« 小鳥さんに合掌(-人-) | トップページ | 私家盤・元気になる音 その33 »

2007年7月 8日 (日)

沖合の島の殺人

1962年刊行の『女の顔を覆え』で初登場。今は警視長の重職に就くアダム・ダルグリッシュ・シリーズ最新刊。ポケミス1800番突破記念作品てことで定価も1800円(?)。自分にとっては毎度、本の扉を開く瞬間からわくわくするシリーズの一つ。

『灯台』P.D.ジェイムズ著/青木久惠訳
(早川書房 2007年邦訳)

Fi2621479_1e_2 コーンウォール沖に浮かぶカム島は、VIPのみを受け入れる高級保養地。その島で世界的に著名な小説家が、首吊り死体となって灯台の外壁にぶらさがった状態で発見される。政府要人による極秘の国際会議の会場にもなるという島の特殊性ゆえ、捜査にはロンドンからダルグリッシュ警視長のチームが派遣され、部下のケイト・ミスキン警部、フランシス・ベントン・スミス部長刑事の3人だけで捜査にあたることに…。

ジェイムズが85歳にして書き上げた今作は、閉鎖された環境での連続殺人事件。外部からの出入りは不可能だし、容疑者の数は限られているという、本格ミステリーの定番ともいえる設定で、いつもに比べて、かなり読みやすかった。
でも、特に殺された作家の一人娘の人物設定などはやはり一筋縄では行かぬというか、ちょっぴり意地悪にも思える鋭い視線で、人の本性を暴くように、そしてそれがごく当たり前な人間像のように描くところは相変わらずジェイムズらしくあり、そういうところが好きでいつも読む。

内容がすっきりしていて、いつもほど複雑なプロットではないのに加え、終わり方が妙に晴れ晴れとした明るい雰囲気なのが気になった。もしかしたら、これをもって、または次作をもってシリーズ完結?なんて考えてしまったよ。本書に登場する作家はとことん冷酷なやつで、しかし、老いによる作家としての能力の低下におびえているらしい描写がある。ジェイムズにはそんな心配はまだまだ無縁に思えるけど。

« 小鳥さんに合掌(-人-) | トップページ | 私家盤・元気になる音 その33 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1175528/28622782

この記事へのトラックバック一覧です: 沖合の島の殺人:

« 小鳥さんに合掌(-人-) | トップページ | 私家盤・元気になる音 その33 »

インデックス

無料ブログはココログ