軍人家系ロキャー・フォックス家の子孫であり、彼女の祖父にあたる主人が彼女に会いたいと申し出ているとのこと。ナンシーはその申し出をいったんは断るが、老主人が寄越した「この件は忘れてくれ」との手紙に逆に興味をかき立てられる…。


キツネ狩り賛成派と反対派との対立(キツネ狩り禁止法は2004年に成立したが、これはその3年前が舞台)、トレイラーハウスで生活する“トラヴェラー”たちの田園不法占拠と住民との対立といった現実の英国内の話題を絡ませ、その両者を利用して老夫婦を追いつめて行く邪悪な男フォックス。その正体はさんざんほのめかされながら、ラスト近くのえ?という展開は、まさに狐につままれた思いです。物語の仕掛けの大きさと犯人の動機のギャップにこける。してやられた。

ミネット・ウォルターズはいつもドギツイ話を書く人の印象で、今作も児童虐待など悲惨な話を盛り込みながら、冷静なナンシー・スミスの存在が、そうそう悪い結末には至らないことを予感させ、なんだか安心して読めた。改めて思ったのは、ウォルターズと議論したらどんな人物でも途中で音を上げるのではないかということ。会話部分を読んでいると、相当に弁が立ちそうで、粘着質度もかなりのもの。そこが面白いんだけどもね。

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コメント

ひめ、ひさしぶりでごじゃりまする。

>warmgunさんありがとうございます。仕事でアップアップ。ようやくの2連休です・・。

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